問5 相互に独立な要素a、b及びcを用いて、下図の信頼性ブロック線図に示すようなシステム①、②及び③を構成する。これらの要素が全て等しい信頼度R(O<R<l)をもつとき、システム①、②及び③の信頼度R1、R2及びR3に関する(1)~(5)の大小関係のうち、正しいものはどれか。
ただし、要素の故障は独立に起こるものとする。
システム① |
システム② |
システム③ |
(1)R1<R2<R3
(2)R1<R2=R3
(3)R1>R2>R3
(4)R1>R2=R3
(5)R1=R2<R3
※ 幅の短いデバイスでは、図は横方向にスクロールします。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2022年度(令和04年度) | 問05 | 難易度 | 信頼性ブロック線図は、ほぼ毎年出題されている。確実に正答できるようにしておかなければならない。 |
---|---|---|---|
信頼性ブロック線図 | 3 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問5 相互に独立な要素a、b及びcを用いて、下図の信頼性ブロック線図に示すようなシステム①、②及び③を構成する。これらの要素が全て等しい信頼度R(O<R<l)をもつとき、システム①、②及び③の信頼度R1、R2及びR3に関する(1)~(5)の大小関係のうち、正しいものはどれか。
ただし、要素の故障は独立に起こるものとする。
システム① |
システム② |
システム③ |
(1)R1<R2<R3
(2)R1<R2=R3
(3)R1>R2>R3
(4)R1>R2=R3
(5)R1=R2<R3
※ 幅の短いデバイスでは、図は横方向にスクロールします。
正答(4)
【解説】
ブロック線図に関する問題は、並列と直列を組み合わせた単純なものが出題される。ただし、ときどき同じ要素が複数現れるものが出題されることがある。本サイトの解説の中では2012年の問5が最初の例で、2016年問6、2018年問5、2021年問5で、同じ要素が複数現れるものが出題されている。
この場合、同じ要素は当然、同じ動きをする(※)ので、これが複数あることで信頼性の計算が面倒になっている。そこで、これを消し去ることが必要である。
※ これについては2012年の問5の解説を参照して欲しい。
ある要素が、直列につながったものや並列につながったものは、その要素単独で存在しているのと同じなので、同じ要素を消し去ることができる。そこで、同じ要素は単純な直列又は並列にすることを考えると分かりやすい。
まず、システム③のa要素2つは、その右側(a要素の出力)を縦に接続しても信頼度は変わらない。そうするとa要素が2個並列に接続されていても同じであるから、a要素1つで置き換えることができる。
そうなると、システム②とシステム③は、形が同じであり、3種類の要素の信頼性は同じであるから、システム②とシステム③は同じ信頼性を有するはずである。
次にシステム①は、【a要素2個が直列に接続されたもの】と【要素bと要素cが直列に接続されたもの】が並列に接続されたものと等価である。
なぜなら、aが正常であればシステム①は正常(a要素と同じ)であり、a要素が故障していればシステム①は【要素bと要素cが直列に接続されたもの】と同じになるからである。
【a要素2個が直列に接続されたもの】はa要素と同じであるから、a要素1つに置き換えてみよう。
その上で、システム①とシステム③を比べてみよう。システム①はa要素と並列に【要素bと要素cが直列に接続されたもの】が繋がっているのであるから、a要素単独よりも信頼度は高くなるであろう。
一方の、システム③はa要素と直列に【要素bと要素cが並列に接続されたもの】が接続されているのであるから、信頼度はa要素単独よりも低くなるであろう(※)。
※ 具体的な信頼度の算出方法は、他の年の信頼性ブロック線図の解説を参照して欲しい。
ここで、要素 a と要素 b の信頼度をそれぞれRa、Rb とし、これらが互いに独立だとすると、これが直列につながっていれば全体の信頼度Rは、
R=Ra × Rb
となり、並列に繋がっていれば
R=1-(1-Ra)×(1-Rb)
となる。複雑な系であってもこれらの組合せで全体のRを算出できる。
従って、(4)のR1>R2=R3が正答となる。