問4 車両系木材伐出機械による労働災害を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)車両系木材伐出機械について誘導者を置くときは、一定の合図を定め、誘導者に当該合図を行わせなければならない。
(2)車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、運転中の車両系木材伐出機械又は取り扱う原木等に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。
(3)車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、原動機の異常の有無並びにヘッドガード及び飛来物防護設備の異常の有無について点検を行わなければならない。
(4)車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、当該車両系木材伐出機の転落、地山の崩壊等による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該作業に係る場所について地形、地盤の状態等並びに伐倒する立木及び取り扱う原木等の形状等を調査し、その結果を記録しておかなければならない。
(5)車両系木材伐出機械については、堅固なヘッドガードを備えたものでなければ使用してはならない。ただし、原木等の落下により運転者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2023年度(令和05年度) | 問04 | 難易度 | 車両系木材伐出機械はこれまでに出題されたことはない。やや些末な事項という気がしないでもない。 |
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車両系木材伐出機械 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問4 車両系木材伐出機械による労働災害を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)車両系木材伐出機械について誘導者を置くときは、一定の合図を定め、誘導者に当該合図を行わせなければならない。
(2)車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、運転中の車両系木材伐出機械又は取り扱う原木等に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。
(3)車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、原動機の異常の有無並びにヘッドガード及び飛来物防護設備の異常の有無について点検を行わなければならない。
(4)車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、当該車両系木材伐出機の転落、地山の崩壊等による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該作業に係る場所について地形、地盤の状態等並びに伐倒する立木及び取り扱う原木等の形状等を調査し、その結果を記録しておかなければならない。
(5)車両系木材伐出機械については、堅固なヘッドガードを備えたものでなければ使用してはならない。ただし、原木等の落下により運転者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない。
正答(3)
【解説】
(1)正しい。安衛則第 151 条の 94 により、車両系木材伐出機械について誘導者を置くときは、一定の合図を定め、誘導者に当該合図を行わせなければならない。
なお、意外に思われることもあるが、クレーン等の安全衛生法で規制する機械について、統一的な合図は定められていない。このため、それぞれの現場で合図を統一的に定めておかないと、合図の誤解で事故原因につながるおそれがある。
このため誘導者の配置を義務付けた場合には、ほぼ合図の統一がセットで義務付けられている(※)。
※ 高所作業車の走行時の作業床への搭乗に関しては、誘導者の配置が義務付けられているにもかかわらず、合図の統一の規定がない。
【労働安全衛生規則】
(合図)
第151条の94 業者は、車両系木材伐出機械について誘導者を置くときは、一定の合図を定め、誘導者に当該合図を行わせなければならない。
2 前項の車両系木材伐出機械の運転者は、同項の合図に従わなければならない。
(2)正しい。第 151 条の 95 により、車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、運転中の車両系木材伐出機械又は取り扱う原木等に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。
常識的に考えて本肢は労働災害の防止に必要なことである。仮に、本肢が誤りだとすると、労働災害防止に必要なことが安衛法令に書かれていないことになる。そんな問題を厚労省の国家試験に出題するはずがあるまい。
【労働安全衛生規則】
(接触の防止)
第151条の95 事業者は、車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、運転中の車両系木材伐出機械又は取り扱う原木等に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。
(3)誤り。安衛則第 151 条の 110 により、車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、原動機の異常の有無を点検しなければならない。しかし、ヘッドガード及び飛来物防護設備の異常の有無について点検を行わなければならないとはされていない。
作業開始前の安全設備の点検の対象は、日常的に壊れやすかったり、無効化されることが多かったりする項目である。ヘッドガード及び飛来物防護設備は、簡単に異常がでるようなものではない。一定の間隔で検査すれば十分であろう。
しかし、作業開始前に目視でヘッドガード及び飛来物防護設備に異常がないことを確認することは悪いことではない。このような設問がコンサルタントの能力を調べる試験として必要なのか、疑問を感じざるを得ない(※)。
※ 2023 年度の安全コンサルタント試験は、かなり細かなことを訪ねる問題が多い。これは、試験の難易度の問題ではなく、適切さの問題であろう。難しくするなとまでは言わないが、あまりに細かなことを問うのは如何なものであろうか。
【労働安全衛生規則】
(点検)
第151条の110 事業者は、車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、次の事項について点検を行わなければならない。
一 制動装置及び操縦装置の機能
二 作業装置及び油圧装置の機能
三 ワイヤロープ及び履帯又は車輪の異常の有無
四 前照灯の機能
(4)正しい。安衛則第 151 条の 88 により、車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、当該車両系木材伐出機の転落、地山の崩壊等による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該作業に係る場所について地形、地盤の状態等並びに伐倒する立木及び取り扱う原木等の形状等を調査し、その結果を記録しておかなければならない。
【労働安全衛生規則】
(調査及び記録)
第151条の88 事業者は、車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、当該車両系木材伐出機械の転落、地山の崩壊等による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該作業に係る場所について地形、地盤の状態等並びに伐倒する立木及び取り扱う原木等の形状等を調査し、その結果を記録しておかなければならない。
(5)正しい。安衛則第 151 条の 86 により、車両系木材伐出機械については、堅固なヘッドガードを備えたものでなければ使用してはならない。ただし、原木等の落下により運転者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない。
【労働安全衛生規則】
(ヘツドガード)
第151条の86 事業者は、車両系木材伐出機械については、堅固なヘツドガードを備えたものでなければ使用してはならない。ただし、原木等の落下により運転者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない。