問24 厚生労働省の死亡災害に係る労働災害統計(令和2年)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)全産業における死亡者数を起因物別にみると、仮設物・建築物・構築物等が最も多くなっている。
(2)全産業における死亡者数を業種別にみると、建設業が最も多く、全体の約3分の1を占めている。
(3)全産業における死亡者数を事故の型別にみると、墜落・転落が最も多くなっている。
(4)全産業における死亡者数は長期的に減少傾向にあり、令和2年は約800人であった。
(5)第三次産業の中で商業、保健衛生業及び接客娯楽業の三つの業種について死亡者数を比較すると、商業が最も多くなっている。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
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2022年度(令和04年度) | 問24 | 難易度 | 死亡災害に特化した問題は2012年以降では初出。受験生の学習の範囲外だったようだ。 |
---|---|---|---|
死亡労働災害統計 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問24 厚生労働省の死亡災害に係る労働災害統計(令和2年)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)全産業における死亡者数を起因物別にみると、仮設物・建築物・構築物等が最も多くなっている。
(2)全産業における死亡者数を業種別にみると、建設業が最も多く、全体の約3分の1を占めている。
(3)全産業における死亡者数を事故の型別にみると、墜落・転落が最も多くなっている。
(4)全産業における死亡者数は長期的に減少傾向にあり、令和2年は約800人であった。
(5)第三次産業の中で商業、保健衛生業及び接客娯楽業の三つの業種について死亡者数を比較すると、商業が最も多くなっている。
正答(1)
【解説】
災害統計の問題は、2021年の問25には一般的な問題が出題されており、正答率は高かった。本年度の災害統計は、正答率が15%と5分の1より少なくなってしまった。他にも極端に解答率の高い肢はないため、ほとんどの受験生にとってまったく分からなかったということであろう。
死亡災害統計は、これまであまり出題されることがなかったため、多くの受験生が学習の範囲から除いていたようだ。当サイトに死亡災害統計に特化したページを設けているが、災害統計については全体に目を通しておいた方がよさそうだ(※)。
※ 2021年の問25 の解説に「本年は死亡者数については問われていないが、死亡災害についても押さえておくことが必要である」と明記しておいたのだが・・・。
しかし、(1)の正誤が分からないのはやむを得ないとも思えるが、他の肢はごく基本的な内容であり、正しいと分からなければならない。
(1)誤り。令和2年の仮設物・建築物・構築物等を起因物とする死亡災害は121人で、動力運搬機の171人より少ない。
死亡災害は「墜落・転落」災害が多いので、起因物も「仮設物・建築物・構築物等」が多いと思われたのか、本肢を選んだ受験生は少なかった。
(2)正しい。令和2年の全産業における死亡者数は802人で、建設業が258人と最も多く、全体の約3分の1(32.2%)を占めている(※)。
※ 建設業で働く労働者の割合は、令和2年の労働力調査のⅠ-A-第6表の「役員を除く雇用者数(産業別)」でみると、全体の5.8%となっている。建設業は、死亡災害の多い業種と言える。
(3)正しい。令和2年の墜落・転落による死者数は191名で、型別では最も多くなっている。
(4)正しい。死亡者数は長期的にみれば減少傾向にあるといってよく、令和2年は802人であった。
(5)正しい。第三次産業における死亡者数は、商業74人、保健衛生業11人、接客娯楽業13人で、この三つの業種について死亡者数を比較すると、商業が最も多くなっている。