労働安全コンサルタント試験 2024年 産業安全関係法令 問07

爆発、火災等の防止




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 このページは、2024年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2024年度(令和05年度) 問07 難易度 爆発・火災等の防止に関する問題であるが、安衛法令の考え方が理解できていれば正答できる。
爆発・火災等の防止  4 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問7 爆発、火災等を防止するため事業者が講じた措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、違反となるものはどれか。

(1)危険物を取り扱う作業で、作業主任者を選任する必要のない作業を行うときに、当該作業の方法、順序及び作業分担を決定し、あらかじめこれを関係労働者に周知させたので、当該作業の指揮者を定めずに作業を行った。

(2)化学設備の内部で清掃作業を行うときに、作業箇所に高温の水蒸気が逸出しないようにバルブを防止するとともに閉止板を施し、バルブ及び閉止板を施錠した上で、これらを開放してはならない旨の表示を行ったが、監視人は置かなかった。

(3)定期自主検査を行ってから6か月が経過した化学設備を 14 日間使用しなかったが、その間に改造及び修理を行っていなかったので、その使用を再開するときに、当該設備の緊急遮断装援等の安全装置の機能は点検したが、内面の損傷や腐食の有無については点検しなかった。

(4)化学設備のバルブ、コック及びスイッチについては、誤操作による爆発等を防止するため、開閉方向を表示するとともに、形状による区分を行ったが、色分けは行わなかった。

(5)可燃性ガスが存在して爆発が生ずるおそれのある場所について、通風及び換気を行い、可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれがなくなったので、電気機械器具を使用するときに、防爆構造のものを使用しなかった。

正答(1)

【解説】

問7試験結果

試験解答状況
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(1)違反となる。安衛則第 257 条。作業の方法、順序及び作業分担を決定し、あらかじめこれを関係労働者に周知させたからといって、作業指揮者を定めなくてよいわけがない。

作業指揮者の選任の最大の目的は、文字通り関係労働者に作業の指揮を行わせることである。関係労働者に「作業の方法、順序及び作業分担を決定し、あらかじめこれを関係労働者に周知」したからといって、作業の指揮者が不要になるわけがない。

【安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6条 (柱書 略)

 (略)

 アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接、溶断又は加熱の作業

三~七 (略)

 次に掲げる設備による物の加熱乾燥の作業

イ及びロ (略)

八の二~二十三 (略)

【労働安全衛生規則】

(作業指揮者)

第257条 事業者は、危険物を製造し、又は取り扱う作業(令第6条第二号又は第八号に掲げる作業を除く。)を行なうときは、当該作業の指揮者を定め、その者に当該作業を指揮させるとともに、次の事項を行なわせなければならない。

 危険物を製造し、又は取り扱う設備及び当該設備の附属設備について、随時点検し、異常を認めたときは、直ちに、必要な措置をとること

 危険物を製造し、又は取り扱う設備及び当該設備の附属設備がある場所における温度、湿度、遮しや光及び換気の状態等について、随時点検し、異常を認めたときは、直ちに、必要な措置をとること。

 前各号に掲げるもののほか、危険物の取扱いの状況について、随時点検し、異常を認めたときは、直ちに、必要な措置をとること。

 前各号の規定によりとつた措置について、記録しておくこと。

(2)違反とはならない。安衛則第 275 条(第三号、第四号)によれば、化学設備の内部で清掃作業を行うときに、作業箇所に高温の水蒸気が逸出しないようにバルブを防止するとともに閉止板を施し、バルブ及び閉止板を施錠した上で、これらを開放してはならない旨の表示を行えば、監視人を置苦必要はない。

安衛法令においては、監視人は、ハード的な対策(本質安全化や工学的対策)が行われない場合の代替策のような位置づけとなっている。ハード的な対策が採られているのであれば、通常は監視人は必要がないと考えてよい。

【労働安全衛生規則】

(改造、修理等)

第275条 事業者は、化学設備又はその附属設備の改造、修理、清掃等を行う場合において、これらの設備を分解する作業を行い、又はこれらの設備の内部で作業を行うときは、次に定めるところによらなければならない。

一及び二 (略)

 作業箇所に危険物等が漏えいし、又は高温の水蒸気等が逸出しないように、バルブ若しくはコックを二重に閉止し、又はバルブ若しくはコックを閉止するとともに閉止板等を施すこと。

 前号のバルブ、コック又は閉止板等に施錠し、これらを開放してはならない旨を表示し、又は監視人を置くこと。

 (略)

(3)違反とはならない。本肢は、安衛則第 277 条第1項のいずれの場合にも該当しない。

【労働安全衛生規則】

(使用開始時の点検)

第277条 事業者は、化学設備(配管を除く。以下この条において同じ。)又はその附属設備を初めて使用するとき、分解して改造若しくは修理を行つたとき、又は引き続き1月以上使用しなかつたときは、これらの設備について前条第1項各号に掲げる事項を点検し、異常がないことを確認した後でなければ、これらの設備を使用してはならない。

 (略)

(4)違反とはならない。安衛則第 271 条において、第2項は形状の区分のみによることは禁止していない。色分けによる方法では、色覚異常者にとって判別しにくい面がある。

【労働安全衛生規則】

(バルブ等の開閉方向の表示等)

第271条 事業者は、化学設備のバルブ若しくはコック又はこれらを操作するためのスイッチ、押しボタン等については、これらの誤操作による爆発又は火災を防止するため、次の措置を講じなければならない。

 開閉の方向を表示すること。

 色分け、形状の区分等を行うこと。

 前項第二号の措置は、色分けのみによるものであつてはならない。

(5)違反とはならない。安衛則第 280 条第1項は、可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれがなくなった場合には適用がない。

【労働安全衛生規則】

(爆発の危険のある場所で使用する電気機械器具)

第280条 事業者は、第261条の場所のうち、同条の措置を講じても、なお、引火性の物の蒸気又は可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれのある箇所において電気機械器具(電動機、変圧器、コード接続器、開閉器、分電盤、配電盤等電気を通ずる機械、器具その他の設備のうち配線及び移動電線以外のものをいう。以下同じ。)を使用するときは、当該蒸気又はガスに対しその種類及び爆発の危険のある濃度に達するおそれに応じた防爆性能を有する防爆構造電気機械器具でなければ、使用してはならない。

 (略)