労働安全コンサルタント試験 2024年 産業安全一般 問27

労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2024年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

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2024年度(令和06年度) 問27 難易度 OSHMS 指針は過去問も多く、過去問の学習のみで正答できるものも多い。落としてはならない問題。
OSHMS指針  3 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問27 厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」の内容及びこれに基づく労働安全衛生マネジメントシステムの運用に関する次の記述のうち、適切でないものはどれが。

(1)安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検とは、安全衛生計画が着実に実施されているかどうか、安全衛生目標は着実に達成されつつあるかどうかなどについて、安全衛生計画の実施事項の担当部門等が、点検を行うことである。

(2)労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置を適切に実施する体制の整備には、労働者に対して労働安全衛生マネジメントシステムに関する教育を行うことが含まれる。

(3)指針は、事業者が取り組むべき事項を具体的に示すとともに、事業者の取組を国が支援するための事項を示している。

(4)労働災害、事故等が発生した場合におけるこれらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施する手順には、いつ、誰が、何をどのようにするか等について定める。

(5)事業場内部の者によるシステム監資は、事業場外部の者によるシステム監査に比べて、監査テーマを特定して、実態を詳しく調査し、評価することができる。

正答(3)

【解説】

問27試験結果

試験解答状況
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本問は、問題文本文にもあるように「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」(以下「指針」という。)に関する問題である。

なお、平成 18 年3月 17 日基発第 0317007 号「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針の改正について」(以下「平成 18 年改正通達」という。)も、適宜、参照する必要がある。

(1)適切である。平成 18 年改正通達によれば、「「安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検」とは、安全衛生計画が着実に実施されているかどうか、安全衛生目標は着実に達成されつつあるかどうか等について点検を行うことを」いうとされている。

【安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検】

第2 細部事項

13 第15条(日常的な点検、改善等)関係

  第1項の「安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検」とは、安全衛生計画が着実に実施されているかどうか、安全衛生目標は着実に達成されつつあるかどうか等について点検を行うことをいい、点検により問題点が発見された場合は、その原因を調査する必要があること。なお、「日常的な点検」は、必ずしも毎日実施する必要はなく、計画期間中の節目節目で実施することとして差し支えないこと。

※ 厚生労働省「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針の改正について」(平成 18 年3月 17 日基発第 0317007 号)

(2)適切である。指針第7条(第四号)には、労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置を適切に実施する体制の整備には、労働者に対して労働安全衛生マネジメントシステムに関する教育を行うことが含まれるとされている。

【労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針】

(体制の整備)

第7条 事業者は、労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置を適切に実施する体制を整備するため、次の事項を行うものとする。

一~三 (略)

 労働者に対して労働安全衛生マネジメントシステムに関する教育を行うこと。

 (略)

※ 厚生労働省「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」(最終改正:令和元年7月1日厚生労働省告示第54号)

(3)適切ではない。指針第2条は、「この指針は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)の規定に基づき機械、設備、化学物質等による危険又は健康障害を防止するため事業者が講ずべき具体的な措置を定めるものではない」としている。

マネジメント指針は、たんに枠組みを定めるだけなのである。具体的な実施事項まで定めてしまったのでは、「従来型の法令を定めてそれに従う」という従来型の(法令遵守型の)対策と変わらなくなってしまう。

【労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針】

第2条 この指針は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)の規定に基づき機械、設備、化学物質等による危険又は健康障害を防止するため事業者が講ずべき具体的な措置を定めるものではない。

※ 厚生労働省「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」(最終改正:令和元年7月1日厚生労働省告示第54号)

(4)適切である。平成 18 年改正通達によれば、指針第8条の手順に関して「第1項第5号(現在は第6号:引用者)の「手順」とは、いつ、誰が、何を、どのようにするか等について定めるものであること」とされている。そして、第1項第5号(現在は第6号)の手順には、指針第16条の「事業者は、労働災害、事故等が発生した場合におけるこれらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施する手順」が含まれる。

【労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針】

(明文化)

第8条 事業者は、次の事項を文書により定めるものとする。

一~五 (略)

 第6条、次項、第10条、第13条、第15条第1項、第16条及び第17条第1項の規定に基づき定められた手順

 (略)

(労働災害発生原因の調査等)

第16条 事業者は、労働災害、事故等が発生した場合におけるこれらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施する手順を定めるとともに、労働災害、事故等が発生した場合には、この手順に基づき、これらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施するものとする。

※ 厚生労働省「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」(最終改正:令和元年7月1日厚生労働省告示第54号)

【マネジメント指針の手順とは】

第2 細部事項

6 第8条(明文化)関係

(1) (略)

(2)第1項第5号の「手順」とは、いつ、誰が、何を、どのようにするか等について定めるものであること。

(3)及び(4) (略)

※ 厚生労働省「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針の改正について」(平成 18 年3月 17 日基発第 0317007 号)

(5)適切である。事業場内部の者によるシステム監資は、事業場外部の者によるシステム監査に比較すると、常駐しているため時間が十分に使えること、また内部の状況を熟知していること等もあり、テーマを特定して、実態を詳しく調査し、評価することができる。