労働安全コンサルタント試験 2020年 産業安全一般 問30

機能安全による機械等に係る技術指針




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合格

 このページは、2020年の労働安全コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と正答を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和02年度) 問30 難易度 機能安全は、2018年から3回連続の出題。昨年より難易度は上がったが確実に正答しておきたい。
機能安全による安全確保

問30 厚生労働省の「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)安全関連システムが実行する要求安全機能には、特定した危険事象を防止するための機能及び危険事象によって生じる被害を緩和する機能が含まれる。

(2)安全関連システムには、検出部(センサー)等の入力部、論理処理部及びアクチュエータ等の出力部が含まれるものであり、機械等の運転制御のためのシステムから独立していないことが望ましい。

(3)要求安全度水準を表す指標として用いられるパフォーマンスレベルは、安全関連システムの構造等に係る要件、平均危険側故障時間、平均診断範囲及び共通原因故障の組み合わせによって決定される。

(4)要求安全度水準の決定に当たっては、要求安全度水準の評価尺度である危険性又は有害性にさらされる頻度、負傷又は疾病の重篤度等について客観的な評価を行うため、複数の担当者により評価を実施する。

(5)プレス機械の光線式安全装置の安全関連システムについては、一般的に、高頻度の作動要求モードの適用が妥当である。

正答(2)

【解説】

本問は、問題文にもあるように「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」(以下、本問の解説において「指針」という。)に関する問題である。

(1)適切である。指針2-2の(1)により、安全関連システムが実行する要求安全機能には、特定した危険事象を防止するための機能及び危険事象によって生じる被害を緩和する機能が含まれる。

【機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針】

 機能安全に係る実施事項

2―2 要求安全機能及び要求安全度水準の内容

(1)要求安全機能には、機械等による労働者の就業に係る危険性又は有害性の結果として労働者に就業上の負傷又は疾病を生じさせる事象(以下「危険事象」という。)を防止するための機能及び危険事象によって生じる被害を緩和する機能が含まれること。

(2)(略)

(2)適切ではない。指針2-3の(1)により、安全関連システムには、検出部(センサー)等の入力部、論理処理部及びアクチュエータ等の出力部が含まれるが、機械等の運転制御のためのシステムから独立していることが望ましい。

安全関連システムが、機械の運転システムから独立していないと、制御系が故障して危険が発生したとき、安全系も同時に故障するおそれがあるためである。

【機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針】

 機能安全に係る実施事項

2―3 実施に当たっての留意事項

   製造者は、機能安全に係る実施事項を適切に実施するために、次に掲げる事項に留意すること。

(1)安全関連システムには、検出部(センサー)等の入力部、論理処理部及びアクチュエータ等の出力部が含まれるものであり、機械等の運転制御のためのシステムから独立していることが望ましいこと。

(2)及び(3)(略)

(3)適切である。指針4-2の(1)により、要求安全度水準を表す指標として用いられるパフォーマンスレベルは、安全関連システムの構造等に係る要件、平均危険側故障時間、平均診断範囲及び共通原因故障の組み合わせによって決定される。

【機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針】

 要求安全度水準に適合するために設計上求められる事項の決定等

4―2 要件の組み合わせによる要求安全度水準への適合

(1)要求安全度水準のうち、パフォーマンスレベルについては、安全関連システムの構造等に係る要件(以下「カテゴリ」という。)、平均危険側故障時間(MTTFd)、平均診断範囲(DCavg)及び共通原因故障の組み合わせによって決定されること。

(2)(略)

(4)適切である。指針3-4の(1)により、要求安全度水準の決定に当たっては、要求安全度水準の評価尺度である危険性又は有害性にさらされる頻度、負傷又は疾病の重篤度等について客観的な評価を行うため、複数の担当者により評価を実施する。

【機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針】

 要求安全度水準の決定

3―4 要求安全度水準の決定に当たっての留意事項

   製造者は、要求安全度水準を適切に決定するため、次に掲げる事項に留意すること。

(1)要求安全度水準の評価尺度である危険性又は有害性にさらされる頻度、負傷又は疾病の重篤度等について客観的な評価を行うため、複数の担当者により評価を実施すること。

(2)~(5)(略)

(5)適切である。指針3-4の(5)ウにより、プレス機械の光線式安全装置の安全関連システムについては、一般的に、高頻度の作動要求モードの適用が妥当である。

【機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針】

 要求安全度水準の決定

3―4 要求安全度水準の決定に当たっての留意事項

   製造者は、要求安全度水準を適切に決定するため、次に掲げる事項に留意すること。

(1)~(4)(略)

(5)作動要求モードの決定に当たっては、以下の事項に留意すること。

ア及びイ (略)

 その他の保護停止装置(プレス機械の光線式安全装置等)の安全関連システムについては、一般的に、高頻度の作動要求モードの適用が妥当であること。

2020年11月23日執筆

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