労働安全コンサルタント試験 2020年 産業安全関係法令 問02

元方事業者等の安全衛生管理体制




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 このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和02年度) 問02 難易度 安全衛生管理体制は基本中の基本。本問は正答できる必要がある。
元方事業者の管理体制

問2 安全衛生管理体制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。

(1)元方事業者のうち、造船業に属する事業を行う者は、特定元方事業者である。

(2)都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、統括安全衛生責任者の解任を命ずることができる。

(3)元方事業者は、一の場所において、主要構造部が鉄骨鉄筋コンクリート造である建築物の建設の仕事であって、元方事業者の労働者及び関係請負人の労働者の数が常時20人以上50人未満であるものに係る作業を行うときは、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、店社安全衛生管理者を選任しなければならない。

(4)店社安全衛生管理者を選任すべき事業者は、その仕事を行う場所において、統括安全衛生責任者及び元方安全衛生管理者の職務を行う者を選任し、それぞれ法令で定める職務を行わせているときは、店社安全衛生管理者を選任し、その職務を行わせているものとされる。

(5)店社安全衛生管理者を選任すべき事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われるときに設置される協議組織の会議に、店社安全衛生管理者を随時参加させなければならない。

正答(2)

【解説】

元方事業者の安全衛生管理体制はきわめて複雑であり、捨て問として学習しないという方もおられるようだが、今年の問題は基本的な内容となっている。(2)が正しいことは、過去問を学習していれば直ちに分かるだろう。

(1)正しい。特定元方事業者の定義は安衛法第15条第1項にある。そして、同項の「その他政令で定める業種」は安衛令第7条第1項により「造船業」と定められている。

【労働安全衛生法】

(統括安全衛生責任者)

第15条 事業者で、一の場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているもの(当該事業の仕事の一部を請け負わせる契約が二以上あるため、その者が二以上あることとなるときは、当該請負契約のうちの最も先次の請負契約における注文者とする。以下「元方事業者」という。)のうち、建設業その他政令で定める業種に属する事業(以下「特定事業」という。)を行う者(以下「特定元方事業者」という。)は、その労働者及びその請負人(元方事業者の当該事業の仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。以下「関係請負人」という。)の労働者が当該場所において作業を行うときは、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、第30条第1項各号の事項を統括管理させなければならない。ただし、これらの労働者の数が政令で定める数未満であるときは、この限りでない。

2~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(統括安全衛生責任者を選任すべき業種等)

第7条 法第15条第1項の政令で定める業種は、造船業とする。

 (略)

(2)誤り。このような規定はない。統括安全衛生責任者は、その場所においてその事業の実施を統括管理する者なのである。トップが責任をとれという趣旨なのだ。トップを責任者としての立場から降ろさせたら、統括安全衛生責任者の後任として就任できるものがいないではないか。むしろ、安全衛生の責任者としての職務を遂行させるべきである。

【労働安全衛生法】

(統括安全衛生責任者)

第15条 事業者で、一の場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているもの(当該事業の仕事の一部を請け負わせる契約が二以上あるため、その者が二以上あることとなるときは、当該請負契約のうちの最も先次の請負契約における注文者とする。以下「元方事業者」という。)のうち、建設業その他政令で定める業種に属する事業(以下「特定事業」という。)を行う者(以下「特定元方事業者」という。)は、その労働者及びその請負人(元方事業者の当該事業の仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。以下「関係請負人」という。)の労働者が当該場所において作業を行うときは、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、第30条第1項各号の事項を統括管理させなければならない。ただし、これらの労働者の数が政令で定める数未満であるときは、この限りでない。

 統括安全衛生責任者は、当該場所においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない

3~5 (略)

(3)正しい。第 15 条の3により、元方事業者は、一の場所において作業を行うときは、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、店社安全衛生管理者を選任しなければならない。

ただし、カッコ書きにより、①労働者の数が厚生労働省令で定める数未満である場所、及び、②第 15 条第1項又は第3項の規定により統括安全衛生責任者を選任しなければならない場所は除かれている。

そして、①については、安衛則第 18 条の6第1項(第一号)により、主要構造部が鉄骨鉄筋コンクリート造である建築物の建設の仕事については、労働者の数が常時20人未満とされている。また、②については、安衛令第7条第2項により、50人以上と定められている。

【労働安全衛生法】

(統括安全衛生責任者)

第15条 事業者で、一の場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているもの(当該事業の仕事の一部を請け負わせる契約が二以上あるため、その者が二以上あることとなるときは、当該請負契約のうちの最も先次の請負契約における注文者とする。以下「元方事業者」という。)のうち、建設業その他政令で定める業種に属する事業(以下「特定事業」という。)を行う者(以下「特定元方事業者」という。)は、その労働者及びその請負人(元方事業者の当該事業の仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。以下「関係請負人」という。)の労働者が当該場所において作業を行うときは、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、第三十条第一項各号の事項を統括管理させなければならない。ただし、これらの労働者の数が政令で定める数未満であるときは、この限りでない

 (略)

 第30条第4項の場合において、同項のすべての労働者の数が政令で定める数以上であるときは、当該指名された事業者は、これらの労働者に関し、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、同条第一項各号の事項を統括管理させなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、第一項の規定は、適用しない。

4及び5 (略)

(店社安全衛生管理者)

第15条の3 建設業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が一の場所(これらの労働者の数が厚生労働省令で定める数未満である場所及び第15条第1項又は第3項の規定により統括安全衛生責任者を選任しなければならない場所を除く。)において作業を行うときは、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、これらの労働者の作業が同一の場所で行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、店社安全衛生管理者を選任し、その者に、当該事業場で締結している当該請負契約に係る仕事を行う場所における第30条第1項各号の事項を担当する者に対する指導その他厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(統括安全衛生責任者を選任すべき業種等)

第7条 (第1項略)

 法第15条第1項ただし書及び第3項の政令で定める労働者の数は、次の各号に掲げる仕事の区分に応じ、当該各号に定める数とする。

 ずい道等の建設の仕事、橋りょうの建設の仕事(作業場所が狭いこと等により安全な作業の遂行が損なわれるおそれのある場所として厚生労働省令で定める場所において行われるものに限る。)又は圧気工法による作業を行う仕事 常時30人

 前号に掲げる仕事以外の仕事 常時50人

【労働安全衛生規則】

(店社安全衛生管理者の選任に係る労働者数等)

第18条の6 法第15条の3第1項及び第2項の厚生労働省令で定める労働者の数は、次の各号の仕事の区分に応じ、当該各号に定める数とする。

 令第7条第2項第一号の仕事及び主要構造部が鉄骨造又は鉄骨鉄筋コンクリート造である建築物の建設の仕事 常時20人

 前号の仕事以外の仕事 常時50人

 (略)

(4)正しい。安衛則第18条第2項の規定の通りである。

【労働安全衛生規則】

(店社安全衛生管理者の選任に係る労働者数等)

第18条の6 (第1項 略)

 建設業に属する事業の仕事を行う事業者であつて、法第15条第2項に規定するところにより、当該仕事を行う場所において、統括安全衛生責任者の職務を行う者を選任し、並びにその者に同条第1項又は第3項及び同条第4項の指揮及び統括管理をさせ、並びに法第15条の2第1項の資格を有する者のうちから元方安全衛生管理者の職務を行う者を選任し、及びその者に同項の事項を管理させているもの(法第15条の3第1項又は第2項の規定により店社安全衛生管理者を選任しなければならない事業者に限る。)は、当該場所において同条第1項又は第2項の規定により店社安全衛生管理者を選任し、その者に同条第1項又は第2項の事項を行わせているものとする。

(5)正しい。安衛法第 15 条の3第1項及び第2項により、店社安全衛生管理者に行わせなければならない事項は、安衛則第18条の8に定められている。

その第二号には、労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われるときに設置される協議組織の会議に、店社安全衛生管理者を随時参加させることが定められている。

【労働安全衛生法】

(店社安全衛生管理者)

第15条の3 建設業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が一の場所(これらの労働者の数が厚生労働省令で定める数未満である場所及び第十五条第一項又は第三項の規定により統括安全衛生責任者を選任しなければならない場所を除く。)において作業を行うときは、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、これらの労働者の作業が同一の場所で行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、店社安全衛生管理者を選任し、その者に、当該事業場で締結している当該請負契約に係る仕事を行う場所における第30条第1項各号の事項を担当する者に対する指導その他厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

 第30条第4項の場合において、同項のすべての労働者の数が厚生労働省令で定める数以上であるとき(第15条第1項又は第3項の規定により統括安全衛生責任者を選任しなければならないときを除く。)は、当該指名された事業者で建設業に属する事業の仕事を行うものは、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、これらの労働者に関し、これらの労働者の作業が同一の場所で行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、店社安全衛生管理者を選任し、その者に、当該事業場で締結している当該請負契約に係る仕事を行う場所における第30条第1項各号の事項を担当する者に対する指導その他厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、前項の規定は適用しない。

(特定元方事業者等の講ずべき措置)

第30条 特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。

 協議組織の設置及び運営を行うこと。

二~六 (略)

2~4 (略)

【労働安全衛生規則】

(店社安全衛生管理者の職務)

第18条の8 法第15条の3第1項及び第2項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。

一及び二 (略)

 法第30条第1項第一号の協議組織の会議に随時参加すること。

 (略)

2020年11月07日執筆 2024年11月08日最終改訂