問2 安全管理体制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)圧気工法による作業を行う仕事に係る元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が当該場所において作業を行う場合であって、これらの労働者の数が常時 40 人であるときは、統括安全衛生責任者を選任しなければならない。
(2)事業者は、元方安全衛生管理者に対し、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため必要な措置をなし得る権限を与えなければならない。
(3)元方事業者は、一の場所において、元方事業者の労働者及び関係請負人の労働者の数が常時30人である道路の建設の仕事の作業を行うときは、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、店社安全衛生管理者を選任しなければならない。
(4)店社安全衛生管理者を選任すべき事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するために設置される協議組織の会議に、店社安全衛生管理者を随時参加させなければならない。
(5)安全衛生責任者を選任すべき請負人は、安全衛生責任者が疾病によつて職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2023年度(令和05年度) | 問02 | 難易度 | 下請け構造の安全管理体制は制度が複雑で、例年、正答率は低い。専門家以外は棄て問と割り切ることも必要。 |
---|---|---|---|
労働安全管理体制 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問2 安全管理体制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)圧気工法による作業を行う仕事に係る元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が当該場所において作業を行う場合であって、これらの労働者の数が常時 40 人であるときは、統括安全衛生責任者を選任しなければならない。
(2)事業者は、元方安全衛生管理者に対し、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため必要な措置をなし得る権限を与えなければならない。
(3)元方事業者は、一の場所において、元方事業者の労働者及び関係請負人の労働者の数が常時30人である道路の建設の仕事の作業を行うときは、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、店社安全衛生管理者を選任しなければならない。
(4)店社安全衛生管理者を選任すべき事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するために設置される協議組織の会議に、店社安全衛生管理者を随時参加させなければならない。
(5)安全衛生責任者を選任すべき請負人は、安全衛生責任者が疾病によつて職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。
正答(3)
【解説】
(1)正しい。安衛法第 15 条第1項(及び安衛令第7条第2項第一号)により、圧気工法による作業を行う仕事に係る元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が当該場所において作業を行う場合であって、これらの労働者の数が常時40人であるとき(※)は、統括安全衛生責任者を選任しなければならない。
※ 義務が課せられるのは、労働者及びその請負人の労働者の数が 30 人以上であるから、常時 40 人であれば義務が課せられる。
【労働安全衛生法】
(統括安全衛生責任者)
第15条 事業者で、1の場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているもの(当該事業の仕事の一部を請け負わせる契約が2以上あるため、その者が2以上あることとなるときは、当該請負契約のうちの最も先次の請負契約における注文者とする。以下「元方事業者」という。)のうち、建設業その他政令で定める業種に属する事業(以下「特定事業」という。)を行う者(以下「特定元方事業者」という。)は、その労働者及びその請負人(元方事業者の当該事業の仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。以下「関係請負人」という。)の労働者が当該場所において作業を行うときは、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、第30条第1項各号の事項を統括管理させなければならない。ただし、これらの労働者の数が政令で定める数未満であるときは、この限りでない。
2~5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(統括安全衛生責任者を選任すべき業種等)
第7条 (第1項 略)
2 法第15条第1項ただし書及び第3項の政令で定める労働者の数は、次の各号に掲げる仕事の区分に応じ、当該各号に定める数とする。
一 ずい道等の建設の仕事、橋梁の建設の仕事(作業場所が狭いこと等により安全な作業の遂行が損なわれるおそれのある場所として厚生労働省令で定める場所において行われるものに限る。)又は圧気工法による作業を行う仕事 常時30人
二 前号に掲げる仕事以外の仕事 常時50人
(2)正しい。安衛則第 18 条の5の規定により、事業者は、元方安全衛生管理者に対し、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため必要な措置をなし得る権限を与えなければならない。
【労働安全衛生法】
(元方安全衛生管理者)
第15条の2 前条第1項又は第3項の規定により統括安全衛生責任者を選任した事業者で、建設業その他政令で定める業種に属する事業を行うものは、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、元方安全衛生管理者を選任し、その者に第30条第1項各号の事項のうち技術的事項を管理させなければならない。
2 (略)
【労働安全衛生規則】
(権限の付与)
第18条の5 事業者は、元方安全衛生管理者に対し、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため必要な措置をなし得る権限を与えなければならない。
(3)誤り。労働安全衛生法第 15 条の3括弧書きの前段(及び安衛則第第 18 条の6第1項第二号)により、道路の建設の仕事の作業を行う事業者は、関係労働者の数が常時 50 人未満の場合には、店社安全衛生管理者の選任を要しないとされている。従って、関係労働者の数が常時 30 人である道路の建設の仕事の作業を行う本肢の事業者は、店社安全衛生管理者の選任を要しない。
なお、道路の建設の仕事の作業を行う事業者は、関係労働者の数が常時 50 人以上の場合(安衛令第7条第1項第二号参照)には、安衛法第 15 条第1項の規定により統括安全衛生責任者の選任しなければならない(関連条文は(1)の解説に記載)。従って、安衛法第 15 条の3第1項括弧書きの後段により、関係労働者の数が常時 50 人以上の道路の建設の仕事の作業を行う事業者は、店社安全衛生管理者の選任を要しないこととなる。
すなわち、店社安全衛生管理者の選任について定める労働安全衛生法第 15 条の3は、その括弧書きによって、道路の建設の仕事の作業を行う事業者については、関係労働者数が 50 人未満の場合はそもそも選任を要せず、50 人以上の場合は統括安全衛生責任者を選任しなければならないのでやはり選任を要しないとしているのである。この結果、関係労働者数に関わらず店社安全衛生管理者の選任を要する場合はないこととなる(※)。
