問2 安全委員会の運営に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)委員の指名において、労働組合に委員の推薦を依頼しているにもかかわらず労働者側の委員の推薦が得られない場合には、委員の推薦が得られるように労使で話し合いを続けることとしている。
(2)安全委員会を事業場における安全に関する調査審議機関として位置付けており、事業場における安全活動の最終の決定の場としている。
(3)安全委員会の開催目を原則として毎月第1火曜日と決め、委員が出席しやすいようにしている。
(4)事業場全体の安全委員会のほか、職場単位の職場委員会を設け、それらの委員会を有機的に関連付けて運用している。
(5)安全委員会での審議結果に基づき実施した事項については、次回の委員会で、その実施状況を委員会の事務局等から報告している。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
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| 2025年度(令和07年度) | 問02 | 難易度 | 安全管理に関するごく基本的な問題。過去に類似問題もあり、確実に正答できなければならない。 |
|---|---|---|---|
| 安全委員会の運営 | 1 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問2 安全委員会の運営に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)委員の指名において、労働組合に委員の推薦を依頼しているにもかかわらず労働者側の委員の推薦が得られない場合には、委員の推薦が得られるように労使で話し合いを続けることとしている。
(2)安全委員会を事業場における安全に関する調査審議機関として位置付けており、事業場における安全活動の最終の決定の場としている。
(3)安全委員会の開催目を原則として毎月第1火曜日と決め、委員が出席しやすいようにしている。
(4)事業場全体の安全委員会のほか、職場単位の職場委員会を設け、それらの委員会を有機的に関連付けて運用している。
(5)安全委員会での審議結果に基づき実施した事項については、次回の委員会で、その実施状況を委員会の事務局等から報告している。
正答(2)
【解説】
(1)適切ではないとはいえない。安衛法第 17 条第4項の規定により、安全委員会の委員の指名において、議長以外の委員の半数は過半数労働組合等の推薦によって指名しなければならない。
ただ、労働組合に委員の推薦を依頼しているにもかかわらず、様々な理由により労働者側の委員の推薦が得られない場合がある。そのような場合について、昭和 47 年9月 18 日基発第 602 号は、その場合には委員の推薦が得られるように労使で話し合いを続けるべきこととしている。
そして、その間は安全委員会を設置しなくとも安衛法違反とはならないとしている。
【労働安全衛生法】
(安全委員会)
第17条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。
一~三 (略)
2及び3 (略)
4 事業者は、第一号の委員以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。
5 (略)
【労働者側の委員の推薦が得られない場合】
Ⅰ 法律関係
8 安全・衛生委員会(第一七条から第一九条まで関係)
(5)安全・衛生委員会の議長となる委員以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいては、その労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては、労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならないこととされているが、種々の事情により労働者側の委員推薦が得られない場合には、事業者としては、委員推薦があるように誠意をもつて話し合うべきものであり、その話し合いを続けている過程において、安全・衛生委員会の委員の推薦が労働者側から得られないために委員の指名もできず、委員会が設置されない場合があつたとしても、事業者に、安全・衛生委員会の未設置に係る刑事責任の問題は発生しないと解されるものであること。
※ 「労働安全衛生法および同法施行令の施行について」(昭和47年9月18日基発第602号)
(2)適切ではない。安全委員会を事業場における安全に関する調査審議機関として位置づけることは適切であるが、最終の決定は事業者が行うべきである。安全委員会は事業者に対して意見を述べるのが役割である。
最終的な責任を負うべき者(事業者)が、最終決定を行うべきなのである。
【労働安全衛生法】
(安全委員会)
第17条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。
一~三 (略)
2~5 (略)
(3)適切ではないとはいえない。安衛則第 23 条は、安全委員会は毎月1回以上開催することとしているが、1か月の間にいつ行うかについての規定はなく、事業者において自由に決定できる。
本肢の事業場では、開催目を原則として毎月第1火曜日と決め、委員が出席しやすいようにしているというのであるから、問題となるようなことはない(※)。
※ 特定の委員が、毎月第1火曜日には離せない業務があり、その委員を排除するためにそのような定めをしているというのであれば、適切であるとは言えないが、本肢は「委員が出席しやすいようにしている」のであるから問題はない。
【労働安全衛生法】
(安全委員会)
第17条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。
一~三 (略)
2~5 (略)
【労働安全衛生規則】
(委員会の会議)
第23条 事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)を毎月一回以上開催するようにしなければならない。
2~5 (略)
(4)適切ではないとはいえない。本肢の場合、職場単位の職場委員会は安衛法上の安全委員会ではない。安衛法上の安全委員会は、事業場全体の安全委員会のみである。従って、安全委員会の意思決定が職場単位の職場委員会の拘束を受け、自由な調査審議ができないような制度になっていれば(※)問題である。
※ とりわけ、職場単位の職場委員会の委員が、過半数労働組合の推薦によらずに人選が行われているのであれば、違法性が高いと言わざるを得ない。
しかし、本肢の文章からはそのような事情まではうかがえない。また、大規模な工場の場合、職場単位の職場委員会と安全委員会を有機的に関連付けて運用しているということであれば、実質的にその方が安全管理がスムーズに動くこともあろう。ただちに適切ではないとまではいえないとしてよいだろう。
【労働安全衛生法】
(安全委員会)
第17条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。
一~三 (略)
2~5 (略)
(5)適切ではないとはいえない。安全委員会は調査審議を行うべき機関ではあるが、それ以外のこと(その結果について報告を受けること)を行ってはならないということではない。
むしろ、調査審議をスムーズに行うためにも、審議結果に基づき実施した事項について、次回の委員会で、その実施状況を委員会の事務局等から報告を受けることは、調査審議を実のあるものとするためにも必要なことであろう。





