問3 機械による危険を防止するために事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。
(1)プレス機械については、クラッチ、ブレーキその他制御のために必要な部分の機能を常に有効な状態に保持しなければならない。
(2)遠心機械については、その最高使用回転数をこえて使用してはならない。ただし、遠心機械にふたを設けたときは、この限りでない。
(3)研削といしについては、その日の作業を開始する前には試運転をしなければならない。ただし、研削といしが未使用のものである場合はこの限りでない。
(4)自動送材車式帯のこ盤については、送材車と歯との間に関係労働者以外の労働者が立ち入ることを禁止し、かつ、関係労働者以外の労働者の立入りを禁止する旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
(5)木材加工用帯のこ盤のスパイクつき送りローラーについては、接触予防装置ではなく、作業者がスパイクつき送りローラーを停止することができる急停止装置を設けなければならない。
このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2020年度(令和02年度) | 問03 | 難易度 | 例年、機械による危険防止は詳細な知識が問われるが、本年は基本的な内容。正答できる必要がある。 |
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機械による危険の防止 | 2 |
問3 機械による危険を防止するために事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。
(1)プレス機械については、クラッチ、ブレーキその他制御のために必要な部分の機能を常に有効な状態に保持しなければならない。
(2)遠心機械については、その最高使用回転数をこえて使用してはならない。ただし、遠心機械にふたを設けたときは、この限りでない。
(3)研削といしについては、その日の作業を開始する前には試運転をしなければならない。ただし、研削といしが未使用のものである場合はこの限りでない。
(4)自動送材車式帯のこ盤については、送材車と歯との間に関係労働者以外の労働者が立ち入ることを禁止し、かつ、関係労働者以外の労働者の立入りを禁止する旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
(5)木材加工用帯のこ盤のスパイクつき送りローラーについては、接触予防装置ではなく、作業者がスパイクつき送りローラーを停止することができる急停止装置を設けなければならない。
正答(1)
【解説】
(1)正しい。安衛則第 132 条の通りである。
また、内容的にも当然のことである。仮にこの肢が誤りだとすれば、それは法令の欠缺だということになろう。そのような問題を厚生労働省の試験問題に出すわけがないのである。
【労働安全衛生規則】
(クラツチ等の機能の保持)
第132条 事業者は、プレス等のクラツチ、ブレーキその他制御のために必要な部分の機能を常に有効な状態に保持しなければならない。
(2)誤り。安衛則第 140 条は、遠心機械について、その最高使用回転数をこえて使用してはならないと定めている。本肢のような例外規程はない。
そもそも、安衛則第 138 条によって、遠心機械にはふたを設けなければならないのである。本肢のような例外規定があれば、常に最高使用回転数を超えてもよいことになってしまうだろう。そんなことがあるわけがないだろう。
なお、このふたは労働者が誤って遠心機械の回転部に触らないようにするためのものであって、遠心機械が破裂したときに飛散することを防止するためのものではない。
常識で考えても、最高使用回転数は、それ以上の回転数で使用してはならないという数値である。ふたをしておけば、(壊れても安全だから)それ以上の回転数で使用してもよいなどという法令を作るはずがあるまい。
【労働安全衛生規則】
(ふたの取付け)
第138条 事業者は、遠心機械には、ふたを設けなければならない。
(最高使用回転数をこえる使用の禁止)
第140条 事業者は、遠心機械については、その最高使用回転数をこえて使用してはならない。
(3)誤り。研削といしについては、安衛則第 118 条の規定により、その日の作業を開始する前には試運転をしなければならない。
研削といしが未使用のものであるからといって、試運転をしなくても安全だというわけではない。
未使用ということは、それまで一度も高速で回転したことがないのであるから、何らかの欠陥があっても分からないのである。試運転の必要性は、かえって高いだろう。
【労働安全衛生規則】
(研削といしの試運転)
第118条 事業者は、研削といしについては、その日の作業を開始する前には1分間以上、研削といしを取り替えたときには3分間以上試運転をしなければならない。
(4)誤り。自動送材車式帯のこ盤については、安衛則第 128 条の規定により、関係労働者を含むすべての労働者に対して、送材車と歯との間への立ち入りを禁止し、かつ、すべての労働者の立入りを禁止する旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
自動送材車式帯のこ盤の送材車と歯との間へ、関係労働者が入らなければならない理由はないし、立ち入れば危険である。関係労働者を例外扱いする理由はない。
【労働安全衛生規則】
(研削といしの試運転)
第128条 事業者は、自動送材車式帯のこ盤の送材車と歯との間に労働者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
2 (略)
(5)誤り。木材加工用帯のこ盤のスパイクつき送りローラーについては、原則として接触予防装置又は覆いを設ける必要がある。作業者がスパイクつき送りローラーを停止することができる急停止装置は、例外措置(次善の策)にすぎない。
【労働安全衛生規則】
(帯のこ盤の送りローラーの覆い等)
第125条 事業者は、木材加工用帯のこ盤のスパイクつき送りローラー又はのこ歯形送りローラーには、送り側を除いて、接触予防装置又は覆いを設けなければならない。ただし、作業者がスパイクつき送りローラー又はのこ歯形送りローラーを停止することができる急停止装置が設けられているものについては、この限りでない。