問27 厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」に基づくシステムの運用に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)安全衛生目標は一定期間における達成すべき到達点を明らかにするものであり、達成の度合いを客観的に評価できるよう、できるだけ数値で設定する。
(2)安全衛生計画には、労働安全衛生関係法令、事業場安全衛生規程等に基づき実施すべき事項等の他に、健康の保持増進のための活動の実施に関する事項、健康教育の内容及び実施時期に関する事項を含める。
(3)安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検とは、安全衛生計画が着実に実施されているかどうか、安全衛生目標は着実に達成されつつあるかどうかなどについて、安全衛生計画の実施事項の担当部門等が、点検を行うことである。
(4)企業外部の者によるシステム監査は、企業内部の者によるシステム監査に比べて、監査テーマを特定して、実態を詳しく調査し、評価することができる。
(5)システム監査の結果を踏まえ、定期的に、労働安全衛生マネジメントシステムの妥当性及び有効性を確保するため、労働安全衛生マネジメントシステムの全般的な見直しを行う。
このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
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2021年度(令和03年度) | 問27 | 難易度 | OSHMS指針に関する基本的な知識問題だが、試験場で考えることにより正答できる問題。 |
---|---|---|---|
OSHMS指針 | 1 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問27 厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」に基づくシステムの運用に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)安全衛生目標は一定期間における達成すべき到達点を明らかにするものであり、達成の度合いを客観的に評価できるよう、できるだけ数値で設定する。
(2)安全衛生計画には、労働安全衛生関係法令、事業場安全衛生規程等に基づき実施すべき事項等の他に、健康の保持増進のための活動の実施に関する事項、健康教育の内容及び実施時期に関する事項を含める。
(3)安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検とは、安全衛生計画が着実に実施されているかどうか、安全衛生目標は着実に達成されつつあるかどうかなどについて、安全衛生計画の実施事項の担当部門等が、点検を行うことである。
(4)企業外部の者によるシステム監査は、企業内部の者によるシステム監査に比べて、監査テーマを特定して、実態を詳しく調査し、評価することができる。
(5)システム監査の結果を踏まえ、定期的に、労働安全衛生マネジメントシステムの妥当性及び有効性を確保するため、労働安全衛生マネジメントシステムの全般的な見直しを行う。
正答(4)
【解説】
本問は、問題文にもあるように「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」(以下、本問の解説において「指針」という。)に関する問題である。
(1)適切である。指針第11条に「安全衛生目標を設定し、当該目標において一定期間に達成すべき到達点を明らかとする」とあり、安全衛生目標は一定期間における達成すべき到達点を明らかにするものである。
また、厚生労働省のパンフレット「労働安全衛生マネジメントシステム」に、安全衛生目標について「安全衛生目標を具体的な数値にしておくことで、達成状況が評価できるようになります
」とされており、達成の度合いを客観的に評価できるよう、できるだけ数値で設定することは適切である。
【労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針】
(安全衛生目標の設定)
第11条 事業者は、安全衛生方針に基づき、次に掲げる事項を踏まえ、安全衛生目標を設定し、当該目標において一定期間に達成すべき到達点を明らかとするとともに、当該目標を労働者及び関係請負人その他の関係者に周知するものとする。
一 前条第一項の規定による調査結果
二 過去の安全衛生目標の達成状況
(2)適切である。指針第12条第2項の規定により、安全衛生計画には、労働安全衛生関係法令、事業場安全衛生規程等に基づき実施すべき事項等の他に、健康の保持増進のための活動の実施に関する事項、健康教育の内容及び実施時期に関する事項を含める。
【労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針】
(危険性又は有害性等の調査及び実施事項の決定)
第10条 (第1項 略)
2 事業者は、法又はこれに基づく命令、事業場安全衛生規程等に基づき実施すべき事項及び前項の調査の結果に基づき労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を決定する手順を定めるとともに、この手順に基づき、実施する措置を決定するものとする。
(安全衛生計画の作成)
第12条 事業者は、安全衛生目標を達成するため、事業場における危険性又は有害性等の調査の結果等に基づき、一定の期間を限り、安全衛生計画を作成するものとする。
2 安全衛生計画は、安全衛生目標を達成するための具体的な実施事項、日程等について定めるものであり、次の事項を含むものとする。
一 第十条第二項の規定により決定された措置の内容及び実施時期に関する事項
二 日常的な安全衛生活動の実施に関する事項
三 健康の保持増進のための活動の実施に関する事項
四 安全衛生教育及び健康教育の内容及び実施時期に関する事項
五 関係請負人に対する措置の内容及び実施時期に関する事項
六 安全衛生計画の期間に関する事項
七 安全衛生計画の見直しに関する事項
(3)適切である。指針第15条により、日常的な点検の「手順に基づき、安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検及び改善を実施する」とされている。また、平成 18 年3月 17 日基発第 0317007 号「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針の改正について」には、「「安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検」とは、安全衛生計画が着実に実施されているかどうか、安全衛生目標は着実に達成されつつあるかどうか等について点検を行うことをい
」うとされている。
すなわち、日常的な点検とは、安全衛生計画が着実に実施されているかどうか、安全衛生目標は着実に達成されつつあるかどうかなどについて、点検を行うことである。また、日常的な点検について、その実施を安全衛生計画の実施事項の担当部門等が行うべきことは、当然のことであり、不適切とは言えない。
【労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針】
(日常的な点検、改善等)
第15条 事業者は、安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検及び改善を実施する手順を定めるとともに、この手順に基づき、安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検及び改善を実施するものとする。
2 事業者は、次回の安全衛生計画を作成するに当たって、前項の日常的な点検及び改善並びに次条の調査等の結果を反映するものとする。
(4)適切ではない。マネジメントシステムに関する指針そのものは、社外の者による監査について触れられていない。しかし、社外の者による監査では、監査テーマを特定して、実態を詳しく調査し、評価することができると考える合理的な根拠はない。
監査テーマの特定は、社内外のいずれの者による場合でも変わるところはない。また、実態を詳しく調査することができるのは、むしろ社内の者による場合であろう。社外の者による監査では、利害関係に縛られない公正な監査となる可能性が高くなるというメリットがある。
(5)適切である。指針第18条の規定により、システム監査の結果を踏まえ、定期的に、労働安全衛生マネジメントシステムの妥当性及び有効性を確保するため、労働安全衛生マネジメントシステムの全般的な見直しを行うものとされている。
【労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針】
(労働安全衛生マネジメントシステムの見直し)
第18条 事業者は、前条第一項のシステム監査の結果を踏まえ、定期的に、労働安全衛生マネジメントシステムの妥当性及び有効性を確保するため、安全衛生方針の見直し、この指針に基づき定められた手順の見直し等労働安全衛生マネジメントシステムの全般的な見直しを行うものとする。