問7 乾燥設備による爆発、火災等を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。
(1)乾燥設備及びその附属設備については、2年以内ごとに1回、定期に、自主検査を実施しなければならない。ただし、 2年を超える期間使用しない乾燥設備及びその附属設備の当該使用しない期間においては、この限りでない。
(2)乾燥設備作業主任者の職務には、乾燥設備がある場所を常に整理整頓し、及びその場所にみだりに可燃性の物を置かないことが含まれる。
(3)乾燥物の種類等により爆発又は火災が生じるおそれがある危険物乾燥設備について、炎又ははね火により乾燥物が燃焼することを防止するための有効な覆い又は隔壁を設けたときは、熱源として直火を使用することができる。
(4)電力を熱源として使用する乾燥設備による物の加熱乾燥の作業は、当該設備の定格消費電力の大きさにかかわらず、乾燥設備作業主任者の選任を要しない。
(5)危険物乾燥設備に防火のための有効な覆いを設けたときは、当該乾燥設備がある場所に消火設備を設けないことができる。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2023年度(令和05年度) | 問07 | 難易度 | 乾燥設備に関する詳細な知識問題である。他の問題に比較すれば正答率は高かった。 |
---|---|---|---|
爆発・火災災害の防止 | 3 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問7 乾燥設備による爆発、火災等を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。
(1)乾燥設備及びその附属設備については、2年以内ごとに1回、定期に、自主検査を実施しなければならない。ただし、 2年を超える期間使用しない乾燥設備及びその附属設備の当該使用しない期間においては、この限りでない。
(2)乾燥設備作業主任者の職務には、乾燥設備がある場所を常に整理整頓し、及びその場所にみだりに可燃性の物を置かないことが含まれる。
(3)乾燥物の種類等により爆発又は火災が生じるおそれがある危険物乾燥設備について、炎又ははね火により乾燥物が燃焼することを防止するための有効な覆い又は隔壁を設けたときは、熱源として直火を使用することができる。
(4)電力を熱源として使用する乾燥設備による物の加熱乾燥の作業は、当該設備の定格消費電力の大きさにかかわらず、乾燥設備作業主任者の選任を要しない。
(5)危険物乾燥設備に防火のための有効な覆いを設けたときは、当該乾燥設備がある場所に消火設備を設けないことができる。
正答(2)
【解説】
(1)誤り。乾燥設備の定期自主検査は1年以内ごとに1回行わなければならない(安衛則第 299 条)。2年以内ごとに1回ではない。
【労働安全衛生法】
(定期自主検査)
第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~4 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(定期に自主検査を行うべき機械等)
第15条 法第四十五条第一項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。
一~六 (略)
七 乾燥設備及びその附属設備
八~十一 (略)
2 (略)
【労働安全衛生規則】
(定期自主検査)
第299条 事業者は、乾燥設備及びその附属設備については、一年以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行なわなければならない。ただし、一年をこえる期間使用しない乾燥設備及びその附属設備の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一~六 (略)
2及び3 (略)
(2)正しい。安衛則第 298 条(第四号)。
【労働安全衛生規則】
(乾燥設備作業主任者の職務)
第298条 事業者は、乾燥設備作業主任者に次の事項を行なわせなければならない。
一 乾燥設備をはじめて使用するとき、又は乾燥方法若しくは乾燥物の種類を変えたときは、労働者にあらかじめ当該作業の方法を周知させ、かつ、当該作業を直接指揮すること。
二 乾燥設備及びその附属設備について不備な箇所を認めたときは、直ちに必要な措置をとること。
三 乾燥設備の内部における温度、換気の状態及び乾燥物の状態について随時点検し、異常を認めたときは、直ちに必要な措置をとること。
四 乾燥設備がある場所を常に整理整とんし、及びその場所にみだりに可燃性の物を置かないこと。
(3)誤り。安衛則第 294 条(第十号)は、乾燥物の種類、加熱乾燥の程度、熱源の種類等により爆発又は火災が生ずるおそれのない場合を除き、危険物乾燥設備の熱源として直火を使用してはならないとしている。
なお、同第十一号は、危険物乾燥設備以外の乾燥設備について、熱源として直火を使用するときは、炎又ははね火により乾燥物が燃焼することを防止するための有効な覆い又は隔壁を設けなければならないとしている。しかし、同号は、乾燥物の種類等により爆発又は火災が生じるおそれがある危険物乾燥設備については適用がない。
【労働安全衛生規則】
(乾燥設備の構造等)
第294条 事業者は、乾燥設備については、次に定めるところによらなければならない。ただし、乾燥物の種類、加熱乾燥の程度、熱源の種類等により爆発又は火災が生ずるおそれのないものについては、この限りでない。
一~九 (略)
十 危険物乾燥設備の熱源として直火を使用しないこと。
十一 危険物乾燥設備以外の乾燥設備の熱源として直火を使用するときは、炎又ははね火により乾燥物が燃焼することを防止するため、有効な覆い又は隔壁を設けること。
(4)誤り。安衛法第 14 条は、安衛令第6条第八号の作業について作業主任者の選任を義務付けている。安衛令第6条第八号ロは、電力を熱源として使用する乾燥設備による物の加熱乾燥の作業について、定格消費電力が10キロワツト以上のものについて乾燥設備作業主任者の選任を要するとしている。
【労働安全衛生法】
(作業主任者)
第14条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
【労働安全衛生法施行令】
(作業主任者を選任すべき作業)
第6条 法第十四条の政令で定める作業は、次のとおりとする。
一~七 (略)
八 次に掲げる設備による物の加熱乾燥の作業
イ (略)
ロ 乾燥設備のうち、イの危険物等以外の物に係る設備で、熱源として燃料を使用するもの(その最大消費量が、固体燃料にあつては毎時十キログラム以上、液体燃料にあつては毎時十リツトル以上、気体燃料にあつては毎時一立方メートル以上であるものに限る。)又は熱源として電力を使用するもの(定格消費電力が十キロワツト以上のものに限る。)
八の二~二十三 (略)
【労働安全衛生規則】
(乾燥設備作業主任者の選任)
第297条 事業者は、令第六条第八号の作業については、乾燥設備作業主任者技能講習を修了した者のうちから、乾燥設備作業主任者を選任しなければならない。
(5)誤り。安衛則第 289 条その他関係条文に本肢のような例外規定はない。
【労働安全衛生規則】
(消火設備)
第289条 事業者は、建築物及び化学設備(配管を除く。)又は乾燥設備がある場所その他危険物、危険物以外の引火性の油類等爆発又は火災の原因となるおそれのある物を取り扱う場所(以下この条において「建築物等」という。)には、適当な箇所に、消火設備を設けなければならない。
2 前項の消火設備は、建築物等の規模又は広さ、建築物等において取り扱われる物の種類等により予想される爆発又は火災の性状に適応するものでなければならない。