労働安全コンサルタント試験 2024年 産業安全一般 問30

機能安全による機械等に係る安全確保の技術上の指針




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 このページは、2024年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

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2024年度(令和06年度) 問30 難易度 リスクアセスメントの基本が分かっていれば正答可能。過去問も多い。絶対に落としてはならない問題。
機能安全の技術指針  4 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問30 厚生労働省の「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」に関する次のイ~ニの記述について、適切でないものの組合せば(1)~(5)のうちどれか。

イ 要求安全機能は、機械等による労働者の就業に係る危険性又は有害性のリスクを低減するために要求される電気・電子・プログラマブル電子制御の機能である。

ロ 複数の作動要求モードで作動する安全関連システムに適用される複数の要求安全機能に対する要求安全度水準の基準値は、最も低い頻度の作動要求モードにより決定される。

ハ 要求安全度水準は、要求安全機能の作動が要求された時に、安全関連システムが当該要求安全機能を作動させることができる確率である。

ニ 要求安全度水準は、機械等の使用条件等を考慮して使用者と製造者とが連携して決定するが、大量に生産される同一型式の機械等については、一定の使用条件を仮定してリスクを解析し、機械等の取扱説明書等により使用条件の制限やメンテナンス頻度の指定等を行う。

(1)イ  ロ

(2)イ  ハ

(3)ロ  ハ

(4)ロ  ニ

(5)ハ  ニ

正答(3)

【解説】

問30試験結果

試験解答状況
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本問は、問題文本文にもあるように、「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針(平成 28 年9月 26 日厚生労働省告示第 353 号)」(以下「指針」という。)に関する問題である。

イ 適切である。要求安全機能の定義は、指針の2-1の(1)に「機械等による労働者の就業に係る危険性又は有害性を特定した上で、それによるリスクを低減するために要求される電子等制御の機能」とされている。この「電子等制御」は、指針1-2に「電気・電子・プログラマブル電子制御」であるとされている。

この2つを組み合わせると、本肢のように、要求安全機能とは、「機械等による労働者の就業に係る危険性又は有害性のリスクを低減するために要求される電気・電子・プログラマブル電子制御の機能である」といえる。

【機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針】

1 総則

1-2 適用

  本指針に示す事項は、新たに機械等に電気・電子・プログラマブル電子制御(以下「電子等制御」という。)の機能を付加することにより、当該機械等による労働者の就業に係る負傷又は疾病の重篤度及び発生の可能性の度合い(以下「リスク」という。)を低減するための措置(以下「機能安全」という。)及びその決定方法を対象とする。

2 機能安全に係る実施事項

2-1 実施内容

  機械等を製造する者(以下「製造者」という。)は、機能安全に係る実施事項として次に掲げる事項を実施すること。

(1)機械等による労働者の就業に係る危険性又は有害性を特定した上で、それによるリスクを低減するために要求される電子等制御の機能(以下「要求安全機能」という。)を特定すること。

(2)及び(3)(略)

※ 厚生労働省「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」(平成 28 年9月 26 日厚生労働省告示第 353 号)

ロ 適切ではない。指針の3-3の(2)にあるように、要求安全度水準は、作動要求モードにより、その基準値が異なるため、製造者は、要求安全機能ごとに、作動要求モードを適切に決定する必要がある。

【機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針】

3 要求安全度水準の決定

3-3 要求安全度水準の決定

(1)(略)

(2)要求安全度水準は、要求安全機能の作動が求められる頻度(以下「作動要求モード」という。)により、その基準値が異なるため、製造者は、要求安全機能ごとに、作動要求モードを適切に決定する必要があること(別紙4)。

※ 厚生労働省「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」(平成 28 年9月 26 日厚生労働省告示第 353 号)

ハ 適切ではない。指針の2-2の(2)にあるように、要求安全度水準は、要求安全機能の作動が要求された時に、安全関連システムが当該要求安全機能を作動させることができない確率である。

【機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針】

2 機能安全に係る実施事項

2-2 要求安全機能及び要求安全度水準の内容

(1)(略)

(2)要求安全度水準は、要求安全機能の作動が要求された時に、安全関連システムが当該要求安全機能を作動させることができない確率であり、その水準を表す指標として、国際電気標準会議の規格61508の安全度水準又は国際標準化機構の規格 13849 のパフォーマンスレベルが用いられること。

※ 厚生労働省「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」(平成 28 年9月 26 日厚生労働省告示第 353 号)

ニ 適切である。指針の3-4の(2)により、要求安全度水準は、機械等の使用条件等を考慮して使用者と製造者とが連携して決定するが、大量に生産される同一型式の機械等については、一定の使用条件を仮定してリスクを解析し、機械等の取扱説明書等により使用条件の制限やメンテナンス頻度の指定等を行うこととされている。

【機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針】

3 要求安全度水準の決定

3-4 要求安全度水準の決定に当たっての留意事項

  製造者は、要求安全度水準を適切に決定するため、次に掲げる事項に留意すること。

(1)(略)

(2)要求安全度水準の決定には、機械等の設置場所等の機械等の使用条件に関する情報が必要であるため、包括指針を踏まえ、機械等の使用者と製造者が連携して要求安全度水準を決定すること。ただし、大量に生産される同一型式の機械等については、あらかじめ機械等の使用条件に関する情報を得ることは困難であるため、一定の使用条件を仮定してリスクを解析し、機械等の取扱説明書等により使用条件の制限やメンテナンス頻度の指定等を行うこと。

(3)~(5)(略)

※ 厚生労働省「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」(平成 28 年9月 26 日厚生労働省告示第 353 号)

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