労働安全コンサルタント試験 2023年 産業安全一般 問19

保護具




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2023年度(令和05年度) 問19 難易度 保護具に関するごく基本的な知識問題である。本問は確実に正答できなければならない。
保護具

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問19 保護具に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)飛来・落下物用の保護帽は、帽体、着装体及びあごひもを有している。

(2)保護帽の衝撃吸収ライナーとは、発泡スチロール又はこれと同等以上の衝撃吸収性能を有するもので、帽体の内部に取り付けられる部品である。

(3)保護帽は、見やすい箇所に、製造者名、製造年月及び物体の飛来若しくは落下による危険を防止するためのものである旨又は墜落による危険を防止するためのものである旨が表示されている。

(4)墜落制止用器具の巻取り器とは、ランヤードのロープ等を巻き取るための器具をいう。

(5)鉄骨組立て作業等において墜落制止用器具を使用する場合、足下にフック等を掛けて作業を行う必要があるときは、フルハーネス型を選定するとともに、第一種ショツクアブソーバを選定する。

正答(5)

【解説】

問19試験結果

試験解答状況
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(1)適切である。保護帽の規格(昭和50年9月8日労働省告示第66号(最終改正:令和元年6月28日厚生労働省告示第48号))第4条により飛来・落下物用の保護帽は、帽体、着装体及びあごひもを有していなければならない。

【保護帽の規格】

(構造)

第4条 物体の飛来又は落下による危険を防止するための保護帽は、帽体、着装体及びあごひもを有し、かつ、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。

一~三 (略)

(2)適切である。保護帽の規格第3条によれば、保護帽の衝撃吸収ライナーとは、帽体に衝撃が加わつた際に着用者の頭部に加わる衝撃を緩和するために帽体の内部に取り付けられる部品である。

また、同企画第2条(表)により、発泡スチロール又はこれと同等以上の衝撃吸収性能を有するものでなければならない。なお、かつては衝撃吸収ライナーは発泡スチロール製がほとんどであったが、近年では熱中症対策から発泡スチロール製でないものも使用されるようになっている。

【保護帽の規格】

(定義)

第1条 この告示において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一及び二 (略)

 衝撃吸収ライナー 帽体に衝撃が加わつた際に着用者の頭部に加わる衝撃を緩和するために帽体の内部に取り付けられる部品をいう。

 (略)

(材料)

第2条 保護帽の各部に使用する材料は、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定めるものでなければならない。。

区分 材料
(略) (略)
衝撃吸収ライナー 発ぽうスチロール又はこれと同等以上の衝撃吸収性能を有するもの

(3)適切である。保護帽は、見やすい箇所に、製造者名、製造年月及び物体の飛来若しくは落下による危険を防止するためのものである旨又は墜落による危険を防止するためのものである旨が表示されている。

【保護帽の規格】

(表示)

第9条 保護帽は、見やすい箇所に次の事項が表示されているものでなければならない。

 製造者名

 製造年月日

 物体の飛来若しくは落下による危険を防止するためのものである旨又は墜落による危険を防止するためのものである旨

(4)適切である。墜落制止用器具の規格(昭和50年9月8日労働省告示第67号(最終改正:令和元年6月28日厚生労働省告示第48号))第1条(第六号)により、墜落制止用器具の巻取り器とは、ランヤードのロープ等を巻き取るための器具をいう。

【保護帽の規格】

(定義)

第1条 この告示において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一~五 (略)

 巻取り器 ランヤードのロープ等を巻き取るための器具をいう。

七及び八 (略)

(5)適切ではない。「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(平成30年6月22日基発0622第2号「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドラインの策定について」)第4の2の(1)のイによれば、墜落制止用器具を足下にフック等を掛けて使用する場合は、第二種ショツクアブソーバを選定する必要がある。

なお、この規定は作業床の高さによる制限がなく、作業床が5メートル以下の場合にも適用されている。しかし、これはかなり無理のある規定であった。というのは、政省令の改正の当初は、市販されている第2種ショックアブソーバーの付いているランヤードは、長さが 1.7 メートルのものがほとんどで、落下距離(※)が 5.3 メートル程度と表示されているものが多かったからである。

※ 落下距離とは、ガイドラインの定義では「作業者の墜落を制止するときに生ずるランヤード及びフルハーネス若しくは胴ベルトの伸び等に自由落下距離を加えたものをいう」とされているが、要は、標準的な位置(この場合は足元)にフックを掛けた状態で落下したとき、墜落が止まるまでに落下する最大の距離(計算ではなく実測によって算出される)である。

従って、落下距離が 5.3 メートルの場合、作業床の高さが 5.0 メートルだと墜落したときに地上にぶつかってしまうことになる。

【墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン】

第4 墜落制止用器具の選定

2 墜落制止用器具の選定(ワークポジショニング作業を伴わない場合)

(1)ショックアブソーバ等の種別の選定

 (略)

 鉄骨組み立て作業等において、足下にフック等を掛けて作業を行う必要がある場合は、フルハーネス型を選定するとともに、第二種ショックアブソーバを選定すること。

 (略)

※ 平成30年6月22日基発0622第2号「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(下線強調引用者)
2023年12月30日執筆