労働安全コンサルタント試験 2021年 産業安全一般 問03

材料の特性や製造方法




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試験を受ける女性

 このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

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2021年度(令和03年度) 問03 難易度 各種の材料の特性に関する問題。やや難問だが、過去問に類問があるためか正答率は高い。
材料の特性や製造方法

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問3 材料の特性や製造方法に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)鋳鉄の鋳造には、一般に砂型鋳造法が用いられ、鋳鉄は鋼に比べて靭性に優れている。

(2)コンクリートについては、その曲げ強度、引張強度は圧縮強度に比べて極めて低いので、強化材料として鉄筋を用いた鉄筋コンクリートが広く使用されている。

(3)プラスチックは、一般に金属と比べて引張強度が低いので、強度が必要なものには、ガラス繊維、炭素繊維などを強化材料として用いた複合材料が使用されている。

(4)アルミニウム合金の鋳造に用いられるダイカスト法は、溶かしたアルミニウム合金を精密な金型に高速・高圧で注入し、短時間に鋳物を成形する製法である。

(5)粉末冶金は、鉄粉をはじめとする金属粉末を金型に入れて圧縮して固め、高温で焼結して精度の高い部品をつくる手法である。

正答(1)

【解説】

問3試験結果

試験解答状況
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(1)適切ではない。鋳鉄と鋼の違いは炭素濃度であるが、鋳鉄は鋼よりも炭素濃度が高く靭性が低い。鉄は炭素濃度が高いともろくなることは知っておかなければならないが、知らなかったとしても2013年問4の(1)の解説を読み込んでいれば正答できる。

(2)適切である。常識で考えても、コンクリートの圧縮強度が高く、曲げ強度や引張強度が極めて低いことは分かるだろう。また、強化材料として鉄筋を用いた鉄筋コンクリートが広く使用されていることも常識であろう。

(3)適切である。これも、プラスチックは、一般に金属と比べて引張強度が低いことは分かるだろう。FRP(Fiber Reinforced Plastics=繊維強化プラスチック)は、ガラス繊維、炭素繊維などを混ぜ込んで強度を高めた複合材料である。

なお、ガラス繊維を混ぜ込んだものはGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)と呼ばれ、金属材料の約3倍の強度を持つ。また、炭素繊維を混ぜん込んだものはCFRP(カーボン繊維強化プラスチック)と呼ばれ、導電性があることが特徴である。

(4)適切である。アルミニウム合金の鋳造に用いられるダイカスト法は、溶かしたアルミニウム合金を精密な金型に高速・高圧で注入し、短時間に鋳物を成形する製法である。なお、アルミニウム合金に限らず、溶かした非鉄金属を精密な金型に高速・高圧で注入て成形する鋳造技術をダイカストと呼ぶ。

(5)適切である。粉末冶金(Powder Metallurgy)は、鉄粉をはじめとする金属粉末を金型に入れて圧縮して固め、高温で焼結して精度の高い部品をつくる手法である。PM又はP/Mと略記される。

粉末にできれば成形でき、鉄の粉末にニッケル、クロム、タングステン、モリブデンの粉末を加えて合金鋼とすることも可能である。その加工方法の特性から、1組の金型で複雑な形状の製品の成形ができるというメリットがある。

2021年11月14日執筆