労働安全コンサルタント試験 2020年 産業安全関係法令 問12

機械等に関する安衛法令上の規制




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合格

 このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和02年度) 問12 難易度 機械等の検査に関する基本的な問題である。正答できなければならない問題である。
機械等に関する規定

問12 機械等の規制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。

ただし、第一種圧力容器、ボイラー及び移動式クレーンは特定機械等であるものとする。

(1)第一種圧力容器については、構造検査に合格した後でなければ溶接検査を受けることができない。

(2)所轄労働基準監督署長の認定を受けたボイラーについては、検査証の有効期間を最大8年まで延長することができる。

(3)フォークリフトの特定自主検査は、厚生労働大臣又は都道府県労働局長の登録を受けた検査業者以外は実施することはできない。

(4)移動式クレーンを設置したときは、所轄労働基準監督署長による落成検査を受けなければならない。

(5)プレス機械の安全装置を製造した者は、登録型式検定機関が行う型式検定を受けなければならない。

正答(5)

【解説】

(1)誤り。ボイラー則第51条の規定により、溶接による第一種圧力容器については、溶接検査に合格した後でなければ構造検査を受けることができない。

溶接検査と構造検査の順序が逆である。

【ボイラー及び圧力容器安全規則】

(構造検査)

第51条 (第1項略)

 溶接による第一種圧力容器については、第五十三条第一項の規定による検査に合格した後でなければ、前項の規定による検査(以下この章において「構造検査」という。)を受けることができない。

3及び4 (略)

(溶接検査)

第53条 溶接による第一種圧力容器の溶接をしようとする者は、法第三十八条第一項の規定により、当該第一種圧力容器について、登録製造時等検査機関の検査を受けなければならない。ただし、圧縮応力以外の応力を生じない部分のみが溶接による第一種圧力容器については、この限りでない。

2及び3 (略)

(2)誤り。本肢のような規定はない。ボイラー則第37条第2項に有効期間の延長の規定はあるが、移動式ボイラーについての規定であり、また、本肢のような内容でもない。

【ボイラー及び圧力容器安全規則】

(ボイラー検査証の有効期間)

第37条 ボイラー検査証の有効期間は、一年とする。

 前項の規定にかかわらず、構造検査又は使用検査を受けた後設置されていない移動式ボイラーであつて、その間の保管状況が良好であると都道府県労働局長が認めたものについては、当該移動式ボイラーの検査証の有効期間を構造検査又は使用検査の日から起算して二年を超えず、かつ、当該移動式ボイラーを設置した日から起算して一年を超えない範囲内で延長することができる。

(3)誤り。フォークリフトは安衛令第45条第2項(及び第13条第3項第八号)により、特定自主検査の対象である。しかし、特定自主検査は、安衛法第45条第2項により、その使用する労働者で厚生労働省令で定める資格を有するものに行わせることができる。厚生労働大臣又は都道府県労働局長の登録を受けた検査業者以外は実施することはできないわけではない。

【労働安全衛生法】

(定期自主検査)

第45条 (第1項略)

 事業者は、前項の機械等で政令で定めるものについて同項の規定による自主検査のうち厚生労働省令で定める自主検査(以下「特定自主検査」という。)を行うときは、その使用する労働者で厚生労働省令で定める資格を有するもの又は第五十四条の三第一項に規定する登録を受け、他人の求めに応じて当該機械等について特定自主検査を行う者(以下「検査業者」という。)に実施させなければならない。

3及び4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等)

第13条 (第1項及び第2項略)

 (柱書略)。

一~七 (略)

 フオークリフト

九~三十四 (略)

4及び5 (略)

(定期に自主検査を行うべき機械等)

第45条 (1項略)

 法第四十五条第二項の政令で定める機械等は、第十三条第三項第八号、第九号、第三十三号及び第三十四号に掲げる機械等並びに前項第二号に掲げる機械等とする。

【労働安全衛生規則】

(特定自主検査)

第151条の24 フオークリフトに係る特定自主検査は、第百五十一条の二十一に規定する自主検査とする。

 フオークリフトに係る法第四十五条第二項の厚生労働省令で定める資格を有する労働者は、次の各号のいずれかに該当する者とする。

一~三 (略)

2~5 (略)

(4)誤り。移動式クレーンは、安衛令第13条第3項第十五号の移動式クレーン(つり上げ荷重が 0.5 トン以上3トン未満)を除き、製造検査又は使用検査を受けている。このため、設置したときはクレーンの検査を受ける必要はない。

ただし、安衛令第13条第3項第十五号の移動式クレーンは、クレーン則第62条により、荷重試験及び安定度試験を行なわなければならない。しかし、所轄労働基準監督署長による落成検査を受けなければならないという規定はない。

なお、移動式クレーンを設置しようとするときは、所轄労働基準監督署長に設置報告書を提出する必要がある(クレーン則第61条)。

【労働安全衛生法施行令】

(厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等)

第13条 (第1項及び第2項略)

 (柱書略)。

一~十四 (略)

十五 つり上げ荷重が〇・五トン以上三トン未満の移動式クレーン

十六~三十四 (略)

4及び5 (略)

【クレーン等安全規則】

(荷重試験等)

第62条 事業者は、令第十三条第三項第十五号の移動式クレーンを設置したときは、当該移動式クレーンについて、第五十五条第三項の荷重試験及び同条第四項の安定度試験を行なわなければならない。ただし、認定を受けた事業者については、この限りでない。

(5)正しい。プレス機械の安全装置は、安衛令第14条の2(第二号)により、安衛法第44条の2第1項の政令で定める機械等である。従って、安衛法第44条の2第1項の規定により、原則として登録型式検定機関(厚生労働大臣の登録を受けた者)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。

【労働安全衛生法】

(型式検定)

第44条の2 第四十二条の機械等のうち、別表第四に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。ただし、当該機械等のうち輸入された機械等で、その型式について次項の検定が行われた機械等に該当するものは、この限りでない。

2~7 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(型式検定を受けるべき機械等)

第14条の2 法第四十四条の二第一項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

 (略)

 プレス機械又はシャーの安全装置

三~十三 (略)

2020年11月08日執筆 2022年10月13日最終改訂