労働安全コンサルタント試験 2021年 産業安全関係法令 問06

建設作業における労働災害の防止




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 このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年度(令和03年度) 問06 難易度 やや高度な知識問題ではあるが、合格を確実にするためには正答しておきたい問題である。
建設業の労働災害の防止

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問6 建設工事の各種作業における労働災害を防止するための措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。

(1)事業者は、高さが5メートル以上であるコンクリート造の工作物の解体の作業を行うときにあらかじめ定める作業計画には、控えの設置、立入禁止区域の設定その他の外壁、柱、はり等の倒壊又は落下による労働者の危険を防止するための方法を示さなければならない。

(2)事業者は、軒の高さが5メートル以上の木造建築物の構造部材の組立てに伴う外壁下地の取付けの作業において、材料、器具、工具等を上げ、又は下ろすときは、つり綱、つり袋等を労働者に使用させなければならない。

(3)事業者は、橋りようの上部構造であって、コンクリート造で、その高さが5メートル以上であるものの架設の作業において、部材又は架設用設備の落下又は倒壊により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、控えの設置、部材又は架設用設備の座屈又は変形の防止のための補強材の取付け等の措置を講じなければならない。

(4)事業者は、ロープ高所作業については、ロープ高所作業主任者技能講習を修了した者のうちから、ロープ高所作業主任者を選任し、その者に作業の指揮を行わせなければならない。

(5)鋼橋架設等作業主任者の職務には、器具、工具、要求性能墜落制止用器具等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くことが含まれる。

正答(4)

【解説】

問6試験結果

試験解答状況
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(1)正しい。安衛則第 517 条の 14 第1項により、高さが5メートル以上であるコンクリート造の工作物の解体の作業を行うときにあらかじめ作業計画を定めなければならない。そして、同第2項(第3号)により、その作業計画には、控えの設置、立入禁止区域の設定その他の外壁、柱、はり等の倒壊又は落下による労働者の危険を防止するための方法を示さなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6条 (柱書 略)

一~十五の四 (略)

十五の五 コンクリート造の工作物(その高さが五メートル以上であるものに限る。)の解体又は破壊の作業

十六~二十三 (略)

【労働安全衛生規則】

(調査及び作業計画)

第517条の14 事業者は、令第6条第十五号の五の作業を行うときは、工作物の倒壊、物体の飛来又は落下等による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該工作物の形状、き裂の有無、周囲の状況等を調査し、当該調査により知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければならない。

 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない

 作業の方法及び順序

 使用する機械等の種類及び能力

 控えの設置、立入禁止区域の設定その他の外壁、柱、はり等の倒壊又は落下による労働者の危険を防止するための方法

 (略)

(2)正しい。安衛則第 517 条の 11(第三号)の規定により、軒の高さが5メートル以上の木造建築物の構造部材の組立てに伴う外壁下地の取付けの作業において、材料、器具、工具等を上げ、又は下ろすときは、つり綱、つり袋等を労働者に使用させなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6条 (柱書 略)

一~十五の三 (略)

十五の四 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第2条第1項第七号に規定する軒の高さが5メートル以上の木造建築物の構造部材の組立て又はこれに伴う屋根下地若しくは外壁下地の取付けの作業

十五の五~二十三 (略)

【労働安全衛生規則】

(木造建築物の組立て等の作業)

第517条の11 事業者は、令第6条第十五号の四の作業を行うときは、次の措置を講じなければならない。

一及び二 (略)

 材料、器具、工具等を上げ、又は下ろすときは、つり綱、つり袋等を労働者に使用させること。

(3)正しい。安衛則第 517 条の7(第四号)の規定により、橋りようの上部構造であって、コンクリート造で、その高さが5メートル以上であるものの架設の作業において、部材又は架設用設備の落下又は倒壊により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、控えの設置、部材又は架設用設備の座屈又は変形の防止のための補強材の取付け等の措置を講じなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6条 (柱書 略)

一~十五の二 (略)

十五の三 橋りようの上部構造であつて、金属製の部材により構成されるもの(その高さが5メートル以上であるもの又は当該上部構造のうち橋りようの支間が30メートル以上である部分に限る。)の架設、解体又は変更の作業

十五の四~二十三 (略)

【労働安全衛生規則】

(鋼橋架設等の作業)

第517条の7 事業者は、令第6条第十五号の三の作業を行うときは、次の措置を講じなければならない。

一~三 (略)

 部材又は架設用設備の落下又は倒壊により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、控えの設置、部材又は架設用設備の座屈又は変形の防止のための補強材の取付け等の措置を講ずること。

(4)誤り。安衛法第 14 条によって作業主任者の選任が必要な作業は、安衛令第6条に列挙されているが、ロープ高所作業については、その対象とはなっていない。

なお、ロープ高所作業は、安衛法第59条第3項の特別教育の必要な業務として、安衛則第 36 条第四十号に挙げられていることに留意すること

【労働安全衛生法】

(作業主任者)

第14条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6条 法第14条の政令で定める作業は、次のとおりとする。

一~二十三 (各号は略すが、ロープ高所作業は対象となっていない。)

(5)正しい。安衛則第 517 条の9(第三号)の規定により、鋼橋架設等作業主任者の職務には、器具、工具、要求性能墜落制止用器具等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くことが含まれる。

【労働安全衛生規則】

(鋼橋架設等作業主任者の職務)

第517条の9 事業者は、鋼橋架設等作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。

 (略)

 器具、工具、要求性能墜落制止用器具等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。

 (略)

2021年11月11日執筆 2024年11月05日一部改訂