問08 下図のような両手操作制御装置を無効化する人間の行動とそれによる危険性を防止するための手段の組合せに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)簡単な治具等を用いて両方のボタン(起動スイッチ)を片手で操作することを防止するための手段として、二つのボタンの間隔を大きくする。
(2)治具等を用いて一方のボタンを押したままの状態とし、もう一方のボタンを片手で操作することを防止するための手段として、二つのボタンを0.5秒以内で操作したときのみ起動するようにする。
(3)両肘を使い二つのボタンを操作することを防止するための手段として、ボタンから危険区域までの距離を、危険区域までの安全距離と肘から指先までの長さを加えた距離以上とする。
(4)片手と身体の一部を使い二つのボタンを操作することを防止するための手段として、ボタンの床面からの高さを1100 mm 以上とする。
(5)片方だけの手と肘を使い二つのボタンを操作することを防止するための手段として、二つのボタンの間に遮蔽物を設置する。
図 両手操作制御装置 |
このページは、2020年の労働安全コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と正答を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2020年度(令和02年度) | 問08 | 難易度 | あまり知られていない資料からの出題であり、かなりの難問だったようだ。 |
---|---|---|---|
両手操作制御装置 | 5 |
問08 下図のような両手操作制御装置を無効化する人間の行動とそれによる危険性を防止するための手段の組合せに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)簡単な治具等を用いて両方のボタン(起動スイッチ)を片手で操作することを防止するための手段として、二つのボタンの間隔を大きくする。
(2)治具等を用いて一方のボタンを押したままの状態とし、もう一方のボタンを片手で操作することを防止するための手段として、二つのボタンを0.5秒以内で操作したときのみ起動するようにする。
(3)両肘を使い二つのボタンを操作することを防止するための手段として、ボタンから危険区域までの距離を、危険区域までの安全距離と肘から指先までの長さを加えた距離以上とする。
(4)片手と身体の一部を使い二つのボタンを操作することを防止するための手段として、ボタンの床面からの高さを1100 mm 以上とする。
(5)片方だけの手と肘を使い二つのボタンを操作することを防止するための手段として、二つのボタンの間に遮蔽物を設置する。
図 両手操作制御装置 |
正答(1)
【解説】
本問は、中央労働災害防止協会「機械安全規格を活用して災害防止を進めるためのガイドブック」(2015年3月:以下「中災防ガイドブック」と略す。)及びJIS B 9712:2006 に関する設問である。
中災防ガイドブックは、それほど知られている資料ではないためか、かなりの難問だったようだ。
(1)不適切であるとしておく。中災防ガイドブック54Pの表(E)には「簡単な治具等を用いて両方のボタン(起動スイッチ)を片手で操作することを防止するための手段」としては、二つのボタンの間に遮蔽物を設置する方法が記載されている。
(2)適切である。JIS B 9712:2006に「出力信号は,両方の制御操作器が0.5秒以下のタイムラグで操作される場合だけ生成されなければならない」とされている。
(3)適切である。中災防ガイドブック54Pの表(C)に同旨のことが書かれている。両肘を使って二つのボタンを操作し、起動した直後に手を出すことを防止するために、本肢のように定められたものと思われる。
(4)適切である。中災防ガイドブック54Pの表(D)に同旨のことが書かれている。また、JIS B 9712:2006に「床又は接近用レベルの上方で少なくとも1100mmの位置にある水平面又は水平に近い面に制御操作器を配置。これは腰による操作を防止することを意図している」とされている。
(5)適切である。中災防ガイドブック54Pの表(B)に同旨のことが書かれている。