フォークリフトの取扱い等

問６　フォークリフトに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

（１）カウンターバランスフォークリフトで荷物を積んで走行するときは、マストを後ろへいっぱいに倒す。

（２）パレットへ品物を積み付ける方法のうち、直方体の品物であれば品物を全部同一方向に並べ、各段の配列も同じように積み付ける方法が、一般に荷崩れしにくい。

（３）立席式のリーチフォークリフトに設置されているブレーキペダルは、ベダルを踏むとブレーキが解除され、離すとブレーキがかかる。

（４）ヘッドガードは、積荷の落下に対して運転者を守るために運転席上方に設けた防護枠であり、バックレストは、積荷が運転席側に荷崩れしないように設けた荷受け枠である

（５）荷を積んで下り坂を下るときの前後方向の安定性を比較すると、前進で走行する場合よりも後進で走行する場合の方が大きい。

正答（２）

【解説】

（１）適切である。カウンターバランスフォークリフトで荷物を積んで走行するときは、マストを後ろへいっぱいに倒す。

これはブレーキを掛けたときに荷が前方へ荷崩れすることを防止する目的である。また、すこしでも荷の重心を後ろへずらして、フォークリフトが前側へ転倒する危険を減らすという意味もある。

（２）適切ではない。本肢のような積み方を「ブロック積み」と呼ぶが、これは荷崩れしやすい積み方である。なお、厚生労働省「技能講習補助テキスト　フォークリフト運転技能講習」にパレットヘの積付けパターンが示されているが、「ブロック積み」について「ブロック積みは、品物を全部同⼀⽅向に並べ、各段の配列も同じように積み付ける方法である。この積付けは、一般には荷割れしやすく、バンド締めをしっかりする必要がある」とされている。

（３）適切であるとしておく。立席式のリーチフォークリフト^（※）に設置されているブレーキペダル（デッドマンブレーキ）は、本肢の通りの作動をする。

※　本肢がわざわざ「立席式のリーチフォークリフト」と断っているのは、座席式のカウンターバランス式のフォークリフトで、フォークがリーチできるタイプが存在していたからである。なお、フォークがリーチできないカウンターバランスフォークリフトで立席式のものも存在していた。

これらは製造数も少なく、現時点では製造されていないため、リーチフォークリフトと言えば立席式を思い浮かべるが、必ずしもそういうわけではない。なお、立席式のリーチフォークリフトは、現時点ではバッテリー式のものしか販売されていない。

ただ、デッドマンブレーキは安全装置であって、通常の走行時にブレーキとして使用してはならない。少なくともフォークリフトメーカーは、デッドマンブレーキをブレーキとして用いることを推奨していない。

バッテリー式のフォークリフトで、普段の走行時にブレーキをかけるときは、スイッチバック（アクセルレバー（前後進レバー）を進行方向とは逆側に倒す）を行う。そうすることで、機械の寿命を延ばすことができ、さらにエネルギーも回生されるので、気候危機の防止にも寄与する。

（４）適切である。ヘッドガードは、積荷の落下に対して運転者を守るために運転席上方に設けた防護枠であり、バックレストは、積荷が運転席側に荷崩れしないように設けた荷受け枠である

（５）適切である。荷を積むとフォークリフト（車体と荷）全体の重心が前に移動するため、坂を移動するときは、前方を坂の上側に向ける方が安定性を向上させる。下り坂を下るときは後進で下り、上がるときは前進で上がるのが原則である。

2022年11月30日執筆