問8 転倒災害に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)転倒災害を類型別にみると、滑りとつまずきで過半数を占めている。
(2)床と履物の間の静摩擦係数は、足が地面に着いている状態での滑り出しにくさに関係する。
(3)安全靴の耐滑性能は、動摩擦係数の値で定められている。
(4)靴の屈曲性が悪いと擦り足になりやすく、つまずきの原因となる。
(5)床と履物の間の動摩擦係数は、高ければ高いはどつまずきにくい。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
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2023年度(令和05年度) | 問08 | 難易度 | 2019年に同種過去問があるが、過去問の学習だけでは正答は難しいかもしれない。しかし、正答率は高い。 |
---|---|---|---|
転倒災害の防止 | 1 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問8 転倒災害に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)転倒災害を類型別にみると、滑りとつまずきで過半数を占めている。
(2)床と履物の間の静摩擦係数は、足が地面に着いている状態での滑り出しにくさに関係する。
(3)安全靴の耐滑性能は、動摩擦係数の値で定められている。
(4)靴の屈曲性が悪いと擦り足になりやすく、つまずきの原因となる。
(5)床と履物の間の動摩擦係数は、高ければ高いはどつまずきにくい。
正答(5)
【解説】
意外に思われるかもしれないが、厚生労働省は転倒災害防止のための指針やガイドライン類を公表していない。これについて、行政の担当者に理由を尋ねたところ、現在作成中だとの回答を得ている。
従って、この解説もガイドライン類が策定された時点で、一部書き変えの必要があるだろうが、解説の内容に変更があるとは思えない。
現時点では、厚生労働省のサイト「転倒災害防止対策の推進について」からリンクが貼られている各種の資料を基に解答することとなる。
(1)適切である。これは中災防のリーフレット「労働者の転倒災害(業務中の転倒による重傷)を防止しましょう」からの出題である。2021年(令和3年)の休業4日以上の転倒災害では、滑り(31.8%)とつまずき(37.8%)で過半数を占めている。
※ 中災防リーフレット「労働者の転倒災害(業務中の転倒による重傷)を防止しましょう」
(2)適切である。当然であろう。
(3)適切である。厚生労働省の「職場のあんぜんサイト・STOP!転倒災害プロジェクト」の「転倒防止に有効な安全靴」によると、「安全靴の規格は、日本工業規格(JIS)と公益社団法人日本保安用品協会が定めた JSAA 規格の2つがあり、日本工業規格では、JIS T 8101(安全靴)において、「耐滑性が優れる靴」とは、動摩擦係数が0.2以上の物と規定されています
」とされている。
(4)適切である。(3)の解説に示した厚生労働省の「職場のあんぜんサイト・STOP!転倒災害プロジェクト」の「転倒防止に有効な安全靴」によると、「靴の屈曲性が悪いと、足に負担がかかるだけでなく、擦り足になり易く、つまずきの原因となります
」とされている。
※ 図は、厚生労働省の「職場のあんぜんサイト・STOP!転倒災害プロジェクト」の「転倒防止に有効な安全靴」より。
(5)適切ではない。(3)の解説に示した厚生労働省の「職場のあんぜんサイト・STOP!転倒災害プロジェクト」の「転倒防止に有効な安全靴」によると、「滑り易い床には滑りにくい靴底が有効ですが、滑りにくい床に滑りにくい靴底では、摩擦が強くなりすぎて歩行時につまずく場合があります。靴底の耐滑性(※)は、職場の床の滑り易さの程度に応じたものとする必要があります
」とされている。
※ 引用者注:ここにいう「耐滑性」が動摩擦係数によってあらわされることは(3)の解説に示した通りである。