労働安全コンサルタント試験 2022年 産業安全一般 問09

高年齢者の労働災害防止対策




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2022年度(令和04年度) 問09 難易度 高年齢労働者の安全対策は、近年では頻出である。聞きなれない言葉があったせいか難問だったようだ。
高年齢労働者

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問9 厚生労働省の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」に示された事項に関する次のイ~ニの記述について、適切なものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

イ ロコモティブシンドロームとは、高齢者が電動車いすなどの移動手段に頼ることにより、身体機能が低下することをいう。

ロ 転倒防止の対策としては、床や通路の滑りやすい箇所に防滑シートを貼るよりも注意喚起の掲示を優先する。

ハ フレイルとは、加齢とともに、筋力や認知機能等の心身の活力が低下し、生活機能障害や要介護状態等の危険性が高くなった状態である。

ニ 転倒等リスク評価セルフチェックのレーダーチャートで、身体機能計測結果よりも質問票回答結果が良い場合、とっさの行動を起こした際に、身体が思いどおりに反応しないことが考えられる。

(1)イ  ロ

(2)イ  ハ

(3)イ  ニ

(4)ロ  ハ

(5)ハ  ニ

正答(5)

【解説】

問9試験結果

試験解答状況
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イ 適切ではない。ロコモティブシンドロームとは、2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で、加齢による筋力の低下や、関節や脊椎などの病気の発症により。運動器の機能が低下した状態である。

高齢者が電動車いすなどの移動手段に頼ることが原因というわけではない。

ロ 適切ではない。当然のことである。個人の注意に頼る対策よりも、危険な状態の解消に努めるべきである。

ハ 適切である。フレイルとは、日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、虚弱(Frailty)に由来する。健康な状態と介護が必要となる状態の中間であり、本肢の通りである。

改訂日本版フレイル基準(J-CHS基準)によれば、以下の5項目の内3項目以上が該当する場合をフレイルとし、1又は2項目が該当する場合をプレフレイル(フレイルの前段階)とする。

  • 体重減少(6か月で、2㎏以上の(意図しない)体重減少)
  • 筋力(握力)の低下(男性<28㎏、女性<18㎏)
  • 主観的疲労感((ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする)
  • 身体能力(歩行速度)の低下(通常歩行速度<1.0m/秒)
  • 日常生活の身体活動量の減少(週に1度も①軽い運動・体操、②定期的な運動・スポーツをしていない。)

※ (公財)長寿科学振興財団「フレイルの診断」を一部修正

なお、同様な概念でサルコペニアとは、加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことを指す。

ニ 適切である。厚生労働省の「転倒等リスク評価セルフチェック票」のレーダーチャートによると、身体機能計測結果よりも質問票回答結果が良い場合(パターン2)、「実際よりも⾃分の体⼒を⾼く評価している傾向にあり、⾃分で考えている以上にからだが反応していない場合があります」とされている。

2022年11月30日執筆