問9 厚生労働省の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」に関する次のイ~ニの記述について、適切なものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ 高年齢労働者の身体機能の低下等による労働災害発生のリスクに関するリスクアセスメントの結果を踏まえ、改善の優先順位を検討し、優先順位の高いものから取り組む事項を決める。
ロ エイジアクション100とは、高年齢労働者の安全と健康の確保のための生活改善ツールのことである。
ハ 社会福祉施設や飲食店等では、家庭生活と同種の作業を行うため危険を認識しにくい。
ニ 危険体感教育においてVR(バーチャルリアリティ)技術を活用することは、高齢者はこのような技術を使いこなしにくいので、避けることが望ましい。
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)ロ ハ
(4)ロ ニ
(5)ハ ニ
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
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2023年度(令和05年度) | 問09 | 難易度 | 高年齢労働者の労働災害防止は3年連続の出題。正答率は半数程度で、合否を分けるレベルか。 |
---|---|---|---|
高年齢労働者 | 4 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問9 厚生労働省の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」に関する次のイ~ニの記述について、適切なものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ 高年齢労働者の身体機能の低下等による労働災害発生のリスクに関するリスクアセスメントの結果を踏まえ、改善の優先順位を検討し、優先順位の高いものから取り組む事項を決める。
ロ エイジアクション100とは、高年齢労働者の安全と健康の確保のための生活改善ツールのことである。
ハ 社会福祉施設や飲食店等では、家庭生活と同種の作業を行うため危険を認識しにくい。
ニ 危険体感教育においてVR(バーチャルリアリティ)技術を活用することは、高齢者はこのような技術を使いこなしにくいので、避けることが望ましい。
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)ロ ハ
(4)ロ ニ
(5)ハ ニ
正答(2)
【解説】
問題文にもあるように、本問は「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(以下、本問の解説において「ガイドライン」という。)(令和2年3月16日基安発0316第1号「「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」の策定について」)からの出題である。なお、このガイドラインは「エイジフレンドリーガイドライン」と呼ばれることもある。
イ 適切である。ガイドラインに次のように記述されている。また、そもそも本肢には当然のことが書かれており、誤っていると考える要素がないのである。実際の解答者もほとんどの方が、本肢は正しいとして解答している。
【高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン】
第2 事業者に求められる事項
1 安全衛生管理体制の確立等
(2)危険源の特定等のリスクアセスメントの実施
高年齢労働者の身体機能の低下等による労働災害の発生リスクについて、災害事例やヒヤリハット事例から危険源の洗い出しを行い、当該リスクの高さを考慮して高齢者労働災害防止対策の優先順位を検討(以下「リスクアセスメント」という。)すること。
その際、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(平成18年3月10日危険性又は有害性等の調査等に関する指針公示第1号)に基づく手法で取り組むよう努めるものとすること。
リスクアセスメントの結果を踏まえ、以下の2から5までに示す事項を参考に優先順位の高いものから取り組む事項を決めること。その際、年間推進計画を策定し、当該計画に沿って取組を実施し、当該計画を一定期間で評価し、必要な改善を行うことが望ましいこと。
※ 令和2年3月16日基安発0316第1号「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」
ロ 適切ではない。エイジアクション100とは、中央労働災害防止協会「エイジアクション 100」によれば、「高年齢労働者の安全と健康確保のための100の取組(エイジアクション)を盛り込んだチェックリストを活用して、職場の課題を洗い出し、改善に向けての取組を進めるための「職場改善ツール」です
」とされている。「職場改善ツール」であって、「生活改善ツール」ではない。
ハ 適切である。ガイドラインに次のように記述されている。受験者は、ロとハのいずれかで迷ったようだ。
【高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン】
第2 事業者に求められる事項
1 安全衛生管理体制の確立等
(2)危険源の特定等のリスクアセスメントの実施
(略)
これらの事項を実施するに当たっては、以下の点を考慮すること。
・ サービス業のうち社会福祉施設、飲食店等では、家庭生活と同種の作業を行うため危険を認識しにくいが、作業頻度や作業環境の違いにより家庭生活における作業とは異なるリスクが潜んでいることに留意すること。
※ 令和2年3月16日基安発0316第1号「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(下線強調引用者)
ニ 適切ではない。ガイドラインでは「VR技術を活用した危険体感教育の活用も考えられる」としている。
そもそもVR技術を開発せよというならともかく、使うだけなら高齢者だからと言って使いこなしにくいなどということがあるわけがない。電車の中で、高齢者がスマホを使っているのを見かけることはよくあることだろう。
【高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン】
第2 事業者に求められる事項
1 安全衛生管理体制の確立等
(2)危険源の特定等のリスクアセスメントの実施
(略)
これらの事項を実施するに当たっては、以下の点を考慮すること。
・ 危険予知トレーニング(KYT)を通じた危険感受性の向上教育や、VR技術を活用した危険体感教育の活用も考えられること。
※ 令和2年3月16日基安発0316第1号「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(下線強調引用者)