労働安全コンサルタント試験 2020年 産業安全関係法令 問04

荷役運搬機械等の労働災害防止措置




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合格

 このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和02年度) 問04 難易度 ここ数年、問4は荷役運搬機械に関する出題。やや詳細な内容だが、正答しておきたい。
荷役運搬機械等

問4 荷役運搬機械等による労働災害を防止するため事業者が講じた措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、違反となるものはどれか。

(1)最大積載量が4トンの貨物自動車に荷を積む作業を行うとき、当該作業に従事する労働者が床面と荷台上の荷の上面との間を安全に昇降するための設備を設けなかった。

(2)最高速度が毎時 15 キロメートルのショベルローダーを用いて作業を行うとき、制限速度は定めなかった。

(3)フォークリフトの修理、点検等の作業を行う場合において、フォークが不意に降下することを防止するための安全支柱を使用させた上で、フォークの下に労働者を立ち入らせた。

(4)特定自主検査を実施した後使用せずに1年6か月経過した不整地運搬車について、使用を再開する際の特定自主検査を実施することなく当該不整地運搬車を使用した。

(5)一の荷でその重量が 80 キログラムのものを貨物自動車に積む作業を行うとき、当該作業を指揮する者を定めなかった。

※ 本問は、出題後の省令改正により正答の肢が2つとなっている。

正答(2)(出題後の省令改正により(1)も正答となる。)

【解説】

(1)出題当時は違反とはならなかったが、2023 年 10 月1日施行の省令改正により現在は違反となる。安衛則第 151 条の67により、最大積載量が2トン以上の貨物自動車に荷を積む作業を行うときは、作業に従事する労働者が床面と荷台上の荷の上面との間を安全に昇降するための設備を設けなければならない。

なお、出題当時は、最大積載量が5トン以上とされており、本肢は最大積載量が4トンであるから違反とはならなかった。

【労働安全衛生規則】

(昇降設備)

第151条の67 事業者は、最大積載量が2トン以上の貨物自動車に荷を積む作業(ロープ掛けの作業及びシート掛けの作業を含む。)又は最大積載量が2トン以上の貨物自動車から荷を卸す作業(ロープ解きの作業及びシート外しの作業を含む。)を行うときは、墜落による労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者が床面と荷台との間及び床面と荷台上の荷の上面との間を安全に昇降するための設備を設けなければならない。

 (略)

出題当時の本条は次のようになっていた。

(昇降設備)

第151条の67 事業者は、最大積載量が5トン以上の貨物自動車に荷を積む作業(ロープ掛けの作業及びシート掛けの作業を含む。)又は最大積載量が5トン以上の貨物自動車から荷を卸す作業(ロープ解きの作業及びシート外しの作業を含む。)を行うときは、墜落による労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者が床面と荷台上の荷の上面との間を安全に昇降するための設備を設けなければならない。

 (略)

(2)違反となる。ショベルローダーは安衛則第 151 条の2(第二号)の規定により車両系荷役運搬機械等に該当する。

そして、同規則第 151 条の5により、車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、最高速度が毎時 10 キロメートル以下のものを除き、適正な制限速度を定めなければならない。

本肢のショベルローダーは、最高速度が毎時 15 キロメートルであるから違反となる。

【労働安全衛生規則】

(定義)

第151条の2 この省令において車両系荷役運搬機械等とは、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

 (略)

 シヨベルローダー

三~七 (略)

(制限速度)

第151条の5 事業者は、車両系荷役運搬機械等(最高速度が毎時10キロメートル以下のものを除く。)を用いて作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に係る場所の地形、地盤の状態等に応じた車両系荷役運搬機械等の適正な制限速度を定め、それにより作業を行わなければならない。

 (略)

(3)違反とはならない。フォークリフトは、安衛則第 151 条の2(第一号)により、車両系荷役運搬機械等に該当する。

しかし、同規則第 151 条の9は、修理、点検等の作業を行う場合において、フォークが不意に降下することを防止するための安全支柱を使用させた上で、フォークの下に労働者を立ち入らせることは禁止していない。