※ 店社安全衛生管理者の選任に関する関係労働者数の要件についての条文は、複雑な定め方をしており、かなり分かりにくい。本サイトの「表で見る労働安全衛生管理体制」の「6 統括安全衛生責任者等」にまとめてある(道路の建設の仕事の作業を行う事業者は、表の「左2欄以外の建設業」に該当)ので参照して頂きたい。
【労働安全衛生法】
(店社安全衛生管理者)
第15条の3 建設業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が一の場所(これらの労働者の数が厚生労働省令で定める数未満である場所及び第15条第1項又は第3項の規定により統括安全衛生責任者を選任しなければならない場所を除く。)において作業を行うときは、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、これらの労働者の作業が同一の場所で行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、店社安全衛生管理者を選任し、その者に、当該事業場で締結している当該請負契約に係る仕事を行う場所における第30条第1項各号の事項を担当する者に対する指導その他厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
2 第30条第4項の場合において、同項のすべての労働者の数が厚生労働省令で定める数以上であるとき(第15条第1項又は第3項の規定により統括安全衛生責任者を選任しなければならないときを除く。)は、当該指名された事業者で建設業に属する事業の仕事を行うものは、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、これらの労働者に関し、これらの労働者の作業が同一の場所で行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、店社安全衛生管理者を選任し、その者に、当該事業場で締結している当該請負契約に係る仕事を行う場所における第30条第1項各号の事項を担当する者に対する指導その他厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、前項の規定は適用しない。
【労働安全衛生法施行令】
(統括安全衛生責任者を選任すべき業種等)
第7条 (第1項 略)
2 (柱書 略)
一 ずい道等の建設の仕事、橋梁の建設の仕事(作業場所が狭いこと等により安全な作業の遂行が損なわれるおそれのある場所として厚生労働省令で定める場所において行われるものに限る。)又は圧気工法による作業を行う仕事 常時三十人
二 (略)
【労働安全衛生規則】
(店社安全衛生管理者の選任に係る労働者数等)
第18条の6 法第15条の3第1項及び第2項の厚生労働省令で定める労働者の数は、次の各号の仕事の区分に応じ、当該各号に定める数とする。
一 令第7条第2項第一号の仕事及び主要構造部が鉄骨造又は鉄骨鉄筋コンクリート造である建築物の建設の仕事 常時20人
二 前号の仕事以外の仕事 常時50人
2 (略)
(4)正しい。安衛則第 18 条の8第三号により、店社安全衛生管理者を選任すべき事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するために設置される協議組織の会議に、店社安全衛生管理者を随時参加させなければならない。
【労働安全衛生法】
(店社安全衛生管理者)
第15条の3 建設業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が一の場所(これらの労働者の数が厚生労働省令で定める数未満である場所及び第15条第1項又は第3項の規定により統括安全衛生責任者を選任しなければならない場所を除く。)において作業を行うときは、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、これらの労働者の作業が同一の場所で行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、店社安全衛生管理者を選任し、その者に、当該事業場で締結している当該請負契約に係る仕事を行う場所における第30条第1項各号の事項を担当する者に対する指導その他厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
2 第30条第4項の場合において、同項のすべての労働者の数が厚生労働省令で定める数以上であるとき(第15条第1項又は第3項の規定により統括安全衛生責任者を選任しなければならないときを除く。)は、当該指名された事業者で建設業に属する事業の仕事を行うものは、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、これらの労働者に関し、これらの労働者の作業が同一の場所で行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、店社安全衛生管理者を選任し、その者に、当該事業場で締結している当該請負契約に係る仕事を行う場所における第30条第1項各号の事項を担当する者に対する指導その他厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、前項の規定は適用しない。
(特定元方事業者等の講ずべき措置)
第30条 特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。
一 協議組織の設置及び運営を行うこと。
二~六 (略)
2~4 (略)
【労働安全衛生規則】
(店社安全衛生管理者の職務)
第18条の8 法第15条の3第1項及び第2項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 少なくとも毎月1回法第15条の3第1項又は第2項の労働者が作業を行う場所を巡視すること。
二 法第15条の3第1項又は第2項の労働者の作業の種類その他作業の実施の状況を把握すること。
三 法第30条第1項第一号の協議組織の会議に随時参加すること。
四 法第30条第1項第五号の計画に関し同号の措置が講ぜられていることについて確認すること。
(5)正しい。安衛則第 20 条が準用する同規則第3条により、安全衛生責任者を選任すべき請負人は、安全衛生責任者が疾病によつて職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。
【労働安全衛生法】
(安全衛生責任者)
第16条 第15条第1項又は第3項の場合において、これらの規定により統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人で、当該仕事を自ら行うものは、安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者との連絡その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
2 (略)
【労働安全衛生規則】
(総括安全衛生管理者の代理者)
第3条 事業者は、総括安全衛生管理者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によつて職務を行なうことができないときは、代理者を選任しなければならない。
(統括安全衛生責任者等の代理者)
第20条 第3条の規定は、統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、店社安全衛生管理者及び安全衛生責任者について準用する。