労働安全コンサルタント試験 2024年 産業安全一般 問11

安全衛生教育推進要綱に基づく安全衛生教育




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2024年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2024年度(令和06年度) 問11 難易度 このタイプの問題は過去問にも頻出。しかし、かなり細かい部分からの出題であり、正答率は低い。
安全衛生教育  5 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問11 厚生労働省の「安全衛生教育推進要綱」に基づく安全衛生教育に関する次の記述のうち、当該要綱に定められていないものはどれか。

(1)安全衛生推進者に対して、当該業務に関連する労働災害の動向、技術革新等の社会経済情勢、事業場における職場環境の変化等に対応した事項について、おおむね5年ごと及び機械設備等に大幅な変更があった時に、能力向上教育を実施する。

(2)特定自主検査に従事する者に対して、機械の自動化、高速化等の構造・機能の変化に対応した検査方法等に関する事項について、おおむね5年ごとに、能力向上教育に準じた教育を実施する。

(3)機械設備の設計技術者に対して、機械の使用段階のリスクアセスメントとリスク低減等について、おおむね5年ごとに、機械安全教育を実施する。

(4)中小企業において、教育等の講師、教材等の問題から、自ら教育を実施することが困難な場合には、親企業等による指導・援助、安全衛生団体等の活用による教育を実施する。

(5)海外派遣労働者に対して、当該労働者の派遣前に現地での職域及び生活環境における安全衛生事情に関する教育を実施する。

正答(3)

【解説】

問11試験結果

試験解答状況
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本問は、「安全衛生教育推進要綱平成3年1月 21 日基発第 39 号)」(以下「要綱」という。)に基づく安全衛生教育についての問いである。

なお、教育の対象者と実施するべき教育の内容は、要綱の「別表」(以下「別表」という。)に一覧表の形で定められている。

このタイプの問題は、過去問にも頻出であるが、要綱及びその別表をそのままの形で記憶しておくことは、通常は困難であろう。従って、ある程度は、記憶に頼るのではなく、内容が適切かどうかで判断するしかない。

(1)定められている。要綱の別表の2の(1)によれば、安全衛生推進者に対して、当該業務に関連する労働災害の動向、技術革新等の社会経済情勢、事業場における職場環境の変化等に対応した事項について、おおむね5年ごと及び機械設備等に大幅な変更があった時に、能力向上教育を実施するとされている。

【安全衛生教育推進要綱】

安全衛生教育等の対象者・種類・実施時期及び内容

対象者 種類 実施時期 教育等の内容 備考
1 (略)
2.安全衛生に係る管理者

(1)安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、安全推進者、店社安全衛生管理者、衛生推進者及び元方安全衛生管理者

(略)

イ.当該業務に初めて従事する時

当該業務に関する全般的事項 (略)

ロ.定期(おおむね5年ごとに)

ハ.随時(機械設備等に大幅な変更があった時)

ロとハ

当該業務に関連する労働災害の動向、技術革新等の社会経済情勢、事業場における職場環境の変化等に対応した事項

(略) (略) (略) (略) (略)
3~6 (略)
※ 厚生労働省「安全衛生教育推進要綱」(平成3年1月 21 日基発第 39 号)

(2)定められている。別表の5の(1)に、特定自主検査に従事する者に対して、機械の自動化、高速化等の構造・機能の変化に対応した検査方法等に関する事項について、おおむね5年ごとに、能力向上教育に準じた教育を実施することとされている。

【安全衛生教育推進要綱】

安全衛生教育等の対象者・種類・実施時期及び内容

対象者 種類 実施時期 教育等の内容 備考
1~4 (略)
5.技術者等

(1)特定自主検査に従事

(略) おおむね5年ごとに 機械の自動化、高速化等の構造・機能の変化に対応した検査方法等に関する事項 (略)
(略) (略) (略) (略) (略)
6 (略)
※ 厚生労働省「安全衛生教育推進要綱」(平成3年1月 21 日基発第 39 号)

(3)定められていない。別表の5の(4)に、機械設備の設計技術者に対する教育として定められているのは、「機械の設計・製造段階のリスクアセスメントとリスク低減等等」についてである。また実施時期も随時とされており、おおむね5年ごとにとはされていない。

【安全衛生教育推進要綱】

安全衛生教育等の対象者・種類・実施時期及び内容

対象者 種類 実施時期 教育等の内容 備考
1~4 (略)
5.技術者等
(略) (略) (略) (略) (略)

(4)設計技術者

(略) 随時 機械の設計・製造段階のリスクアセスメントとリスク低減等 (略)
6 (略)
※ 厚生労働省「安全衛生教育推進要綱」(平成3年1月 21 日基発第 39 号)

(4)定められている。要綱の5の(2)に「中小企業においては、教育等の講師、教材等の問題から自ら教育を実施することの困難な事業場もみられるので、親企業等による指導・援助、安全衛生団体等の活用による教育等の実施の促進を図る」とされている。

【安全衛生教育推進要綱】

5.教育等の推進に当たって留意すべき事項

(2)中小企業

  中小企業においては、教育等の講師、教材等の問題から自ら教育を実施することの困難な事業場もみられるので、親企業等による指導・援助、安全衛生団体等の活用による教育等の実施の促進を図る。

  また、国が中小企業の支援措置として実施している各種事業の活用も図る。

※ 厚生労働省「安全衛生教育推進要綱」(平成3年1月 21 日基発第 39 号)

(5)定められている。要綱の5の(1)に、海外派遣労働者に対して、当該労働者の派遣前に現地での職域及び生活環境における安全衛生事情に関する教育を実施するとされている。

【安全衛生教育推進要綱】

5.教育等の推進に当たって留意すべき事項

(1)就業形態の多様化

  パートタイム労働者、派遣労働者等就業形態は多様化しているが、労働者に対しては、就業時に従事する作業に関する安全衛生の知識等を付与すること、すなわち雇入時等の教育を徹底することが重要である。

  また、経済の国際化に伴い急増する海外派遣労働者については、海外生活での安全衛生を確保するため派遣元の企業において当該労働者の派遣前に現地での職域及び生活環境における安全衛生事情に関する知識を付与することが重要であり、そのための教育等の推進を図る。

※ 厚生労働省「安全衛生教育推進要綱」(平成3年1月 21 日基発第 39 号)