問7 労働安全衛生法施行令で定められている危険物に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)事業者は、爆発性の物に区分される危険物を製造し、又は取り扱うときは、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、加熱し、摩擦し、又は衝撃を与えないようにしなければならない。
(2)事業者は、酸化性の物に区分される危険物を製造し、又は取り扱うときは、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、又は酸化をうながす物若しくは水に接触させないようにしなければならない。
(3)事業者は、引火性の物に区分される危険物を製造し、又は取り扱うときは、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、若しくは注ぎ、蒸発させ、又は加熱しないようにしなければならない。
(4)金属ナトリウム、黄りん及びマグネシウム粉は、発火性の物に区分される危険物である。
(5)水素、アセチレン及びプロパンは、可燃性のガスに区分される危険物である。
このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2021年度(令和03年度) | 問07 | 難易度 | かなり詳細な内容を問うている。やや難問だったのではないだろうか。 |
---|---|---|---|
危険物に対する規制 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問7 労働安全衛生法施行令で定められている危険物に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)事業者は、爆発性の物に区分される危険物を製造し、又は取り扱うときは、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、加熱し、摩擦し、又は衝撃を与えないようにしなければならない。
(2)事業者は、酸化性の物に区分される危険物を製造し、又は取り扱うときは、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、又は酸化をうながす物若しくは水に接触させないようにしなければならない。
(3)事業者は、引火性の物に区分される危険物を製造し、又は取り扱うときは、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、若しくは注ぎ、蒸発させ、又は加熱しないようにしなければならない。
(4)金属ナトリウム、黄りん及びマグネシウム粉は、発火性の物に区分される危険物である。
(5)水素、アセチレン及びプロパンは、可燃性のガスに区分される危険物である。
正答(2)
【解説】
本問は、(1)~(3)が安衛則第 256 条第1項の各号による危険物の規制、(4)及び(5)が安衛令別表第1の危険物の定義に関する設問である。本問では(4)と(5)を正しいと解答した受験生が一定数おられる。これは、(1)から(3)を正しいと考えて、(4)と(5)のどちらかが誤っていると考えられたのだろうと思う。
ここで注意しなければならないことは(2)の「酸化性の物」の意味である。「酸化性の物」とは、自らが「酸化」するのではなく、他の物質を酸化させるものなのである。熱・衝撃・摩擦によって分解し、可燃物と混合していると激しく燃焼させるおそれがある。
そのため、その分解がうながされるおそれのある物に接触させ、加熱し、摩擦し、又は衝撃を与えてはならないのである。
(3)の「みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ」てはならないものは、自らが酸化するおそれのあるものなのである。また「水に接触させないよう」にしなければならないものは禁水性の物である。なお、「酸化をうながす物」とはまさに酸化性の物のことである。
【労働安全衛生法施行令】
別表第1 危険物(第一条、第六条、第九条の三関係)
一 爆発性の物
1~4 (略)
二 発火性の物
1及び2 (略)
3 金属「ナトリウム」
4 黄りん
5~9 (略)
10 マグネシウム粉
11~13 (略)
三 酸化性の物
1~6 (略)
四 引火性の物
1~4 (略)
五 可燃性のガス(水素、アセチレン、エチレン、メタン、エタン、プロパン、ブタンその他の温度15度、1気圧において気体である可燃性の物をいう。)
【労働安全衛生規則】
(危険物を製造する場合等の措置)
第256条 事業者は、危険物を製造し、又は取り扱うときは、爆発又は火災を防止するため、次に定めるところによらなければならない。
一 爆発性の物(令別表第一第一号に掲げる爆発性の物をいう。)については、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、加熱し、摩擦し、又は衝撃を与えないこと。
二 発火性の物(令別表第一第二号に掲げる発火性の物をいう。)については、それぞれの種類に応じ、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、酸化をうながす物若しくは水に接触させ、加熱し、又は衝撃を与えないこと。
三 酸化性の物(令別表第一第三号に掲げる酸化性の物をいう。以下同じ。)については、みだりに、その分解がうながされるおそれのある物に接触させ、加熱し、摩擦し、又は衝撃を与えないこと。
四 引火性の物(令別表第一第四号に掲げる引火性の物をいう。以下同じ。)については、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、若しくは注ぎ、蒸発させ、又は加熱しないこと。
五 危険物を製造し、又は取り扱う設備のある場所を常に整理整とんし、及びその場所に、みだりに、可燃性の物又は酸化性の物を置かないこと。
2 (略)
(1)正しい。安衛則第256条第1項(第一号)により、爆発性の物に区分される危険物を製造し、又は取り扱うときは、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、加熱し、摩擦し、又は衝撃を与えないようにしなければならない。
(2)誤り。同(第三号)により、酸化性の物は「みだりに、その分解がうながされるおそれのある物に接触させ、加熱し、摩擦し、又は衝撃を与えないこと」とされている。本肢のような規定はない(必要がないから)。
(3)正しい。同(第四号)により、引火性の物に区分される危険物を製造し、又は取り扱うときは、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、若しくは注ぎ、蒸発させ、又は加熱しないようにしなければならない。
(4)正しい。安衛令別表第一第二号により、金属ナトリウム、黄りん及びマグネシウム粉は、発火性の物に区分される危険物である。
(5)正しい。同第五号により水素、アセチレン及びプロパンは、可燃性のガスに区分される危険物である。