問6 墜落、飛来落下による危険の防止に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、違反となるものはどれか。
(1)高さが3メートルの箇所で作業を行う場合において、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させるとき、要求性能墜落制止用器具の異常の有無について、随時点検したが1か月以内ごとの定期自主検査は行わなかった。
(2)幅が 30 センチメートルの移動はしごを使用した。
(3)高さが3メートルの構造の足場の組立ての作業を行う場合において、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるとき、作業主任者の選任も、作業を指揮する者の指名も行わなかった。
(4)踏み抜くおそれのあるスレートでふかれた屋根の上で作業を行うとき、幅が 30 センチメートルの歩み板を設けて作業を行った。
(5)折りたたみ式の脚立を、金具により脚と水平面との角度を75度にして使用した。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2023年度(令和05年度) | 問06 | 難易度 | 墜落・飛来落下防止に関するやや詳細な知識問題である。学習時間によって差が付く問題である。 |
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墜落・飛来による危険防止 | 3 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問6 墜落、飛来落下による危険の防止に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、違反となるものはどれか。
(1)高さが3メートルの箇所で作業を行う場合において、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させるとき、要求性能墜落制止用器具の異常の有無について、随時点検したが1か月以内ごとの定期自主検査は行わなかった。
(2)幅が 30 センチメートルの移動はしごを使用した。
(3)高さが3メートルの構造の足場の組立ての作業を行う場合において、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるとき、作業主任者の選任も、作業を指揮する者の指名も行わなかった。
(4)踏み抜くおそれのあるスレートでふかれた屋根の上で作業を行うとき、幅が 30 センチメートルの歩み板を設けて作業を行った。
(5)折りたたみ式の脚立を、金具により脚と水平面との角度を75度にして使用した。
正答(3)
【解説】
(1)違反とはならない。要求性能墜落制止用器具について、安衛法令上、定期自主検査は義務付けられていない。要求性能墜落制止用器具のような単純な道具は、定期自主検査の対象となりにくいのである。
また、高さが3メートルの箇所で作業を行う場合において、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させるとき、要求性能墜落制止用器具の異常の有無について、随時点検したことは違反になりようがない(安衛則第521条第2項にも適合している)。
【労働安全衛生法】
(定期自主検査)
第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~4 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(定期に自主検査を行うべき機械等)
第15条 法第四十五条第一項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。
一 第12条第1項各号に掲げる機械等、第13条第3項第五号、第六号、第八号、第九号、第十四号から第十九号まで及び第三十号から第三十四号までに掲げる機械等、第14条第二号から第四号までに掲げる機械等並びに前条第十号及び第十一号に掲げる機械等
二 動力により駆動されるプレス機械
三 動力により駆動されるシャー
四 動力により駆動される遠心機械
五 化学設備(配管を除く。)及びその附属設備
六 アセチレン溶接装置及びガス集合溶接装置(これらの装置の配管のうち、地下に埋設された部分を除く。)
七 乾燥設備及びその附属設備
八 動力車及び動力により駆動される巻上げ装置で、軌条により人又は荷を運搬する用に供されるもの(鉄道営業法(明治三十三年法律第六十五号)、鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)又は軌道法(大正十年法律第七十六号)の適用を受けるものを除く。)
九 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置で、厚生労働省令で定めるもの
十 特定化学設備(別表第三第二号に掲げる第二類物質のうち厚生労働省令で定めるもの又は同表第三号に掲げる第三類物質を製造し、又は取り扱う設備で、移動式以外のものをいう。)及びその附属設備
十一 ガンマ線照射装置で、透過写真の撮影に用いられるもの
2 (略)
【労働安全衛生規則】
(要求性能墜落制止用器具等の取付設備等)
第521条 事業者は、高さが2メートル以上の箇所で作業を行う場合において、労働者に要求性能墜落制止用器具等を使用させるときは、要求性能墜落制止用器具等を安全に取り付けるための設備等を設けなければならない。
2 事業者は、労働者に要求性能墜落制止用器具等を使用させるときは、要求性能墜落制止用器具等及びその取付け設備等の異常の有無について、随時点検しなければならない。
(2)違反とはならない。安衛則第 527 条(第三号)に適合している。
【労働安全衛生規則】
(移動はしご)
第527条 事業者は、移動はしごについては、次に定めるところに適合したものでなければ使用してはならない。
一 丈夫な構造とすること。
二 材料は、著しい損傷、腐食等がないものとすること。
三 幅は、30センチメートル以上とすること。
四 すべり止め装置の取付けその他転位を防止するために必要な措置を講ずること。
(3)違反となる。作業指揮者を専任しなかったことは、安衛則第 529 条(第一号)に違反する。なお、作業主任者の選任をしなかったことは、安衛則第 565 条が適用となるのは、高さが5メートルの構造の足場の組立て等の作業を行う場合であるので違反とはならない。
【労働安全衛生法】
(作業主任者)
第14条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
【労働安全衛生法施行令】
(作業主任者を選任すべき作業)
第6条 法第十四条の政令で定める作業は、次のとおりとする。
一~十四 (略)
十五 つり足場(ゴンドラのつり足場を除く。以下同じ。)、張出し足場又は高さが5メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業
十五の二~二十三 (略)
【労働安全衛生規則】
(建築物等の組立て、解体又は変更の作業)
第529条 事業者は、建築物、橋梁、足場等の組立て、解体又は変更の作業(作業主任者を選任しなければならない作業を除く。)を行なう場合において、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、次の措置を講じなければならない。
一 作業を指揮する者を指名して、その者に直接作業を指揮させること。
二 あらかじめ、作業の方法及び順序を当該作業に従事する労働者に周知させること。
(足場の組立て等作業主任者の選任)
第565条 事業者は、令第6条第十五号の作業については、足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、足場の組立て等作業主任者を選任しなければならない。
(4)違反とはならない。安衛則第 524 条に適合している。
【労働安全衛生規則】
(スレート等の屋根上の危険の防止)
第524条 事業者は、スレート、木毛板等の材料でふかれた屋根の上で作業を行なう場合において、踏み抜きにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、幅が30センチメートル以上の歩み板を設け、防網を張る等踏み抜きによる労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。
(5)違反とはならない。安衛則第 528 条(第三号)に適合している。
【労働安全衛生規則】
(脚立)
第528条 事業者は、脚立については、次に定めるところに適合したものでなければ使用してはならない。
一 丈夫な構造とすること。
二 材料は、著しい損傷、腐食等がないものとすること。
三 脚と水平面との角度を75度以下とし、かつ、折りたたみ式のものにあつては、脚と水平面との角度を確実に保つための金具等を備えること。
四 踏み面は、作業を安全に行なうため必要な面積を有すること。