労働安全コンサルタント試験 2020年 産業安全一般 問07

流体の輸送手段である配管など




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合格

 このページは、2020年の労働安全コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と正答を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和02年度) 問07 難易度 過去問に類例のない問題である。やや高度な内容の選択肢もあり、難問の部類だったと思われる。
流体を輸送する配管

問07 流体の輸送手段である配管などに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)管の内圧による応力は、長手方向、円周方向及び半径方向に発生するが、その中で一番大きいものは、長手方向の応力である。

(2)配管の両端は一般に固定されているため、配管に高温流体が通ると配管に熱膨張による応力が発生する。

(3)一般に配管の軸に直角方向の剛性は低く、振動しやすい。

(4)流体が流れているときに、弁の急閉によって圧力波が発生し、管内流体中を伝わることで配管に衝撃を与えることがある。

(5)配管内に挿入された温度計等に生じる渦励起振動は、当該物体の固有振動数と一致したとき、共振により振幅が大きくなる。

正答(1)

【解説】

(1)適切ではない。管の内圧による応力は、長手方向、円周方向及び半径方向に発生することは正しい。しかし、内径 2r1、外径 2r2、肉厚t(r2-r1)の円筒に内圧pが作用しているとき、長手方向の応力σz、円筒の円周方向の応力σt、半径方向の応力σrはそれぞれ、

σz=pr12t

σt=pr1t

σr=p

となる。r1 > t であるから、円周方向の応力が最も大きくなる。

(2)適切である。説明するまでもないであろう。

(3)適切である。一般に配管は細長い形状をしているため、どうしても軸に直角方向の剛性は低くなってしまう。そのため、一般論としては、流体の振動や外部の振動を受けて軸と直角方向に振動しやすいといえる。

なお、建物などの配管は、建物の固有振動数と配管の固有振動数が一致しないようにすることが原則である。

(4)適切である。本肢は、水撃作用(ウオーターハンマー)と呼ばれる現象のことである。流体が流れているときに弁の急閉をすると、水の慣性で圧力波が発生して管内流体中を伝わることで配管に衝撃を与えることがある。

(5)適切である。流体中に流れを妨げる物体を置くと、その物体の下流に渦が発生する。この渦が渦励起振動(カルマン渦)である。本肢の配管内に挿入された温度計等に生じ、その物体の固有振動数と一致すると共振によって振幅が大きくなる。

2020年11月15日執筆