問12 機械等の規制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。
(1)研削盤の安全装置を製造した者は、型式検定を受け、型式検定に合格した安全装置について、型式検定に合格したものである旨の表示を付さなければならない。
(2)構造規格に適合していないフォークリフトは、使用することはできるが、譲渡し、又は貸与してはならない。
(3)内容積が2立方メートルを超える第二種圧力容器を製造しようとする者は、所轄都道府県労働局長の製造許可を受けなければならない。
(4)クレーンについて1か月以内ごとに1回行う定期自主検査においては、フック、グラブパケット等のつり具の損傷の有無について検査を行わなければならない。
(5)使用を休止したゴンドラを再び使用しようとする者は、当該ゴンドラについて、所轄労働基準監督署長の使用検査を受けなければならない。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2022年度(令和04年度) | 問12 | 難易度 | 本問は、安衛法上の機械による基本的な内容の問題である。実際には、かなりの難問だったようだ。 |
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機械による労働災害 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問12 機械等の規制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。
(1)研削盤の安全装置を製造した者は、型式検定を受け、型式検定に合格した安全装置について、型式検定に合格したものである旨の表示を付さなければならない。
(2)構造規格に適合していないフォークリフトは、使用することはできるが、譲渡し、又は貸与してはならない。
(3)内容積が2立方メートルを超える第二種圧力容器を製造しようとする者は、所轄都道府県労働局長の製造許可を受けなければならない。
(4)クレーンについて1か月以内ごとに1回行う定期自主検査においては、フック、グラブパケット等のつり具の損傷の有無について検査を行わなければならない。
(5)使用を休止したゴンドラを再び使用しようとする者は、当該ゴンドラについて、所轄労働基準監督署長の使用検査を受けなければならない。
正答(4)
【解説】
(1)誤り。型式検定の対象は安衛令第14条の2に定められている。研削盤の安全装置は対象ではない。
【労働安全衛生法】
(型式検定)
第44条の2 第42条の機械等のうち、別表第四に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。ただし、当該機械等のうち輸入された機械等で、その型式について次項の検定が行われた機械等に該当するものは、この限りでない。
2~7 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(型式検定を受けるべき機械等)
第14条の2 法第44条の2第1項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。
一 ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機の急停止装置のうち電気的制動方式以外の制動方式のもの
二 プレス機械又はシャーの安全装置
三 防爆構造電気機械器具(船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるものを除く。)
四 クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置
五 防じんマスク(ろ過材及び面体を有するものに限る。)
六 防毒マスク(ハロゲンガス用又は有機ガス用のものその他厚生労働省令で定めるものに限る。)
七 木材加工用丸のこ盤の歯の接触予防装置のうち可動式のもの
八 動力により駆動されるプレス機械のうちスライドによる危険を防止するための機構を有するもの
九 交流アーク溶接機用自動電撃防止装置
十 絶縁用保護具(その電圧が、直流にあつては七百五十ボルトを、交流にあつては三百ボルトを超える充電電路について用いられるものに限る。)
十一 絶縁用防具(その電圧が、直流にあつては七百五十ボルトを、交流にあつては三百ボルトを超える充電電路に用いられるものに限る。)
十二 保護帽(物体の飛来若しくは落下又は墜落による危険を防止するためのものに限る。)
十三 電動ファン付き呼吸用保護具
十四 防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(ハロゲンガス用又は有機ガス用のものその他厚生労働省令で定めるものに限る。)
(2)誤り。安衛法第 42 条は、構造規格に適合していないものは譲渡し、貸与し、又は設置してはならないとする。同条には「使用」してはならないとは書かれていない。
しかし、安衛則第 27 条で、安衛令第13条第3項に定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備したものでなければ使用してはならないとされている。従って、構造規格に適合していないフォークリフトは使用することはできない。なお、安衛則第 27 条の根拠条文は、安衛法第 42 条ではなく(※)安衛法第 20 条である。
