問16 プレス機械の安全装置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)光線式安全装置は、光線遮断の検出機構を有し、かつ、身体の一部が光線を遮断したことを検出することによりスライド等の作動を停止させることができる構造のものであることが必要である。
(2)光線式安全装置は、必要な検知範囲内の任意の位置に遮光棒を置いたときに、検出機構が検出することができる当該遮光棒の最小直径が200mm以下であることが必要である。
(3)光線式安全装置の投光器は、投光器から照射される光線が、その対となる受光器以外の受光器又はその対となる反射器以外の反射器に到達しない構造のものであることが必要である
(4)制御機能付き光線式安全装置は、身体の一部による光線の遮断の検出がなくなったときに、プレス機械のスライドを作動させる機能を有するものである。
(5)両手操作式安全装置は、一行程ごとにスライドを作動させるための操作部から両手を離さなければ再起動操作をすることができない構造のものであることが必要である。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
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2022年度(令和04年度) | 問16 | 難易度 | プレス機械の安全装置に関する基本的な知識問題。正答率が比較的低いのは建設、土木の受験生が多いためか。 |
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プレス機械の安全装置 | 4 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問16 プレス機械の安全装置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)光線式安全装置は、光線遮断の検出機構を有し、かつ、身体の一部が光線を遮断したことを検出することによりスライド等の作動を停止させることができる構造のものであることが必要である。
(2)光線式安全装置は、必要な検知範囲内の任意の位置に遮光棒を置いたときに、検出機構が検出することができる当該遮光棒の最小直径が200mm以下であることが必要である。
(3)光線式安全装置の投光器は、投光器から照射される光線が、その対となる受光器以外の受光器又はその対となる反射器以外の反射器に到達しない構造のものであることが必要である
(4)制御機能付き光線式安全装置は、身体の一部による光線の遮断の検出がなくなったときに、プレス機械のスライドを作動させる機能を有するものである。
(5)両手操作式安全装置は、一行程ごとにスライドを作動させるための操作部から両手を離さなければ再起動操作をすることができない構造のものであることが必要である。
正答(2)
【解説】
本問は、「動力プレス機械構造規格」(以下「構造規格」という。)の「第5章 安全プレス」からの出題であろう。しかし、言葉の意味を理解していれば、試験場で考えれば正答できるのではないだろうか。
(1)正しい。構造規格第41条は、光線式の安全プレスは「身体の一部が光線を遮断した場合に、当該光線を遮断したことを検出することができる機構(以下「検出機構」という。)を有し、かつ、検出機構が身体の一部が光線を遮断したことを検出した場合に、スライドの作動を停止することができる構造のものでなければならない」としている。
【動力プレス機械構造規格】
(光線式の安全プレス)
第41条 光線式の安全プレス(スライドによる危険を防止するための機構として第三十六条第一項第三号の機能を利用する場合における当該安全プレスをいい、第四十五条第一項の制御機能付き光線式の安全プレスを除く。以下同じ。)は、身体の一部が光線を遮断した場合に、当該光線を遮断したことを検出することができる機構(以下「検出機構」という。)を有し、かつ、検出機構が身体の一部が光線を遮断したことを検出した場合に、スライドの作動を停止することができる構造のものでなければならない。
(2)誤り。構造規格第42条第二号により、投光器及び受光器の光軸の数は2以上とし、かつ、必要な検知範囲内の任意の位置に遮光棒を置いたときに、検出機構が検出することができる当該遮光棒の最小直径(連続遮光幅)は50ミリメートル以下でなければならない。
さすがに、200ミリメートルでは広すぎて役に立たないだろう。
【動力プレス機械構造規格】
(投光器及び受光器)
第42条 光線式の安全プレスの検出機構の投光器及び受光器は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 (略)
二 投光器及び受光器の光軸の数は、二以上とし、かつ、前号の必要な長さの範囲内の任意の位置に遮光棒を置いたときに、検出機構が検出することができる当該遮光棒の最小直径(以下「連続遮光幅」という。)が五十ミリメートル以下であること。
三及び四 (略)
(3)正しい。構造規格第42条第三号により、「投光器は、投光器から照射される光線が、その対となる受光器以外の受光器又はその対となる反射器以外の反射器に到達しない構造のもので」なければならない。
当然であろう。ひとつの投光器から照射された光線を体の一部が遮っても、隣の投光器の光が受光器に届いたのでは、作動しないではないか。
【動力プレス機械構造規格】
(投光器及び受光器)
第42条 光線式の安全プレスの検出機構の投光器及び受光器は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一及び二 (略)
三 投光器は、投光器から照射される光線が、その対となる受光器以外の受光器又はその対となる反射器以外の反射器に到達しない構造のものであること。
四 (略)
(4)正しい。構造規格第45条第1項柱書に、制御機能付き光線式の安全プレスの定義として「身体の一部による光線の遮断の検出がなくなったときに、スライドを作動させる機能を有するもの」とされている。
【動力プレス機械構造規格】
(制御機能付き光線式の安全プレス)
第45条 制御機能付き光線式の安全プレス(スライドによる危険を防止するための機構として第三十六条第一項第三号の機能を利用する場合における安全プレスであって、検出機構を有し、かつ、身体の一部による光線の遮断の検出がなくなったときに、スライドを作動させる機能を有するものをいう。以下同じ。)は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一~五 (略)
2~4 (略)
(5)正しい。構造規格第38条第三号に、両手操作式の安全プレスの条件として「一行程ごとにスライドを作動させるための操作部から両手を離さなければ再起動操作をすることができない構造のものであること」とされている。
【動力プレス機械構造規格】
(両手操作式の安全プレス)
第38条 両手操作式の安全プレス(スライドによる危険を防止するための機構として第三十六条第一項第二号の機能を利用する場合における当該安全プレスをいう。以下同じ。)は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一及び二 (略)
三 一行程ごとにスライドを作動させるための操作部から両手を離さなければ再起動操作をすることができない構造のものであること。