問12 安全教育に関する次のイ~ニの記述について、適切でないもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
イ 講義方式による教育では、一度に多くの人に知識を付与できるが、受講者の理解度にバラツキが出る可能性があることから 受講者の仕事の範囲や経験などの情報を事前に把握しておき、講義を行うことが有効である。
ロ 討議法による教育は、教育内容に関して受講者の知識や経験のレベルが高い場合及び知識や経験がない場合の両方に適している。
ハ 事例研究法にる教育は、実務的で現実的な教育が行いやすく、判断力の向上は期待できるが、応用力の養成には効果がない。
ニ 教育を受講する者に対しては、知識、経験が同じ水準にある者をグループ化して実施すると教育効果の面で有効である。
(1)イ ロ ニ
(2)イ ニ
(3)ロ ハ ニ
(4)ロ ハ
(5)ハ
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
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2023年度(令和05年度) | 問12 | 難易度 | 安全衛生教育技能の特性に関する基本的な内容の知識問題。過去に類問も多く、正答しておきたい。 |
---|---|---|---|
安全衛生教育 | 3 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問12 安全教育に関する次のイ~ニの記述について、適切でないもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
イ 講義方式による教育では、一度に多くの人に知識を付与できるが、受講者の理解度にバラツキが出る可能性があることから 受講者の仕事の範囲や経験などの情報を事前に把握しておき、講義を行うことが有効である。
ロ 討議法による教育は、教育内容に関して受講者の知識や経験のレベルが高い場合及び知識や経験がない場合の両方に適している。
ハ 事例研究法にる教育は、実務的で現実的な教育が行いやすく、判断力の向上は期待できるが、応用力の養成には効果がない。
ニ 教育を受講する者に対しては、知識、経験が同じ水準にある者をグループ化して実施すると教育効果の面で有効である。
(1)イ ロ ニ
(2)イ ニ
(3)ロ ハ ニ
(4)ロ ハ
(5)ハ
正答(4)
【解説】
厚生労働省は、事業者による労働者の安全衛生教育について「安全衛生教育等推進要綱」(平成3年1月21日基発第39号(最終改正:平成28年10月12日基発1012第1号)「安全衛生教育及び研修の推進について」)を制定している。しかし、各種の教育技法について、メリット・デメリットを公式に定めているわけではない。これは、厚労省が国の機関である以上、当然のことであろう。そのようなことまで国が定めるべきでないことは当然である。
なお、各種の教育技法について佐藤(※1)や菊川他(※2)が、各種の教育手法のメリット、デメリットや特性を分かりやすくまとめている。
※1 佐藤信「企業内教育訓練のすすめ方」(醸協 Vol.60 No.5)
※1 菊川誠「医学教育における効果的な教授法と意義ある学習方法 ②」(医学教育 2013年 Vol.44 No.4)
回答は、常識に従って答えればよい。
イ 適切である。講義方式による教育では、教室に多くの受講者を入れて講義することにより、一度に多くの人に知識を付与できる。しかし、聴講生の知識レベルや理解力には差があることが通常である。
そのため、受講者の理解度にバラツキが出る可能性がある。従って、本肢の「受講者の仕事の範囲や経験などの情報を事前に把握しておき、講義を行うこと」は一般的には有効であろう(※)。
※ 現実には、個人情報の保護の必要もあり、講師が事前に受講生の所属企業、職務、地位、経験などを知ることができない場合も増えている。そのような場合、講義を開始するときに受講生に対していくつかの質問をして挙手による回答を求めることで、受講生の知識をある程度は知ることができる。
コンサルタント試験合格後に、講習を行う機会があれば、ぜひ参考にして欲しい。
ロ 適切ではない。討議法は受講生が、あるテーマについて討議することによって、その理解を深めてゆこうとする技法である。一般に、教育内容に関して受講者の知識や経験のレベルが高い場合は一定の効果がある。
しかし、知識や経験がない受講者の場合は、討議を行ってもお互いに理解を深めあうということが困難である。従って、討議法が適しているとはいえない。
ハ 適切ではない。事例研究法にる教育は、適切に行えば応用力の養成にも効果があるといえる。
ニ 適切である。当然であろう。知識、経験がバラバラでは、教育のターゲットをどこにおくかを決めることが困難である。中間的なレベルをターゲットにすれば、知識・経験の高いレベルにとっては役に立たず、知識・経験の低いレベルにとっては難しすぎて理解が進まない。