問11 厚生労働省の「動力プレスの定期自主検査指針」における機械プレスの検査方法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)シュー又はバンドを有するブレーキのライニングの検査は、スライドを下死点に停止し、ブレーキを分解してライニングのき裂の有無及び摩耗状態を調べる。
(2)回転角度表示計の検査は、スライドの下死点をダイヤルゲージにより求め、スライドの位置と回転角度表示計の表示との一致を調べる。
(3)フリクションクラッチの押し板の検査は、主電動機を動かし、スライドを上死点に停止した状態で、クラッチを寸動機構により作動させて押し板の動きを数回調べるとともに、押し板のストロークをすき間ゲージ等により測定する。
(4)ポジティブクラッチ付きのプレスの停止角度の検査は、一行程運転を行い、上死点と実際の停止点との角度を回転角度表示計により調べる。
(5)オーバーラン監視装置の検査は、ブレーキの制動時間を遅延させオーバーランを起こさせて、その作動状態を調べる。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2022年度(令和04年度) | 問11 | 難易度 | 定期自主検査に関するやや細かすぎる問題。ここまで細かい問題を出題することにやや疑問を感じる。 |
---|---|---|---|
定期自主検査 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問11 厚生労働省の「動力プレスの定期自主検査指針」における機械プレスの検査方法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)シュー又はバンドを有するブレーキのライニングの検査は、スライドを下死点に停止し、ブレーキを分解してライニングのき裂の有無及び摩耗状態を調べる。
(2)回転角度表示計の検査は、スライドの下死点をダイヤルゲージにより求め、スライドの位置と回転角度表示計の表示との一致を調べる。
(3)フリクションクラッチの押し板の検査は、主電動機を動かし、スライドを上死点に停止した状態で、クラッチを寸動機構により作動させて押し板の動きを数回調べるとともに、押し板のストロークをすき間ゲージ等により測定する。
(4)ポジティブクラッチ付きのプレスの停止角度の検査は、一行程運転を行い、上死点と実際の停止点との角度を回転角度表示計により調べる。
(5)オーバーラン監視装置の検査は、ブレーキの制動時間を遅延させオーバーランを起こさせて、その作動状態を調べる。
正答(3)
【解説】
本問は、問題文にもあるように「動力プレスの定期自主検査指針」の「1 機械プレス」に関する問題である。
(1)正しい。指針の「1 機械プレス」の4-1の(1)の通りである。
(2)正しい。指針の「1 機械プレス」の4-4の(1)の通りである。
(3)誤り。指針の「1 機械プレス」の3-3の(1)によれば「スライドを下死点に停止した状態で、主電動機を停止し、クラッチを寸動機構により作動させて押し板の動きを数回調べる
(下線強調引用者)」等とされている。
(4)正しい。指針の「1 機械プレス」の4-4の(2)の通りである。なお、ポジティブクラッチは、急停止機構を備えるフリクションクラッチに置き換われつつある(※)。
※ 2011年(平成23年)の動力プレス機械構造規格の改正で、その後は事実上ポジティブクラッチの製造はできなくなっている。なお、平成6年7月15日基発第459号の2「足踏み操作式ポジティブクラッチプレスを両手押しボタン操作式のものに切り換えるためのガイドラインの策定について」参照
機械プレスはフライホイールのエネルギーをクラッチでプレス機構に伝えるようになっており、ポジティブクラッチとフリクションクラッチの2種類がある。ポジティブクラッチは、クラッチをかけると加工サイクルが終わるまで外すことができず、サイクルの途中で停止させることができずインチングもできない。これに対し、フリクションクラッチはクランクがどの位置にあってもクラッチを外すことができ、急停止やインチングが可能である。
(5)正しい。指針の「1 機械プレス」の4-4の(3)の通りである。
【コンサルタント試験の難易度について】
労働安全衛生コンサルタント試験では、あまりにも難易度が低い問題や高い問題がかなり含まれている。いずれもコンサルタントとしての能力を図る問題としては不適切と言わざるを得ない。
試験問題の難易度が低すぎれば、試験そのものと合格した有資格者に対する一般の信頼感を低下させることとなり、制度の崩壊をもたらすことになる。
一方、あまりにも細かな内容の知識問題や、高度すぎる問題では、誰も合格できないであろう。本問も、そのような疑問を強く感じさせるものである。しかも、動力プレスの定期自主検査の細かな検査方法を知っていることが、コンサルタントに求められる知識とも思えない。
もう少し、難易度のレベルを適切なものにするとともに、コンサルタントに求められる知識・能力を適切に評価できる問題にすることを強く期待したい。