労働安全コンサルタント試験 2020年 産業安全関係法令 問14

安全衛生改善計画に関する安衛法令の規定




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合格

 このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和02年度) 問14 難易度 安全衛生改善計画は4年ぶりの出題である。組合せ問題とはいえ、やや難問だろうか。
安全衛生改善計画

問14 安全衛生改善計画に関する次のイ~ホの記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

イ 都道府県労働局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるときは、原則として、事業者に対し、当該事業場の安全衛生改善計画を作成すべきことを指示することができる。

ロ 都道府県労働局長は、事業者に対し安全衛生改善計画を作成すべきことを指示した場合において、専門的な助言を必要とすると認めるときは、当該事業者に対し、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントによる安全又は衛生に係る診断を受け、かつ、安全衛生改善計画の作成について、これらの者の意見を聴くべきことを勧奨することができる。

ハ 都道府県労働局長は、安全衛生改善計画が労働災害の再発の防止を図る上で適切でないと認めるときは、安全衛生改善計画変更指示書により、事業者に対し、当該安全衛生改善計画の変更を指示することができる。

ニ 事業者は、安全衛生改善計画を作成しようとする場合には、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

ホ 都道府県労働局長は、安全衛生改善計画を作成した事業者に対して、当該安全衛生改善計画を守っていないと認めて、必要な措置をとるべきことを勧告したときは、その旨を公表しなければならない。

(1)イ   ニ

(2)イ   ホ

(3)ロ   ハ

(4)ロ   ニ

(5)ハ   ホ

正答(5)

【解説】

イ 正しい。安衛法第79条の規定により、都道府県労働局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるときは、原則として、事業者に対し、当該事業場の安全衛生改善計画を作成すべきことを指示することができる。

【労働安全衛生法】

(安全衛生改善計画)

第79条 都道府県労働局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるとき(前条第一項の規定により厚生労働大臣が同項の厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるときを除く。)は、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、当該事業場の安全又は衛生に関する改善計画(以下「安全衛生改善計画」という。)を作成すべきことを指示することができる。

 (略)

ロ 正しい。安衛法第80条第2項により、都道府県労働局長は、事業者に対し安全衛生改善計画を作成すべきことを指示した場合において、専門的な助言を必要とすると認めるときは、当該事業者に対し、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントによる安全又は衛生に係る診断を受け、かつ、安全衛生改善計画の作成について、これらの者の意見を聴くべきことを勧奨することができる。

【労働安全衛生法】

(安全衛生診断)

第80条 厚生労働大臣は、第七十八条第一項又は第四項の規定による指示をした場合において、専門的な助言を必要とすると認めるときは、当該事業者に対し、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントによる安全又は衛生に係る診断を受け、かつ、特別安全衛生改善計画の作成又は変更について、これらの者の意見を聴くべきことを勧奨することができる。

 前項の規定は、都道府県労働局長が前条第一項の規定による指示をした場合について準用する。この場合において、前項中「作成又は変更」とあるのは、「作成」と読み替えるものとする。

ハ 誤り。安全衛生計画について定める安衛法第79条は、その2項において特別安全衛生計画に関する同法第79条の第2項及び第3項を準用している。しかし、「当該特別安全衛生改善計画を変更すべきことを指示することができる」とする第4項は準用していない。

【労働安全衛生法】

(特別安全衛生改善計画)

第78条 (第1項~第3項略)

 厚生労働大臣は、特別安全衛生改善計画が重大な労働災害の再発の防止を図る上で適切でないと認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、当該特別安全衛生改善計画を変更すべきことを指示することができる。

5及び6 (略)

(安全衛生改善計画)

第79条 都道府県労働局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるとき(前条第一項の規定により厚生労働大臣が同項の厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるときを除く。)は、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、当該事業場の安全又は衛生に関する改善計画(以下「安全衛生改善計画」という。)を作成すべきことを指示することができる。

 前条第二項及び第三項の規定は、安全衛生改善計画について準用する。この場合において、同項中「第一項」とあるのは、「次条第一項」と読み替えるものとする。

ニ 正しい。安全衛生計画について定める安衛法第79条は、その2項において特別安全衛生計画に関する同法第79条の第2項及び第3項を準用している。従って、同条第2項により、事業者は、安全衛生改善計画を作成しようとする場合には、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

【労働安全衛生法】

(特別安全衛生改善計画)

第78条 (第1項略)

 事業者は、特別安全衛生改善計画を作成しようとする場合には、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

3~6 (略)

(安全衛生改善計画)

第79条 都道府県労働局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるとき(前条第一項の規定により厚生労働大臣が同項の厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるときを除く。)は、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、当該事業場の安全又は衛生に関する改善計画(以下「安全衛生改善計画」という。)を作成すべきことを指示することができる。

 前条第二項及び第三項の規定は、安全衛生改善計画について準用する。この場合において、同項中「第一項」とあるのは、「次条第一項」と読み替えるものとする。

ホ 誤り。安全衛生計画について定める安衛法第79条は、その2項において特別安全衛生計画に関する同法第79条の第2項及び第3項を準用している。しかし、公表に関する同条第5項は準用されていないし、そもそも同条第5項は「公表しなければならない」とはしていない。

【労働安全衛生法】

(特別安全衛生改善計画)

第78条 (第1項~第5項略)

 厚生労働大臣は、前項の規定による勧告を受けた事業者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

(安全衛生改善計画)

第79条 都道府県労働局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるとき(前条第一項の規定により厚生労働大臣が同項の厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるときを除く。)は、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、当該事業場の安全又は衛生に関する改善計画(以下「安全衛生改善計画」という。)を作成すべきことを指示することができる。

 前条第二項及び第三項の規定は、安全衛生改善計画について準用する。この場合において、同項中「第一項」とあるのは、「次条第一項」と読み替えるものとする。

2020年11月14日執筆