労働安全コンサルタント試験 2021年 産業安全一般 問15

金属材料の各種試験方法




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試験を受ける女性

 このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

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2021年度(令和03年度) 問15 難易度 金属材料の各種試験方法の基本的な知識問題である。過去に類問もあり、正答しておきたい。
金属材料の各種試験方法

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問15 金属材料の各種試験方法に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)金属の硬さ試験には、ビッカース硬さ試験など圧子を押し込んだ際の変形抵抗から硬さを求めるものやショア硬さ試験のように落下させたハンマーの跳ね返り高さから硬さを求める方法などがあり、硬さから材料の引張り強度を正確に求めることができる。

(2)クリープ試験は、高温の恒温槽内に設置した試験片に一定の荷重を加え、その変形の進行を調べるものである。

(3)疲労試験は、試験片に繰り返し負荷を加え、破断繰返し回数を求め、材料の繰返し負荷に対する強度を調べるものである。

(4)シャルピー衝撃試験は、切欠きを入れた試験片を所定の温度に設定して、ハンマーで打撃し、破壊した際の吸収エネルギーを求め、じん性を評価するものである。

(5)一定温度環境下の試料に塩水を噴霧して試料表面に生じたさびの状態を観察する塩水噴霧試験や、塩水噴霧、乾燥、湿潤のサイクルを組み合わせて繰り返す複合サイクル試験は耐食性試験の代表的なものである。

正答(1)

【解説】

問15試験結果

試験解答状況
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(1)適切ではない。本肢前段の「ビッカース硬さ試験など圧子を押し込んだ際の変形抵抗から硬さを求めるものやショア硬さ試験のように落下させたハンマーの跳ね返り高さから硬さを求める方法などがあ」ることは誤りではない(※)

※ 山本卓「正しい硬さ試験の理解のために」(精密工学会誌 Vol.75 No.10 2009年)などを参照されたい。

しかし、材料の硬さと、引張強さの間には相関関係はあるものの「硬さから材料の引張り強度を正確に求め」られるようなものではない。

(2)適切である。クリープ現象とは、高温下で、一定温度に保持された金属において、一定荷重を加えたときに時間とともにひずみが増加する現象である。

クリープ試験は、クリープ現象によるひずみを調べるための試験であり、高温の恒温槽内に設置した試験片に一定の荷重を加え、その変形の進行を調べるものである。

(3)適切である。金属材料に弾性限度内の外力などを加えたとき、金属中の小さなクラックなどに応力が集中して局所的に大きな力が働き、クラックが拡がることがある。これが繰り返されて材料そのものが破壊されることが疲労破壊である。

疲労試験は、多くの試験片に繰り返し負荷を加え、破断繰返し回数を求め、材料の繰返し負荷に対する強度を調べるものである。

(4)適切である。シャルピー衝撃試験は、切欠きを入れた試験片を所定の温度に設定して、ハンマーで打撃し、打撃後のハンマの振り上げ角度によって破壊した際の吸収エネルギーを求め、じん性を評価するものである。

(5)適切である。一定温度環境下の試料に塩水を噴霧して試料表面に生じたさびの状態を観察する塩水噴霧試験(JIS Z 2371:2015)や、塩水噴霧、乾燥、湿潤のサイクルを組み合わせて繰り返す複合サイクル試験は耐食性試験の代表的なものである(※)

※ 具体的な試験方法は、(一財)化学物質評価研究機構「塩水噴霧試験」、「複合サイクル試験」を参照されたい。(※)

JIS H 8502 : 1999「めっきの耐食性試験方法」には「中性塩水噴霧試験(中性の塩化ナトリウム溶液を用いて行う連続噴霧試験)や「中性塩水噴霧サイクル試験」(中性の塩化ナトリウム溶液の噴霧,乾燥,湿潤の雰囲気で行うサイクル試験)等が定められている。

2021年11月19日執筆