労働安全コンサルタント試験 2020年 産業安全一般 問11

機械・設備の安全点検




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合格

 このページは、2020年の労働安全コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と正答を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和02年度) 問11 難易度 機械・設備の安全点検に関する基本的な知識を問う問題である。確実に正答できなければならない。
機械・設備の安全点検

問11 機械・設備の安全点検に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)点検事項は、法令や国の示す指針で定められている事項に限らず、必要に応じて独自に追加設定し、より実効の上がるものにすることが望ましい。

(2)強い地震や強風の後には、作業開始前に、クレーンの損傷等について点検を行う。

(3)機械の保守点検作業を行うために必要な空間を確保し、容易に、かつ、無理な姿勢で作業が行われることのないように、機械を設計する際に配慮する。

(4)機械・設備の安全点検には、作業開始前点検、定期自主検査、性能検査等があり、種類に応じて実施主体は事業者のみならず第三者が行うべきものもある。

(5)関係請負人が建設機械を作業現場に持ち込む場合には、元方事業者自ら作業開始前点検を行う必要がある。

正答(5)

【解説】

(1)適切である。説明するまでもないだろう。安全点検の目的は、機械・設備を正常な状態に保つことや、災害のリスクがないことを確認することである。法令に定めがなくとも、その目的のために必要な点検事項を独自に追加設定し、より実効の上がるものにすることが望ましいことは言うまでもない。

(2)適切である。クレーン則第37条の規定により、強い地震や強風の後には、作業開始前に、クレーンの損傷等について点検を行う必要がある。

【クレーン等安全規則】

(暴風後等の点検)

第37条 事業者は、屋外に設置されているクレーンを用いて瞬間風速が毎秒三十メートルをこえる風が吹いた後に作業を行なうとき、又はクレーンを用いて中震以上の震度の地震の後に作業を行なうときは、あらかじめ、クレーンの各部分の異常の有無について点検を行なわなければならない。

(3)適切である。説明するまでもないだろう。機械の保守点検作業を行うために必要な空間を確保し、容易に、かつ、無理な姿勢で作業が行われることのないように、機械を設計する際に配慮することが適切でないわけがない。

なお、その配慮が完全に行えなかった場合の措置として、平成19年7月31日基発第0731001号により改正された「機械の包括的な安全基準に関する指針」の第2の3に「機械の製造等を行う者は、次に掲げる機械の制限に関する仕様の指定を行うものとする」とされ、その制限の一つとして「イ 機械の動作、設置、保守点検等に必要とする範囲等の空間上の制限」が挙げられている。

(4)適切であるとしておく。機械・設備の安全点検には、作業開始前点検、定期自主検査、性能検査等があることは正しい。そして、その実施主体が事業者であることは言うまでもないが、現実の実施は外部の第三者に行わせてもかまわない。

とりわけ特定自主検査は、社内に有資格者がいなければ、外部の検査機関に実施を依頼しなければならない。ただし、この場合も検査機関に実施させるのは事業者であり、検査の主体はあくまでも事業者というべきである。その意味で、やや疑問はあるが(5)が明らかに適切ではないので、本肢は適切であるとしておく。

(5)適切ではない。(車両系)建設機械の作業開始前点検を行うべきは、あくまでも「事業者」である。従って、その機械をその関係請負人の労働者が用いて作業を行うのであれば、作業開始前点検を行うべきはその雇用主である請負人である。

2020年11月20日執筆