労働安全コンサルタント試験 2020年 産業安全一般 問17

動力プレス等の安全装置等




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合格

 このページは、2020年の労働安全コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と正答を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和02年度) 問17 難易度 動力プレス等の安全装置等関する基本的な知識問題。過去問に類問もあり確実に正答したい。
動力プレス等の安全装置

問17 動力プレス等の安全装置等に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)プレスブレーキ用レーザー式安全装置は、身体の一部がスライドに挟まれるおそれのある場合に、当該身体の一部がレーザー光線を遮断したことを検出することにより、スライドの作動を停止させるものである。

(2)インターロックガード式安全装置は、スライド等の閉じ行程の作動中は、ガードを開くことができない構造になっている。

(3)光線式安全装置に係る安全距離の追加距離とは、投光器の有効開口角によって定まる安全距離の加算を行うものである。

(4)制御機能付き光線式安全装置(PSDI式安全装置)は、身体の一部による光線の遮断の検出がなくなったときに、スライドを作動させる機能を有するものである。

(5)クランクプレスに用いられるオーバーラン監視装置は、クランクピンが設定の停止点で停止することができない場合に急停止機構に対しクランク軸等の回転の停止の指示を行う装置のことである。

正答(3)

【解説】

(1)適切である。プレスブレーキ用レーザー式安全装置は、2011年(平成23年)7月1日施行の安衛則改正によって使用可能になったものである。、プレスブレーキの停止性能に応じ、身体の一部がスライドに挟まれるおそれがないよう、上型の近傍に検出機構のレーザー光線を配して使用するものである。

(2)適切である。動力プレス機械構造規格第37条(第二号)により、原則としてインターロックガード式安全装置は、スライド等の閉じ行程の作動中は、ガードを開くことができない構造になっている。

【動力プレス機械構造規格】

(インターロックガード式の安全プレス)

第37条 インターロックガード式の安全プレス(スライドによる危険を防止するための機構として前条第一項第一号の機能を利用する場合における当該安全プレスをいう。)は、寸動の場合を除き、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。

 (略)

 スライドの閉じ行程の作動中(フリクションクラッチ式以外のクラッチを有する機械プレスにあっては、スライドの作動中)は、ガードを開くことができない構造のものであること。ただし、ガードを開けてから身体の一部が危険限界に達するまでの間にスライドの作動を停止することができるものにあっては、この限りでない。

(3)適切ではない。光線式安全装置に係る安全距離の追加距離とは、連続遮光幅によって定まる安全距離の加算を行うものである。

【動力プレス機械構造規格】

(光線式の安全プレスの安全距離)

第43条 光線式の安全プレスに備える検出機構の光軸と危険限界との距離(以下この条において「安全距離」という。)は、スライドの閉じ行程の作動中の速度が最大となる位置で、次の式により計算して得た値以上の値でなければならない。

D=1.6(Tl+Ts)+C

(この式において、D、Tl、Ts及びCは、それぞれ次の値を表すものとする。

D 安全距離(単位 ミリメートル)

Tl 手が光線を遮断した時から急停止機構が作動を開始する時までの時間(単位 ミリセカンド)

Ts 急停止機構が作動を開始した時からスライドが停止する時までの時間(単位 ミリセカンド)

C 次の表の上欄に掲げる連続遮光幅に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる追加距離

連続遮光幅(ミリメートル) 追加距離(ミリメートル)
三〇以下
三〇を超え三五以下 二〇〇
三五を超え四五以下 三〇〇
四五を超え五〇以下 四〇〇

(4)適切である。動力プレス機械構造規格第45条第1項により、制御機能付き光線式安全装置(PSDI式安全装置)は、身体の一部による光線の遮断の検出がなくなったときに、スライドを作動させる機能を有するものである。

【動力プレス機械構造規格】

(制御機能付き光線式の安全プレス)

第45条 制御機能付き光線式の安全プレス(スライドによる危険を防止するための機構として第三十六条第一項第三号の機能を利用する場合における安全プレスであって、検出機構を有し、かつ、身体の一部による光線の遮断の検出がなくなったときに、スライドを作動させる機能を有するものをいう。以下同じ。)は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。

一~五 (略)

2~4 (略)

(5)適切である。昭和53年1月19日基発第34号「動カプレス機械構造規格の施行について」の記の第2の「22 第27条関係」に「「オーバーラン監視装置」とは、クランク軸等の滑り角度の異常を検出して停止の指示を行うものをいうこと」とある。

2020年11月21日執筆