問20 爆発に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)火炎が音速を超えた速度で進む現象を爆轟とよぶ。
(2)爆発によって発生した衝撃波は、近くに構造物があると反射する。
(3)蒸気爆発は、ファイアボールを生成する。
(4)粉じん爆発は、金属の粉体でも発生する。
(5)分解爆発性ガスは、支燃性ガスが存在しなくても自ら分解を起こして爆発に至る。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
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2022年度(令和04年度) | 問20 | 難易度 | 爆発に関する初歩的な知識問題である。しかし、言葉の意味から考えて、正答できなければならない。 |
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爆発に関する一般知識 | 3 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問20 爆発に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)火炎が音速を超えた速度で進む現象を爆轟とよぶ。
(2)爆発によって発生した衝撃波は、近くに構造物があると反射する。
(3)蒸気爆発は、ファイアボールを生成する。
(4)粉じん爆発は、金属の粉体でも発生する。
(5)分解爆発性ガスは、支燃性ガスが存在しなくても自ら分解を起こして爆発に至る。
正答(3)
【解説】
(1)適切である。火炎が音速を超えた速度で進む現象を爆轟(デトネーション)とよぶ。燃焼速度の大きな水素やアセチレンは爆轟が起きやすい。
(2)適切である。爆発によって発生した衝撃波は、近くに構造物があると反射する。
(3)適切ではない。蒸気爆発の典型は水蒸気爆発が典型であるが、水たまりの上に溶融したアルミニウムがこぼれたりして発生する。液体が熱により瞬間的に気化して圧力が急激に高まることが原因である。「爆発」という言葉が用いられているが、実質は「破裂」であって、可燃性の蒸気が急激に燃焼して起きるわけではない。
これに対し、圧力ファイアボールとは、大気中に放出された可燃性蒸気が可燃性蒸気雲を形成し、この可燃性蒸気雲に着火して急激に燃焼し、巨大な球状火炎が発生する現象である。
賞雅(※)によると「2成分の高温液と低温液との接触混合時に、急速な熱伝達のために低温液の蒸発による圧力増加速度が系の圧力緩和速度(音速)よりも大きくなり、衝撃圧縮を生じる相互作用を蒸気爆発(Thermal Explosion,Vapor Explosion,Physical Explosion)という
」とされている。本問は言葉だけの問題である。
※ 賞雅寛而「蒸気爆発」(Journal of the M.E.S.J.,Vol.26,No.5)
(4)適切である。粉じん爆発は、金属の粉体でも発生する。
(5)適切である。アセチレンなどの分解爆発性ガスは、支燃性ガスが存在しなくても自ら分解を起こして爆発に至る。