問4 建設工事に使用される機材や工法などに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)移動式足場は、タワー状に組み立てたわく組構造の最上層に作業床を、支柱の下端に脚輪を備えた足場であり、作業者を乗せたまま移動することができるようにするため、控わくを用いて安定性を高めている。
(2)地盤強度の現場調査法として行われる標準貫入試験では、一定の方法で土中にサンプラーを打ち込み、ある貫入量に対する打撃回数から、地盤の硬軟、締まり具合を判定する。
(3)メッシュシートは、足場などの外側構面から物体が落下することを防止する合成繊維の網であり、水平に張って使用する墜落防止用の安全ネットとして使用してはならない。
(4)パイプサポート式型わく支保工は、差込み管、腰管、調節ねじなどから成るパイプサポートを支柱とし、水平つなぎ、筋かい、専用の緊結金具などを用いて組み上げる方式の型わく支保工である。
(5)土止め先行工法は、上下水道工事などにおいて、溝掘削作業及び溝内作業を行うに当たって、作業者が溝内に立ち入る前に適切な土止め支保工などを先行して設置する工法であり、かつ、土止め支保工などの組立て又は解体の作業も原則として作業者が溝内に立ち入らずに行うことが可能な工法である。
このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
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2021年度(令和03年度) | 問04 | 難易度 | 一部に細かな知識を問うている肢もあるが、全体としては、ごく基本的な知識で正答できる。 |
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建設工事の設備等 | 1 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問4 建設工事に使用される機材や工法などに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)移動式足場は、タワー状に組み立てたわく組構造の最上層に作業床を、支柱の下端に脚輪を備えた足場であり、作業者を乗せたまま移動することができるようにするため、控わくを用いて安定性を高めている。
(2)地盤強度の現場調査法として行われる標準貫入試験では、一定の方法で土中にサンプラーを打ち込み、ある貫入量に対する打撃回数から、地盤の硬軟、締まり具合を判定する。
(3)メッシュシートは、足場などの外側構面から物体が落下することを防止する合成繊維の網であり、水平に張って使用する墜落防止用の安全ネットとして使用してはならない。
(4)パイプサポート式型わく支保工は、差込み管、腰管、調節ねじなどから成るパイプサポートを支柱とし、水平つなぎ、筋かい、専用の緊結金具などを用いて組み上げる方式の型わく支保工である。
(5)土止め先行工法は、上下水道工事などにおいて、溝掘削作業及び溝内作業を行うに当たって、作業者が溝内に立ち入る前に適切な土止め支保工などを先行して設置する工法であり、かつ、土止め支保工などの組立て又は解体の作業も原則として作業者が溝内に立ち入らずに行うことが可能な工法である。
正答(1)
【解説】
(1)適切ではない。ローリングタワー(移動式足場)を移動させるときには、最上部の作業床などには労働者を乗せてはならない。これは垂直昇降式の高所作業車でも同じであるが、床にわずかな段差があるだけでも上部は大きく揺れる。振り落とされたり、足場そのものが転倒したりするおそれがあり、極めて危険である。
また、地上に段差がなくてもバランスを崩して倒れることもある。控わくは、安定性を高めるためのものではあるが、作業者を乗せたまま移動することができるようにするためのものではない。
(2)適切である。JIS A 1219「標準貫入試験方法 日本工業規格(案)」は「標準貫入試験(SPT)は、SPT サンプラーを動的貫入することによって地盤の硬軟、締まり具合の判定、及び土層構成を把握するための試料の採取を目的とする
」としている。なお、これはJIS A 1219:2013でも同様である。
標準貫入試験では、63.5 kg の重錘を 76cm の高さから自由落下させて専用のサンプラを打撃し、サンプラが土中に30cm貫入するまでの打撃回数を記録する。この値を N 値と呼び、地盤の硬軟、締まり具合の判定をするのに用いる。
(3)適切である。メッシュシートは、足場などの外側構面から物体が落下することを防止する合成繊維の網である。水平に張って使用する墜落防止用の安全ネットは、法令では防網と呼ばれ、厚労省のパンフレット「足場からの墜落防止のための措置を強化します」に図が載っている。
メッシュシートは防網として使用するものではない。
【労働安全衛生規則】
(作業床)
第563条 事業者は、足場(一側足場を除く。第三号において同じ。)における高さ二メートル以上の作業場所には、次に定めるところにより、作業床を設けなければならない。
一~五 (略)
六 作業のため物体が落下することにより、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、高さ十センチメートル以上の幅木、メッシュシート若しくは防網又はこれらと同等以上の機能を有する設備(以下「幅木等」という。)を設けること。ただし、第三号の規定に基づき設けた設備が幅木等と同等以上の機能を有する場合又は作業の性質上幅木等を設けることが著しく困難な場合若しくは作業の必要上臨時に幅木等を取り外す場合において、立入区域を設定したときは、この限りでない。
2~6 (略)
(4)適切である。パイプサポート式型わく支保工は、差込み管、腰管、調節ねじなどから成るパイプサポートを支柱とし、水平つなぎ、筋かい、専用の緊結金具などを用いて組み上げる方式の型わく支保工である。
規格が「型わく支保工用のパイプサポート等の規格」(昭和56年12月23日労働省告示第101号)によって定められている。なお、森宣制「型わく支保工の設計と安全性」(コンクリート・ジャーナル 1966年)に分かりやすい図が掲載されている。
(5)適切である。土止め先行工法は、厚生労働省によって「土止め先行工法に関するガイドライン」(通達)が示されている。
建設業労働災害防止協会のパンフレット「土留め先行工法とは」に示されているように、上下水道工事などにおいて、溝掘削作業及び溝内作業を行うに当たって、作業者が溝内に立ち入る前に適切な土止め支保工などを先行して設置する工法であり、かつ、土止め支保工などの組立て又は解体の作業も原則として作業者が溝内に立ち入らずに行うことが可能な工法である。