労働安全コンサルタント試験 2024年 産業安全関係法令 問05

車両系建設機械による労働災害の防止




問題文
トップ
受験勉強に打ち込む

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2024年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2024年度(令和05年度) 問05 難易度 過去問などで条文に慣れていれば正答できる問題である。ただ、内容がかなり細かいこともあり、正答率は低い。
車両系建設機械  5 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問5 車両系建設機械による労働災害を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛法令上、誤っているものはどれか。

(1)車両系建設機械については、1か月以内ごとに1回、定期に、ワイヤロープ及びチェーンの損傷の有無並びにパケット、ジッパー等の損傷の有無について自主検査を行わなければならない。ただし、1か月を超える期間使用しない車両系建設機械の当該使用しない期間においては、この限りでない。

(2)車両系建設機械を用いて作業を行うときは、車両系建設機械の転倒又は転落による労働者の危険を防止するため、当該車両系建設機械の運行経路について路肩の崩壊を防止すること、地盤の不同沈下を防止すること、必要な幅員を保持すること等必要な措置を講じなければならない。

(3)岩石の落下等により労働者に危険が生ずるおそれのある場所で車両系建設機械(ブル・ドーザー、トラクター・ショベル、ずり積機、パワー・ショベル、ドラグ・ショベル及び解体用機械に限る。)を使用するときは、当該車両系建設機械に堅密なヘッドガードを備えなければならない。

(4)車両系建設機械には、後照燈を備えなければならない。ただし、作業を安全に行うため必要な照度が保持されている場所で使用する車両系建設機械については、この限りでない。

(5)車両系建設機械を用いて作業を行うときは、転倒及びブーム、アーム等の作業装置の破壊による労働者の危険を防止するため、当該車両系建設機械についてその構造上定められた安定度、最大使用荷重等を守らなければならない。

正答(4)

【解説】

問5試験結果

試験解答状況
図をクリックすると拡大します

本問は、正答の肢(誤っている肢)である(4)を選んだ受験者が、誤答の肢(正しい肢)である(1)を選んだ受験者よりも少ないという結果となった。(4)があまりにも細かすぎる内容だったこともあるのかもしれないが、(1)の「ただし、1か月を超える期間使用しない車両系建設機械の当該使用しない期間においては、この限りでない」については正しいと分からなければならない。

(1)正しい。安衛則第 168 条。車両系建設機械については、1か月以内ごとに1回、定期に、ワイヤロープ及びチェーンの損傷の有無並びにパケット、ジッパー等の損傷の有無について自主検査を行わなければならない。ただし、1か月を超える期間使用しない車両系建設機械の当該使用しない期間においては、この限りでない。

本問では、この肢を正答(誤っている肢)として選んだ受験者の数が多い。車両系建機で「ワイヤロープ及びチェーン」が使われていることはないので、このようなことを義務付けているはずがないと考えられたのだろうか。くい打機、くい抜機等にはワイヤロープは使われているのだが・・・。

【労働安全衛生規則】

第168条 事業者は、車両系建設機械については、1月以内ごとに1回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、1月を超える期間使用しない車両系建設機械の当該使用しない期間においては、この限りでない。

 ブレーキ、クラツチ、操作装置及び作業装置の異常の有無

 ワイヤロープ及びチエーンの損傷の有無

 バケツト、ジツパー等の損傷の有無

 第171条の4の特定解体用機械にあつては、逆止め弁、警報装置等の異常の有無

 (略)

(2)正しい。安衛則第 157 条第1項の規定により、車両系建設機械を用いて作業を行うときは、車両系建設機械の転倒又は転落による労働者の危険を防止するため、当該車両系建設機械の運行経路について路肩の崩壊を防止すること、地盤の不同沈下を防止すること、必要な幅員を保持すること等必要な措置を講じなければならない。

【労働安全衛生規則】

(転落等の防止等)

第157条 事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行うときは、車両系建設機械の転倒又は転落による労働者の危険を防止するため、当該車両系建設機械の運行経路について路肩の崩壊を防止すること、地盤の不同沈下を防止すること、必要な幅員を保持すること等必要な措置を講じなければならない。

2及び3 (略)

(3)正しい。第153条。岩石の落下等により労働者に危険が生ずるおそれのある場所で車両系建設機械(ブル・ドーザー、トラクター・ショベル、ずり積機、パワー・ショベル、ドラグ・ショベル及び解体用機械に限る。)を使用するときは、当該車両系建設機械に堅密なヘッドガードを備えなければならない。

【労働安全衛生規則】

(ヘッドガード)

第153条 事業者は、岩石の落下等により労働者に危険が生ずるおそれのある場所で車両系建設機械(ブル・ドーザー、トラクター・ショベル、ずり積機、パワー・ショベル、ドラグ・ショベル及び解体用機械に限る。)を使用するときは、当該車両系建設機械に堅固なヘッドガードを備えなければならない。

(4)誤り。車両系建設機械について、後照燈を備えなければならないという規定はない。なお、安衛則第 152 条の規定により、車両系建設機械には、前照灯を備えなければならない。ただし、作業を安全に行うため必要な照度が保持されている場所で使用する車両系建設機械については、この限りでない。

なお、安衛則で、(原則として)後照灯を備えたものでなければ使用してはならないとされているのは、車両系荷役運搬機械等のうち、フォークリフト、シヨベルローダー等及びストラドルキヤリヤーのみである。なお、車両系荷役運搬機械等であっても、不整地運搬車、構内運搬車及び貨物自動車には、尾灯を備えなければならないとはされているが、後照灯を備えなければならないとはされていない。

【労働安全衛生規則】

(前照灯の設置)

第152条 事業者は、車両系建設機械には、前照灯を備えなければならない。ただし、作業を安全に行うため必要な照度が保持されている場所において使用する車両系建設機械については、この限りでない。

(5)正しい。第 163 条により、車両系建設機械を用いて作業を行うときは、転倒及びブーム、アーム等の作業装置の破壊による労働者の危険を防止するため、当該車両系建設機械についてその構造上定められた安定度、最大使用荷重等を守らなければならない。

当然のことであろう。

【労働安全衛生規則】

(使用の制限)

第163条 事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行うときは、転倒及びブーム、アーム等の作業装置の破壊による労働者の危険を防止するため、当該車両系建設機械についてその構造上定められた安定度、最大使用荷重等を守らなければならない。