労働安全コンサルタント試験 2021年 産業安全一般 問18

非常停止ボタン用の接点の種類とその効果




問題文
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試験を受ける女性

 このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

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2021年度(令和03年度) 問18 難易度 機械・設備等の電気制御に関する基本的な問題。試験場で考えて正答できなければならない。
非常停止ボタンの接点

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問18 非常停止ボタンに用いる接点の種類とそれを用いる効果として、適切なものはどれか。

なお、a接点とは、押していないときに接点が開いており、押すことで接点が閉じるタイプの接点をいい、b接点とは、押していないときに接点が閉じており、押すことで接点が接点が開くタイプの接点をいう。

非常停止ボタンに用いる接点 効果
(1) a接点 接点の間に電気が流れなくなる故障(接点不良)が生じると機械が停止す る。
(2) a接点 非常停止ボタンの配線が断線したときに機械が停止する。
(3) a接点 非常停止ボタンが故障したときに停止させる対象の機械の稼働率が低下しない。
(4) b接点 接点溶着が生じると機械が停止する。
(5) b接点 非常停止ボタンの配線が断線したときに機械が停止する。

正答(5)

【解説】

問18試験結果

試験解答状況
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a接点は接点の溶着が生じるとボタンを押していなくても信号が出され、接点の接触不良が生じるとボタンを押しても信号が出されなくなる

b接点は接点の溶着が生じるとボタンを押しても信号が出されなくなり、接点の接触不良が生じるとボタンを押さなくとも信号が出される。

接点の故障
溶着 接触不良
接点の種類 a接点 ボタンを押さなくても信号が出る ボタンを押しても信号が出ない
b接点 ボタンを押しても信号が出ない ボタンを押さなくても信号が出る

非常停止ボタンは、ボタンを押さなくても信号が出る故障は、機械が動かなくなるので故障だとすぐに分かり、その場合も機械が動かなくなるだけである。逆に、ボタンを押しても信号が出されないと、非常停止ボタンは通常は押されないので作業者にはそのことが分からず、いざというときに非常停止ボタンを押しても機械が止まらないので危険である。

そして、一般に接点は、溶着するよりも、接触不良を起こす方が多いのである。また、b接点の場合、押しボタンスイッチは物理的な力で押されるので、接点が溶着しても、よほどのことがない限り、ボタンを押せば接点は切り離される

従って、非常停止ボタンにはb接点を用いることが普通である。そして、その場合、当然のことであるが、非常停止ボタンの配線が断線したときには機械が停止する。しかし、その場合でも機械設備が停止するだけなので、災害が発生するおそれはほとんどない。これに対し、a接点を用いていて断線が起きると、非常停止ボタンが作動しなくなるので極めて危険である。

なお、設問の選択肢にある「非常停止ボタンの配線が断線」する故障は、接点が溶着したり接触不良を起こすことに比べれば、製造業などで屋内に設置された機械設備ではほとんど起きないといってよい(※)

※ 非常停止用のスイッチは制御盤の外に単独で設置されることがあるので、建設業や採石業などの屋外産業では配線が断線するおそれは高い。また、配線をスイッチに接続する部分のネジを締め忘れて接触不良を起こすケースが、屋内、屋外を問わずまれに起きることがある。

2021年11月19日執筆