※ 安衛法第 42 条で使用を禁止しなかったのは、立法者が「使用」は安衛法第 20 条で規制すべきものと考えたためであろう。
【労働安全衛生法】
(譲渡等の制限等)
第42条 特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。
【労働安全衛生法施行令】
(厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等)
第13条 (第1項及び第2項 略)
3 法第42条の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。
一~七 (略)
八 フォークリフト
九~三十四 (略)
4及び5 (略)
【労働安全衛生規則】
(規格に適合した機械等の使用)
第27条 事業者は、法別表第二に掲げる機械等及び令第13条第3項各号に掲げる機械等については、法第42条の厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備したものでなければ、使用してはならない。
(3)誤り。製造許可は安衛法第 37 条によって義務付けられており、その対象(特定機械等)は安衛令第12条に定められている。しかし、第二種圧力容器は、安衛令第12条が定める特定機械等の範囲ではない。
なお、第二種圧力容器は、安衛法第 42 条の譲渡等の制限、同法第44条の個別検定の対象となるほか、ボイラ則第 91 条の設置報告の対象となる。
【労働安全衛生法】
(製造の許可)
第37条 特に危険な作業を必要とする機械等として別表第一に掲げるもので、政令で定めるもの(以下「特定機械等」という。)を製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けなければならない。
2 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(特定機械等)
第12条 法第37条第1項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。
一 ボイラー(小型ボイラー並びに船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるもの及び電気事業法(昭和39年法律第170号)の適用を受けるものを除く。)
二 第一種圧力容器(小型圧力容器並びに船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるもの及び電気事業法、高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)、ガス事業法(昭和29年法律第51号)又は液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和42年法律第149号)の適用を受けるものを除く。)
三 つり上げ荷重が3トン以上(スタツカー式クレーンにあつては、1トン以上)のクレーン
四 つり上げ荷重が3トン以上の移動式クレーン
五 つり上げ荷重が2トン以上のデリツク
六 積載荷重(エレベーター(簡易リフト及び建設用リフトを除く。以下同じ。)、簡易リフト又は建設用リフトの構造及び材料に応じて、これらの搬器に人又は荷をのせて上昇させることができる最大の荷重をいう。以下同じ。)が1トン以上のエレベーター
七 ガイドレール(昇降路を有するものにあつては、昇降路。次条第3項第十八号において同じ。)の高さが18メートル以上の建設用リフト(積載荷重が0.25トン未満のものを除く。次条第3項第十八号において同じ。)
八 ゴンドラ
2 (略)
(4)正しい。クレーン則第35条第1項(第三号)により、クレーンについて1か月以内ごとに1回行う定期自主検査においては、フック、グラブパケット等のつり具の損傷の有無について検査を行わなければならない。
【クレーン等安全規則】
第35条 事業者は、クレーンについて、1月以内ごとに1回、定期に、次の事項について自主検査を行なわなければならない。ただし、1月をこえる期間使用しないクレーンの当該使用しない期間においては、この限りでない。
一及び二 (略)
三 フツク、グラブバケツト等のつり具の損傷の有無
四及び五 (略)
2 (略)
(5)誤り。ゴンドラ則第33条(安衛法の根拠条文は第38条第3項)の規定により、使用を休止したゴンドラを再び使用しようとする者は、当該ゴンドラについて、所轄労働基準監督署長の使用再開検査を受けなければならない。使用検査は、ゴンドラ則第6条(安衛法の根拠条文は第38条第1項)に定められているが、使用再開検査とは別なものである。
【労働安全衛生法】
(製造時等検査等)
第38条 (第1項及び第2項 略)
3 特定機械等(移動式のものを除く。)を設置した者、特定機械等の厚生労働省令で定める部分に変更を加えた者又は特定機械等で使用を休止したものを再び使用しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、労働基準監督署長の検査を受けなければならない。
【ゴンドラ安全規則】
(使用再開検査)
第33条 使用を休止したゴンドラを再び使用しようとする者は、法第38条第3項の規定により、当該ゴンドラについて、所轄労働基準監督署長の検査を受けなければならない。
2及び3 (略)