問3 機械による作業における事業者の措置に関する次のイ~ニの記述について、労働安全衛生法令上、違反となるものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ 食品加工用粉砕機から内容物を取り出すときに、機械の運転を停止しないで用具を使用して取り出させた。
ロ 面取り盤の回転する刃物に作業中手が巻き込まれるおそれがあったが、切創のおそれもあったので、手袋を使用させた。
ハ 金属加工用丸のこ盤を使用する作業において、治具を使用させたので、歯の接触予防装置を設けていない丸のこ盤を使用させた。
ニ 機械の構造上労働者に危険を及ぼすおそれがなかったので、機械の運転を停止しないで機械の刃部の調整の作業を行わせた。
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)ロ ハ
(4)ロ ニ
(5)ハ ニ
このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2021年度(令和03年度) | 問03 | 難易度 | 機械による危険防止は、かつては詳細な知識が問われたが、昨年以降は基本的な内容である。 |
---|---|---|---|
機械による危険の防止 | 3 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問3 機械による作業における事業者の措置に関する次のイ~ニの記述について、労働安全衛生法令上、違反となるものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ 食品加工用粉砕機から内容物を取り出すときに、機械の運転を停止しないで用具を使用して取り出させた。
ロ 面取り盤の回転する刃物に作業中手が巻き込まれるおそれがあったが、切創のおそれもあったので、手袋を使用させた。
ハ 金属加工用丸のこ盤を使用する作業において、治具を使用させたので、歯の接触予防装置を設けていない丸のこ盤を使用させた。
ニ 機械の構造上労働者に危険を及ぼすおそれがなかったので、機械の運転を停止しないで機械の刃部の調整の作業を行わせた。
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)ロ ハ
(4)ロ ニ
(5)ハ ニ
正答(3)
【解説】
本問は、いずれもかなり細かいことを聴いている。ただ、いずれも過去問に同種の問題がある。また、仮にこれらの条文を知らなかったとしても、ロは工作機械の操作をするときに手袋をしてはならないことは常識として知っておかなければならない。また、ニは「労働者に危険を及ぼす恐れがない」というのであるから、除外してよい。
残るはイとハだが、金属加工用丸のこ盤に歯の接触予防装置を設けていないような設備では、治具を使用したとしても危険だということに思いが至れば正答できるのではないだろうか。
イ 違反していない。安衛則第130条の7第1項により、食品加工用粉砕機から内容物を取り出すときは、機械の運転を停止するか、又は用具を使用させなければならない。本誌の場合、用具を使用させているので違反とはならない(2016年問3のニに同種問題)。
【労働安全衛生規則】
(粉砕機等への転落等における危険の防止)
第130条の5 事業者は、食品加工用粉砕機又は食品加工用混合機の開口部から転落することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、蓋、囲い、高さが九十センチメートル以上の柵等を設けなければならない。ただし、蓋、囲い、柵等を設けることが作業の性質上困難な場合において、墜落による危険のおそれに応じた性能を有する墜落制止用器具(以下「要求性能墜落制止用器具」という。)を使用させる等転落の危険を防止するための措置を講じたときは、この限りでない。
2及び3 (略)
(粉砕機等から内容物を取り出す場合における危険の防止)
第130条の7 事業者は、第百三十条の五第一項の機械(内容物の取出しが自動的に行われる構造のものを除く。)から内容物を取り出すときは、当該機械の運転を停止し、又は労働者に用具等を使用させなければならない。
2 (略)
ロ 違反している。安衛則第111条第1項は、面取り盤の回転する刃物に作業中手が巻き込まれるおそれがあるときは、手袋を使用させてはならないと定めている(2015年問2の(1)に同種問題)。
【労働安全衛生規則】
(手袋の使用禁止)
第111条 事業者は、ボール盤、面取り盤等の回転する刃物に作業中の労働者の手が巻き込まれるおそれのあるときは、当該労働者に手袋を使用させてはならない。
2 (略)
ハ 違反している。安衛則第115条は、金属加工用丸のこ盤には、歯の接触予防装置を設けなければならないとしている(2018年問3のニに同種問題)。
これは、治具を使用させるかどうかによらない。
【労働安全衛生規則】
(丸のこ盤の歯の接触予防装置)
第115条 事業者は、丸のこ盤(木材加工用丸のこ盤を除く。)には、歯の接触予防装置を設けなければならない。
ニ 違反していない。安衛則第108条但書により、機械の構造上労働者に危険を及ぼすおそれがないときは、機械の運転を停止しないで機械の刃部の調整の作業を行わせても違反とはならない(2014年問3の(4)に同種問題)。
【労働安全衛生規則】
(刃部のそうじ等の場合の運転停止等)
第108条 事業者は、機械の刃部のそうじ、検査、修理、取替え又は調整の作業を行なうときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の構造上労働者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない。
2~4 (略)