【労働安全衛生規則】

(定義)

第151条の2 この省令において車両系荷役運搬機械等とは、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

 フオークリフト

二~七 (略)

(立入禁止)

第151条の9 事業者は、車両系荷役運搬機械等(構造上、フオーク、シヨベル、アーム等が不意に降下することを防止する装置が組み込まれているものを除く。)については、そのフオーク、シヨベル、アーム等又はこれらにより支持されている荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。ただし、修理、点検等の作業を行う場合において、フオーク、シヨベル、アーム等が不意に降下することによる労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者に安全支柱、安全ブロツク等を使用させるときは、この限りでない。

 (略)

(4)違反とはならない。定期自主検査は安衛法第 45 条第1項によって義務付けられ、そのうちの一部のものが同第2項によって有資格者による特定自主検査とされている。それぞれの対象は、安衛令第15条第1項及び第2項で定められており、不整地運搬車は特定自主検査の対象となる。

そして、安衛則第 151 条の 56 第1項により、同規則第 151 条の 53 の検査は特定自主検査であるとされている。一方、同規則第 151 条の 53 の検査は、2年を超えない期間ごとに1回行わなければならないとされている。そして、2年を超える期間使用しない場合は、その期間中は行うことは義務付けられていないが、同第2項によりその使用を再び開始する際に行わなければならないとされている。

本肢の不整地運搬車は、特定自主検査を実施した後使用せずに1年6か月経過しただけであるから、その間、使用しているか否かを問わず特定自主検査を行う必要はない。

【労働安全衛生法】

(定期自主検査)

第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。

 事業者は、前項の機械等で政令で定めるものについて同項の規定による自主検査のうち厚生労働省令で定める自主検査(以下「特定自主検査」という。)を行うときは、その使用する労働者で厚生労働省令で定める資格を有するもの又は第54条の3第1項に規定する登録を受け、他人の求めに応じて当該機械等について特定自主検査を行う者(以下「検査業者」という。)に実施させなければならない。

3及び4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等)

第13条 (第1項及び第2項略)。

 (柱書略)

一~三十二 (略)

三十三 不整地運搬車

三十四 (略)

4及び5 (略)

(定期に自主検査を行うべき機械等)

第15条 法第45条第1項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。

 第12条第1項各号に掲げる機械等、第13条第3項第五号、第六号、第八号、第九号、第十四号から第十九号まで及び第三十号から第三十四号までに掲げる機械等、第14条第二号から第四号までに掲げる機械等並びに前条第十号及び第十一号に掲げる機械等

二~十一 (略)

 法第45条第2項の政令で定める機械等は、第13条第3項第八号、第九号、第三十三号及び第三十四号に掲げる機械等並びに前項第二号に掲げる機械等とする。

【労働安全衛生規則】

(定期自主検査)

第151条の53 事業者は、不整地運搬車については、2年を超えない期間ごとに1回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、2年を超える期間使用しない不整地運搬車の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一~九 (略)

 事業者は、前項ただし書の不整地運搬車については、その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。

第151条の56 不整地運搬車に係る特定自主検査は、第151条の53に規定する自主検査とする。

2~5 (略)

(5)違反とはならない。安衛則第 151 条の 70 により作業を指揮する者を定めなければならないのは、一の荷でその重量が 100 キログラム以上のものを貨物自動車に積む作業を行うときである。本肢の荷は 80kg であるから、該当しない。

【労働安全衛生規則】

(積卸し)

第151条の70 事業者は、一の荷でその重量が100キログラム以上のものを貨物自動車に積む作業(ロープ掛けの作業及びシート掛けの作業を含む。)又は貨物自動車から卸す作業(ロープ解きの作業及びシート外しの作業を含む。)を行うときは、当該作業を指揮する者を定め、その者に次の事項を行わせなければならない。

一~五 (略)

2020年11月07日執筆 2024年11月08日一部改訂