問03 金属材料の腐食・損傷に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)応力腐食割れは、特定の金属において特定の腐食環境下で、圧縮応力が加わっている場合に生じる現象で、割れ部以外は正常な表面を保つ。
(2)孔食は、開放面に生じたピット状の穴(食孔)の内部で腐食が進行するもので、食孔の外の部分には腐食がほとんど見られない。
(3)異種金属接触腐食は、電解質中で二つの異なる金属が接触しているとき、一般に、一方の金属では単独で電解質中にある場合よりも腐食が促進され、逆に、他方の金属では腐食が抑制される現象である。
(4)エロージョン・コロージョンは、腐食性のある流体の流れの化学的作用と機械的作用が複合して進む現象で、その進行は、一般に流体の中に固体粒子が混合していると早くなる。
(5)全面腐食は、金属材料の表面が比較的均一に腐食される現象で、代表的事例は酸性環境下の普通鋼で見られるものである。
このページは、2020年の労働安全コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と正答を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2020年度(令和02年度) | 問03 | 難易度 | やや高度な問題だが、過去に出題された肢もある。合否を分けるレベルだろう。正答しておきたい。 |
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金属材料の腐食・損傷 | 4 |
問03 金属材料の腐食・損傷に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)応力腐食割れは、特定の金属において特定の腐食環境下で、圧縮応力が加わっている場合に生じる現象で、割れ部以外は正常な表面を保つ。
(2)孔食は、開放面に生じたピット状の穴(食孔)の内部で腐食が進行するもので、食孔の外の部分には腐食がほとんど見られない。
(3)異種金属接触腐食は、電解質中で二つの異なる金属が接触しているとき、一般に、一方の金属では単独で電解質中にある場合よりも腐食が促進され、逆に、他方の金属では腐食が抑制される現象である。
(4)エロージョン・コロージョンは、腐食性のある流体の流れの化学的作用と機械的作用が複合して進む現象で、その進行は、一般に流体の中に固体粒子が混合していると早くなる。
(5)全面腐食は、金属材料の表面が比較的均一に腐食される現象で、代表的事例は酸性環境下の普通鋼で見られるものである。
正答(1)
【解説】
(1)適切ではない。機械振興協会のサイトによると、応力腐食割れは「外部応力により、材料に引張応力がかかりこれと特定の環境の腐食作用とによって材料に割れをもたらす現象
」とされている。これをみても分かるように、圧縮応力が加わっている場合に生じる現象ではない。
(2)適切である。孔食について、JISなどに明確な定義があるわけではないが、一般には本肢のような理解がされている。
なお、食孔の外の部分には腐食がほとんど見られないかどうかは状況にもよるだろうが、食孔そのものは表面が不動態化した金属に観測されることが多く、局部的に不動態皮膜が破壊されたときにその内部が腐食するものであるから、誤りとは言えないだろう。
(3)適切である。異種金属接触腐食は、電解質中で二つの異なる金属が接触して、一種の電池を構成したときに起きるものである。一般に、一方の金属では単独で電解質中にある場合よりも腐食が促進され、逆に、他方の金属では腐食が抑制される現象である。
(4)適切である。なお、エロージョン・コロージョンについては、過去問「産業安全一般」の2016年問4の(1)の解説を参照されたい。
(5)適切である。全面腐食は、金属材料の表面が比較的均一に腐食される現象で、代表的事例は酸性環境下の普通鋼で見られるものである。