問6 型枠支保工について事業者が講じた措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、違反となるものはどれか。
(1)鋼管を支柱として用いる型枠支保工の組立図に係る型枠支保工の設計において、当該型枠支保工の上端に、設計荷重の 100 分の5に相当する水平方向の荷重が作用しでも安全な構造のものとした。
(2)鋼管を支柱として用いる型枠支保工の支柱の継手を、突合せ継手とした。
(3)型枠支保工の鋼材と鋼材の交差部を、銅線により緊結した。
(4)パイプサポートを支柱として用いる高さが 4.5 メートルの型枠支保工について、高さ2メートルごとに水平つなぎを2方向に設け、かつ、水平つなぎの変位を防止した。
(5)敷板を挟んで段状に組み立てる型枠支保工について、型枠の形状によりやむを得なかったので、敷板を2段挟んだ。

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2024年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2024年度(令和05年度) | 問06 | 難易度 | 型枠支保工についてのやや詳細な知識問題である。ただ、難易度はやや高いが合格のためには正答しておきたい。 |
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型枠支保工 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問6 型枠支保工について事業者が講じた措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、違反となるものはどれか。
(1)鋼管を支柱として用いる型枠支保工の組立図に係る型枠支保工の設計において、当該型枠支保工の上端に、設計荷重の 100 分の5に相当する水平方向の荷重が作用しでも安全な構造のものとした。
(2)鋼管を支柱として用いる型枠支保工の支柱の継手を、突合せ継手とした。
(3)型枠支保工の鋼材と鋼材の交差部を、銅線により緊結した。
(4)パイプサポートを支柱として用いる高さが 4.5 メートルの型枠支保工について、高さ2メートルごとに水平つなぎを2方向に設け、かつ、水平つなぎの変位を防止した。
(5)敷板を挟んで段状に組み立てる型枠支保工について、型枠の形状によりやむを得なかったので、敷板を2段挟んだ。
正答(3)
【解説】
いかにも怪しそうな肢を選ぶと間違いになるという、近年の試験協会の主催する試験の出題傾向の典型というべき問題。ここ数年のコンサルタント試験は、あやふやな知識では合格が難しくなっている。合格を確実にするためには、正答しておきたい問題である。
(1)違反とはならない。安衛則第 240 条第3項(第三号)の規定により、鋼管を支柱として用いる型枠支保工の組立図に係る型枠支保工の設計においては、当該型枠支保工の上端に、設計荷重の 100 分の 2.5 に相当する水平方向の荷重が作用しでも安全な構造のものとすればよい。これを 100 分の 5としたのであるから、違反とはならない。
【労働安全衛生規則】
(組立図)
第240条 (第1項及び第2項 略)
3 第一項の組立図に係る型枠支保工の設計は、次に定めるところによらなければならない。
一及び二 (略)
三 鋼管枠を支柱として用いるものであるときは、当該型枠支保工の上端に、設計荷重の100分の2.5に相当する水平方向の荷重が作用しても安全な構造のものとすること。
四 (略)
(2)違反とはならない。鋼管を支柱として用いる型枠支保工の支柱の継手を、突合せ継手とすることは、安衛則第 242 条(第三号)に適合している。
【労働安全衛生規則】
(型枠支保工についての措置等)
第242条 事業者は、型枠支保工については、次に定めるところによらなければならない。
一及び二 (略)
三 支柱の継手は、突合せ継手又は差込み継手とすること。
四~十一 (略)
(3)違反となる。安衛則第 242 条(第四号)により、鋼材と鋼材との接続部及び交差部は、ボルト、クランプ等の金具を用いて緊結しなければならない。本肢のように、鋼材と鋼材との交差部を銅線により緊結することは違反となる。
型枠支保工は、重量を支える目的のものであり、鋼材と鋼材との交差部を銅銭によって緊結しても十分な強度は確保できないのである。
【労働安全衛生規則】
(型枠支保工についての措置等)
第242条 事業者は、型枠支保工については、次に定めるところによらなければならない。
一~三 (略)
四 鋼材と鋼材との接続部及び交差部は、ボルト、クランプ等の金具を用いて緊結すること。
五~十一 (略)
(4)違反とはならない。安衛則第 242 条(第七号ハ及び第六号イ)により、パイプサポートを支柱として用いる高さが 3.5 メートルを超える型枠支保工について、高さ2メートルごとに水平つなぎを2方向に設け、かつ、水平つなぎの変位を防止しなければならない。
本肢は、パイプサポートを支柱として用いる高さが 4.5 メートルの型枠支保工についてであり、この規定に遵っているので、違反とはならない。
【労働安全衛生規則】
(型枠支保工についての措置等)
第242条 事業者は、型枠支保工については、次に定めるところによらなければならない。
一~五の二 (略)
六 鋼管(パイプサポートを除く。以下この条において同じ。)を支柱として用いるものにあつては、当該鋼管の部分について次に定めるところによること。
イ 高さ2メートル以内ごとに水平つなぎを2方向に設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。
ロ はり又は大引きを上端に載せるときは、当該上端に鋼製の端板を取り付け、これをはり又は大引きに固定すること。
七 パイプサポートを支柱として用いるものにあつては、当該パイプサポートの部分について次に定めるところによること。
イ及びロ (略)
ハ 高さが3.5メートルを超えるときは、前号イに定める措置を講ずること。
八~十一 (略)
(5)違反とはならない。安衛則第 243 条(第一号)の規定により、敷板を挟んで段状に組み立てる型枠支保工について、型枠の形状によりやむを得ないのであれば、敷板を2段挟んでも違反とはならない。
もちろん、敷板を2枚以上はさむことは望ましくはない。しかし、力が加わる方向は垂直力なので、それほど危険というわけではないのである。
【労働安全衛生規則】
(段状の型わく支保工)
第243条 事業者は、敷板、敷角等をはさんで段状に組み立てる型わく支保工については、前条各号に定めるところによるほか、次に定めるところによらなければならない。
一 型わくの形状によりやむを得ない場合を除き、敷板、敷角等を二段以上はさまないこと。
二及び三 (略)