問28 厚生労働省の「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に基づく危険性又は有害性等の調査等(以下「リスクアセスメント等」という。)に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)リスクアセスメント等の対象作業に関して、作業標準がない場合には、当該作業の手順を書き出した上で、それぞれの段階ごとに危険性又は有害性を特定する。
(2)リスクアセスメント等の実施に際して、他人の暴力、もらい事故による交通事故等の危険性を含める。
(3)リスクアセスメント等の実施に際して、作業行動等から生ずる有害性として、計器監視、精密工作、重量物取扱い等の重筋作業、作業姿勢、作業態様によって発生する腰痛、頸肩腕症候群等を含める。
(4)リスク低減措置として、警報による立入禁止措置をガード及びインターロックの設置に優先して実施する。
(5)実施したリスク低減措置の内容を記録するときには、当該措置を実施した後の残留リスクも含めて記録する。
このページは、2020年の労働安全コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と正答を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2020年度(令和02年度) | 問28 | 難易度 | リスクアセスメント指針に関する基本的な考え方に関する問題。正答できなければならない問題である。 |
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リスクアセスメント指針 | 2 |
問28 厚生労働省の「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に基づく危険性又は有害性等の調査等(以下「リスクアセスメント等」という。)に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)リスクアセスメント等の対象作業に関して、作業標準がない場合には、当該作業の手順を書き出した上で、それぞれの段階ごとに危険性又は有害性を特定する。
(2)リスクアセスメント等の実施に際して、他人の暴力、もらい事故による交通事故等の危険性を含める。
(3)リスクアセスメント等の実施に際して、作業行動等から生ずる有害性として、計器監視、精密工作、重量物取扱い等の重筋作業、作業姿勢、作業態様によって発生する腰痛、頸肩腕症候群等を含める。
(4)リスク低減措置として、警報による立入禁止措置をガード及びインターロックの設置に優先して実施する。
(5)実施したリスク低減措置の内容を記録するときには、当該措置を実施した後の残留リスクも含めて記録する。
正答(4)
【解説】
本問は、問題文にもあるように「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(以下、本問の解説において「指針」という。)に関する問題である。
受験に当たっては、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針について(平成18年3月10日基発第0310001号)」(以下、本問の解説において「通達」という。)、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針 同解説」の方も事前に目を通しておきたいところである。
(1)適切である。通達の記の8の(2)の直書きに「作業標準がない場合には、当該作業の手順を書き出した上で、それぞれの段階ごとに危険性又は有害性を特定すること
」とされている。
(2)適切である。通達の「別添3」に「『その他の危険性』には、他人の暴力、もらい事故による交通事故等の労働者以外の者の影響による危険性が含まれること
」とされており、リスクアセスメント等の実施に際して、他人の暴力、もらい事故による交通事故等の危険性を含めるべきである。
(3)適切である。通達の「別添3」に「『作業行動等』には、計器監視、精密工作、重量物取扱い等の重筋作業、作業姿勢、作業態様によって発生する腰痛、頸肩腕症候群等が含まれること
」とされている。そもそも、通達の記述がなかったとしても、本肢は当然のことを言っている。
(4)適切ではない。警報による立入禁止措置は「管理的対策」であり、ガード及びインタ ロックの設置は「工学的対策」である。指針の10の(1)の規定により、工学的対策は、管理的対策より優先して検討するべきである。
【危険性又は有害性等の調査等に関する指針】
10 リスク低減措置の検討及び実施
(1)事業者は、法令に定められた事項がある場合にはそれを必ず実施するとともに、次に掲げる優先順位でリスク低減措置内容を検討の上、実施するものとする。
ア 危険な作業の廃止・変更等、設計や計画の段階から労働者の就業に係る危険性又は有害性を除去又は低減する措置
イ インターロック、局所排気装置等の設置等の工学的対策
ウ マニュアルの整備等の管理的対策
エ 個人用保護具の使用
(2)及び(3)(略)
【危険性又は有害性等の調査等に関する指針について】
10 リスク低減措置の検討及び実施について
(1)指針の10(1)の事項については、次に掲げる事項に留意すること。
ア (略)
イ 指針の10(1)イの「工学的対策」とは、アの措置により除去しきれなかった危険性又は有害性に対し、ガード、インターロック、安全装置、局所排気装置の設置等の措置を実施するものであること。
ウ 指針の10(1)ウの「管理的対策」とは、ア及びイの措置により除去しきれなかった危険性又は有害性に対し、マニュアルの整備、立入禁止措置、ばく露管理、警報の運用、二人組制の採用、教育訓練、健康管理等の作業者等を管理することによる対策を実施するものであること。
エ及びオ (略)
(5)適切である。指針「11 記録」の(5)により「実施したリスク低減措置の内容」を記録するときは、通達の11の(2)により、当該措置を実施した後の残留リスクも含めて記録するべきである。
【危険性又は有害性等の調査等に関する指針】
11 記録
事業者は、次に掲げる事項を記録するものとする
(1)~(4)(略)
(5)実施したリスク低減措置の内容
【危険性又は有害性等の調査等に関する指針について】
11 記録
(1)(略)
(2)指針の11(5)のリスク低減措置には、当該措置を実施した後に見込まれるリスクを見積もることも含まれること。
(3)(略)