問17 厚生労働省の「工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン」に関する次のイ~ニの記述について、適切なもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
イ 再起動防上回路は、起動時に自己保持回路の保持を開始し、安全装置の作動時には自己保持回路の保持を解除して再起動を防止するものであること。
ロ オフ確認という手法は、作業者の押しボタン操作によって起動信号を発生させる回路において、起動ボタンを押して接点を開じる動作に続けて、起動ボタンを離して接点を開く動作を行ったときに初めて起動信号を発生させるというものである。
ハ ガード用インターロック回路の安全スイッチは、摺動部の固着が生じたときに工作機械を停止できなくなることを防止するため、ノーマルオープン型(バネ戻り式)でないこと。
ニ ブレーキは、危険信号を受けると、直ちに電磁ブレーキコイルに通電して機械を制動するものであること。
(1)イ ロ ハ
(2)イ ハ
(3)イ ニ
(4)ロ ハ ニ
(5)ロ ニ
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
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2023年度(令和05年度) | 問17 | 難易度 | フェールセーフ化のガイドラインは過去問は多いが、やや詳細な内容だったためか、正答率は低かった。 |
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工作機械等の安全 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問17 厚生労働省の「工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン」に関する次のイ~ニの記述について、適切なもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
イ 再起動防上回路は、起動時に自己保持回路の保持を開始し、安全装置の作動時には自己保持回路の保持を解除して再起動を防止するものであること。
ロ オフ確認という手法は、作業者の押しボタン操作によって起動信号を発生させる回路において、起動ボタンを押して接点を開じる動作に続けて、起動ボタンを離して接点を開く動作を行ったときに初めて起動信号を発生させるというものである。
ハ ガード用インターロック回路の安全スイッチは、摺動部の固着が生じたときに工作機械を停止できなくなることを防止するため、ノーマルオープン型(バネ戻り式)でないこと。
ニ ブレーキは、危険信号を受けると、直ちに電磁ブレーキコイルに通電して機械を制動するものであること。
(1)イ ロ
(2)イ ロ ハ
(3)イ ニ
(4)ロ ハ ニ
(5)ハ ニ
正答(2)
【解説】
本問は、問題文にもあるように平成10年7月28日基発第464号「工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン」(以下、本問の解説において「ガイドライン」という。)に関する問題である。
過去問も多く、試験までにざっと目を通して、内容を理解しておく必要がある。
イ 適切である。ガイドライン5-2の(1)によれば、再起動防上回路は、起動時に自己保持回路の保持を開始し、安全装置の作動時には自己保持回路の保持を解除して再起動を防止するものである。
工作機械等の起動スイッチをいったん押下すると、その後でスイッチを放しても工作機械は動作を続ける。これは自己保持開路が働くからである。安全装置を押下すれば、この自己保持が遮断されるのである。
【工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン】
4 フェールセーフ化の一般的方法
表2の制御機構には、一般的には、次のような方法によりフェールセーフ化を行うものとする。ただし、故障によって労働災害が発生するおそれのない場合は、この限りではない。
イ (略)
ロ 再起動防止
起動操作によって自己保持回路が作動して自己保持を開始し、作業者が停止操作を行ったとき又は安全装置が作動したとき等には自己保持を解除し、機械の再起動を防止する方法
ハ~ワ (略)
5-2 回路のフェールセーフ化対策
(1)再起動防止回路
原則として、自己保持回路として構成されており、起動時に自己保持回路の保持を開始し、停電時、トラブル発生時、安全装置の作動時及び非常停止装置の操作時等には、自己保持回路の保持を解除して再起動を防止するものであること。
(2)~(7)(略)
※ 平成10年7月28日基発第464号「工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン」
ロ 適切である。ガイドライン4のイによれば、オフ確認とは、作業者の押しボタン操作によって起動信号を発生させる回路において、起動ボタンを押して接点を開じる動作に続けて、起動ボタンを離して接点を開く動作を行ったときに初めて起動信号を発生させるというものである。
【工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン】
4 フェールセーフ化の一般的方法
表2の制御機構には、一般的には、次のような方法によりフェールセーフ化を行うものとする。ただし、故障によって労働災害が発生するおそれのない場合は、この限りではない。
イ オフ確認
ボタンを押して接点を閉じる動作に続けて、ボタンを離して接点を開く動作を行ったときに初めて起動信号又は始動信号を発生させる方法
ロ~ワ (略)
※ 平成10年7月28日基発第464号「工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン」
ハ 適切である。ガード用インターロック回路の安全スイッチの目的は、摺動部の固着が生じたときに工作機械を停止できなくなることを防止することだけではないが、ノーマルオープン型(バネ戻り式)でないこととされている。
【工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン】
5 フェールセーフ化の具体的方法
表2の制御機構には、一般的には、次のような方法によりフェールセーフ化を行うものとする。ただし、故障によって労働災害が発生するおそれのない場合は、この限りではない。
5-1 部品類の要件
(1)ガード用のインターロック回路の安全スイッチ
イ (略)
ロ 接点溶着、ばねの破損若しくは摺動部の固着等が生じたとき又は作業者がスイッチの位置を意図的に固定したときに、機械を停止できなくなることを防止するため、ノーマルオープン型(バネ戻り式)でないこと。
ハ及びニ (略)
(2)~(7)(略)
※ 平成10年7月28日基発第464号「工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン」
ニ 不適切である。ガイドラインは、「ブレーキ作動用励磁コイル等の断線によってブレーキが作動しなくなり、機械を停止できなくなることを防止するため、ノーマルオープン型でないことが望ましい
」としている。従って、ブレーキは、危険信号を受けると、直ちに電磁ブレーキコイルに通電して機械を制動するものとすることは望ましくない。
分かりやすく言えば、ガイドラインは、安全信号があるときに電磁ブレーキコイルに通電して、ブレーキを外すようにしろと言っているのである。電磁ブレーキへ止まれという電気信号が来たときにブレーキをかけるのではなく、動かしてよいという電気信号が来なくなったときにブレーキがかかるようにする方が、電気信号が故障によって来なくなったときのことを考えると安全なのである。
もっと分かりやすく言えば、動かしてよいときに止まったとしても生産を阻害するだけだが、止めなければならないときに止まらないと危険なので、信号回路が故障したとき(信号が止まるとき)は機械を止めてしまえということである。
【工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン】
5 フェールセーフ化の具体的方法
表2の制御機構には、一般的には、次のような方法によりフェールセーフ化を行うものとする。ただし、故障によって労働災害が発生するおそれのない場合は、この限りではない。
5-1 部品類の要件
(1)~(6)(略)
(7)ブレーキ
イ ノーマルクローズブレーキ、複式ブレーキ又はこれと同等以上の安全性をもつものであることが望ましいこと。
ロ ブレーキ作動用励磁コイル等の断線によってブレーキが作動しなくなり、機械を停止できなくなることを防止するため、ノーマルオープン型でないことが望ましいこと。
※ 平成10年7月28日基発第464号「工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン」