問1 安全管理体制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。
(1)事業者は、総括安全衛生管理者に、労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関することについて統括管理させなければならない。
(2)事業者は、安全衛生推進者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。
(3)事業者は、安全委員会を設置すべき事由が発生した日から14日以内に安全委員会を設置しなければならない。
(4)労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、安全委員会の委員の増員又は解任を命ずることができる。
(5)事業者は、常時2000人の労働者を使用する鉄鋼業の事業場については、安全管理者を3人以上選任しなければならない。
このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2020年度(令和02年度) | 問01 | 難易度 | 安全管理体制は基本中の基本。本問は正答できる必要がある。 |
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労働安全管理体制 | 1 |
問1 安全管理体制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。
(1)事業者は、総括安全衛生管理者に、労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関することについて統括管理させなければならない。
(2)事業者は、安全衛生推進者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。
(3)事業者は、安全委員会を設置すべき事由が発生した日から14日以内に安全委員会を設置しなければならない。
(4)労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、安全委員会の委員の増員又は解任を命ずることができる。
(5)事業者は、常時2000人の労働者を使用する鉄鋼業の事業場については、安全管理者を3人以上選任しなければならない。
正答(1)
【解説】
本問は、すべての肢が基本的な内容である。しかも、過去問を解いて、自分のものにしていれば分かる内容である。こんな基本的な問を間違えてはならない。
(1)正しい。総括安全衛生管理者に統括管理させるべき事項は安衛法第10条第1項(第四号)に定められている。
【労働安全衛生法】
(総括安全衛生管理者)
第10条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
一~三 (略)
四 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
五 (略)
2及び3 (略)
(2)誤り。「旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない」という規定は、総括安全衛生管理者に関する安衛則第3条に定められている。この規定は、「安全管理者」(第4条第2項)、「衛生管理者」(第7条第2項)、「統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、店社安全衛生管理者及び安全衛生責任者」(第20条)及び「救護に関する技術的事項を管理する者」(第24条の7第2項)に準用されている(※)が、安全衛生推進者には準用されていない。
※ このことは試験の時までに覚えておく必要がある。
【労働安全衛生規則】
(総括安全衛生管理者の代理者)
第3条 事業者は、総括安全衛生管理者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によつて職務を行なうことができないときは、代理者を選任しなければならない。
(安全管理者の選任)
第4条 (第1項略)
2 第2条第2項及び第3条の規定は、安全管理者について準用する。
(衛生管理者の選任)
第7条 (第1項略)
2 第2条第2項及び第3条の規定は、衛生管理者について準用する。
(統括安全衛生責任者等の代理者)
第20条 第3条の規定は、統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、店社安全衛生管理者及び安全衛生責任者について準用する。
(救護に関する技術的事項を管理する者の選任)
第24条の7 (第1項略)
2 第3条及び第8条の規定は、救護に関する技術的事項を管理する者について準用する。この場合において、同条中「前条第1項」とあるのは「第24条の7第1項第二号」と、「同項」とあるのは「同号」と読み替えるものとする。
(3)誤り。このような規定はない。安全委員会をいつまでに設置しなければならないという規定はない。
ただし、安全委員会は安衛則第23条の規定により毎月1回以上開催する必要があるので、1月以内に設置しなければならないことになろう。
【労働安全衛生規則】
(委員会の会議)
第23条 事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)を毎月1回以上開催するようにしなければならない。
2~5 (略)
(4)誤り。このような規定はない。安全委員会は事業者にとっては諮問機関なのである。「労働災害を防止するため必要があると認める」なら、直接、必要なことを命じればよい。「安全委員会の委員の増員又は解任」を事業者に命じるような悠長なことをしていてどうするのだ!
なお、安全衛生管理体制について労働基準監督署長が命じることができることに「安全管理者の増員又は解任」及び「元方安全衛生管理者の増員又は解任」があることは覚えておこう(※)。
※ この規定は衛生管理者にも準用されている。
【労働安全衛生法】
(安全管理者)
第11条 (略)
2 労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、安全管理者の増員又は解任を命ずることができる。
(衛生管理者)
第12条 (略)
2 前条第二項の規定は、衛生管理者について準用する。
(元方安全衛生管理者)
第15条の2 (略)
2 第11条第2項の規定は、元方安全衛生管理者について準用する。この場合において、同項中「事業者」とあるのは、「当該元方安全衛生管理者を選任した事業者」と読み替えるものとする。
(安全委員会)
第17条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。
一~三 (略)
2~5 (略)
(5)誤り。安全管理者について、人数を定める規定はない。なお、安衛則第4条第1項(第二号)の規定により、特殊化学設備を備える事業場で、都道府県労働局長が指定した場合には、都道府県労働局長が指定する生産施設単位ごとに、必要な数の安全管理者を選任しなければならない。
【労働安全衛生法】
(安全管理者)
第11条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、安全管理者を選任し、その者に前条第1項各号の業務(第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第1項各号の措置に該当するものを除く。)のうち安全に係る技術的事項を管理させなければならない。
2 (略)
【労働安全衛生規則】
(安全管理者の選任)
第4条 法第11条第1項の規定による安全管理者の選任は、次に定めるところにより行わなければならない。
一及び二 (略)
三 化学設備(労働安全衛生法施行令(以下「令」という。)第9条の3第一号に掲げる化学設備をいう。以下同じ。)のうち、発熱反応が行われる反応器等異常化学反応又はこれに類する異常な事態により爆発、火災等を生ずるおそれのあるもの(配管を除く。以下「特殊化学設備」という。)を設置する事業場であつて、当該事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下「所轄都道府県労働局長」という。)が指定するもの(以下「指定事業場」という。)にあつては、当該都道府県労働局長が指定する生産施設の単位について、操業中、常時、法第10条第1項各号の業務のうち安全に係る技術的事項を管理するのに必要な数の安全管理者を選任すること。
四 (略)
2 (略)