労働安全コンサルタント試験 2022年 産業安全一般 問08

人間の諸特性と安全対策の関係




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

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2022年度(令和04年度) 問08 難易度 安全に関する専門分野の知識を問う問題。安全コンサルタントとして正答できなければならない。
人間の特性と安全装置

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問8 人間の諸特性と安全対策の関係に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)光線式安全装置の安全距離の設定には、人間の動作速度が関係する。

(2)人体部位が押しつぶされないためには、可動部分の最小すきまをその人体の部位より広くする。

(3)人体部位がはさまれないためには、すき間はその人体部位が進入できないほど狭くする。

(4)固定式ガードのうち距離ガードについては、ガードと危険源の最大動作領域との聞に安全距離を設ける。

(5)固定式ガードのうち囲いガードについては、安全距離を考慮する必要がない。

正答(5)

【解説】

問8試験結果

試験解答状況
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(1)適切である。光線式安全装置の安全距離は、【1.6×停止性能(ミリ秒)】によって算出される(平成10年3月26日基発第130号の第1の2の(2)参照)が、この1.6は手の速度を考慮して決定されている。

(2)適切である。可動部分の最小すき間は、人体の部位より広くすることで、はさまれてもつぶされることはなくなる(※)。(JIS B 9711:2002「機械類の安全性− 人体部位が押しつぶされることを回避するための最小すきま」参照)

※ 最小すき間を確保したとしても、押しつぶしには効果があるが、他の危険(衝撃、引込み、せん断など)には効果はない。また、民族的な人体サイズの違い等にも留意する必要がある。

(3)適切である。ガードなどの動かない部分の最小すき間(開口部)は、人体の部位より狭くすれば、その部位が進入できなくなる。(JIS B 9718:2013「機械類の安全性−危険区域に上肢及び下肢が 到達することを防止するための安全距離」参照)

(4)適切である。なお、中央労働災害防止協会「機械安全規格を活用して災害防止を進めるためのガイドブック」に「距離ガードの場合は、安全防護領域で示したように、ガードと危険源の最大動作領域との間に、安全距離を設ける必要がある」との表現がある。

(5)適切でないとしておく。固定式ガードのうち囲いガードとは、すべての面から危険源あるいは危険区域への接近を防止するガードである。従って、安全距離を考慮する必要はないことになる(※)が、他がすべて正しいので本肢は不適切であるとしておく。

※ 固定式ガードには、囲いガードと距離ガードがある。下図の囲いガードの図を見ても分かるように、安全距離は確保されていない。なお、距離ガードの場合は、(4)に示したように「ガードと危険源の最大動作領域との間に、安全距離を設ける必要がある」(中災防前掲書)。

固定式ガード

JIS B 9716 掲載の囲いガード(左)と距離ガード(右)

※ 中央労働災害防止協会「機械安全規格を活用して災害防止を進めるためのガイドブック」(平成27年)

2022年11月30日執筆