労働安全コンサルタント試験 2023年 産業安全関係法令 問03

機械による危険の防止に関する規制




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2023年度(令和05年度) 問03 難易度 機械による危険の防止は、詳細な知識を問う出題が多い。学習時間によって差がつく問題である。
機械による危険

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問3 機械による危険を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。

(1)紙、布、ワイヤロープ等の巻取りロール、コイル巻等により作業中の労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、当該労働者に手袋を使用させなければならない。

(2)運転中の立旋盤、プレーナー等のテーブルには、労働者を乗せてはならない。ただし、専用の搭乗設備を設けて当該搭乗設備に労働者を乗せるときは、この限りでない。

(3)回転中の研削といしが労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、覆いを設けなければならない。ただし、標準使用速度で使用する研削といしについては、この限りでない。

(4)手押しかんな盤には、刃の接触予防装置を設けなければならない。ただし、労働者に治具又は工具を使用させたときは、この限りでない。

(5)プレス機械の金型の調整のためスライドを作動させるときは、寸動機構を有するものにあつては寸動により、寸動機構を有するもの以外のものにあっては手回しにより行わなければならない。

正答(5)

【解説】

問3試験結果

試験解答状況
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(1)誤り。このような規定はない。なお、安衛則第 111 条により、事業者はボール盤、面取り盤等の回転する刃物に作業中の労働者の手が巻き込まれるおそれのあるとき(※)は、当該労働者に手袋を使用させてはならないとされている。

※ 筆者は、ある工場でボール盤に「ボール盤使用時は手袋を着用すること」という表示がされているのを見たことがある。危険だと説明したのだが、現場の担当者は容易には納得せず、かなり時間をかけて説明した。意外に誤解している安全担当者は多いようである。

巻取りロールやコイル巻等により作業中の労働者に危険を及ぼすおそれがあるとすれば、巻き込まれる危険があろう。機械に巻き込まれることを防止するのに、手袋は役に立たないことに気づかなければならない。

【労働安全衛生規則】

(手袋の使用禁止)

第111条 事業者は、ボール盤、面取り盤等の回転する刃物に作業中の労働者の手が巻き込まれるおそれのあるときは、当該労働者に手袋を使用させてはならない。

 労働者は、前項の場合において、手袋の使用を禁止されたときは、これを使用してはならない。

(2)誤り。本肢の但し書きのような規定はない。安衛則第 116 条の規定により、運転中の立旋盤、プレーナー等のテーブルには、原則として労働者を乗せてはならない。ただし、テーブルに乗つた労働者又は操作盤に配置された労働者が、直ちに機械を停止することができるときは、この限りでないとされている。

運転中の立旋盤、プレーナー等のテーブルに、労働者を乗せるための専用の搭乗設備を設けることなど、通常は考え難い。あまりにも非常識な設問である。

【労働安全衛生規則】

(立旋盤等のテーブルへのとう乗の禁止)

第116条 事業者は、運転中の立旋盤、プレーナー等のテーブルには、労働者を乗せてはならない。ただし、テーブルに乗つた労働者又は操作盤に配置された労働者が、直ちに機械を停止することができるときは、この限りでない。

 労働者は、前項ただし書の場合を除いて、運転中の立旋盤、プレーナー等のテーブルに乗つてはならない。

(3)誤り。本肢の但し書きのような規定はない。安衛則第 117 条の規定により、回転中の研削といしが労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、原則として覆いを設けなければならない。ただし、直径が 50 ミリメートル未満の研削といしについては、この限りでないとされている。

本肢の「標準速度」が何を意味するのかは不明であるが、標準的な速度(普通の速度)で回転させているときに、覆いを外してよいわけがなかろう。

【労働安全衛生規則】

(研削といしのおおい)

第117条 事業者は、回転中の研削といしが労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、おおいを設けなければならない。ただし、直径が50ミリメートル未満の研削といしについては、この限りでない。

(4)誤り。安衛則第 126 条により、手押しかんな盤には、刃の接触予防装置を設けなければならない。これには本肢のような例外規定はない。

【労働安全衛生規則】

(手押しかんな盤の刃の接触予防装置)

第126条 事業者は、手押しかんな盤には、刃の接触予防装置を設けなければならない。

(5)正しい。安衛則第 131 条の3により、プレス機械の金型の調整のためスライドを作動させるときは、寸動機構を有するものにあつては寸動により、寸動機構を有するもの以外のものにあっては手回しにより行わなければならない。

【労働安全衛生規則】

(金型の調整)

第131条の3 事業者は、プレス機械の金型の調整のためスライドを作動させるときは、寸動機構を有するものにあつては寸動により、寸動機構を有するもの以外のものにあつては手回しにより行わなければならない。

2023年12月07日執筆