労働安全コンサルタント試験 2020年 産業安全一般 問01

安全管理等(一般)




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合格

 このページは、2020年の労働安全コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と正答を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和02年度) 問01 難易度 かなり基本的な問題である。迷うようなものもない。確実に正答しなければならない問題である。
安全管理等(一般)

問01 安全管理等に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)事業者は、安全管理体制を整備し、各級の管理監督者に必要な権限を委任した場合でも、事業場の安全管理の実状を把握し、改善などの措置を講じることを指示し、その実施状況を監督していく必要がある。

(2)労働災害の直接的な原因は、設備、原材料、環境などの不安全な状態の物的原因と、労働者の不安全な行動の人的原因とに分けることができる。

(3)日常的な安全活動の4Sのうち、整理とは、必要なときに必要な物をすぐ取り出せるように、わかりやすく安全な状態で配置、収納することをいい、整頓とは、必要な物と不要な物を分けて、不要な物を処分することをいう。

(4)安全管理のスタッフ型とライン型を比較すると、安全担当スタッフが行うスタッフ型は、スタッフが現場における安全活動を把握することがむずかしく、ラインの管理・監督者が行うライン型は、管理・監督者が広範な安全知識を習得することがむずかしいといわれている。

(5)建設現場における労働災害を防止するため、それぞれの現場で安全管理を行うことに加え、本社や支店が各現場の安全管理を指導していく必要がある。

正答(3)

【解説】

(1)正しい。企業の規模にもよるだろうが、当然のことを言っている。誤っていると考える余地がない。

なお、本問は2014年の衛生コンサルタント試験「衛生一般」問28の(1)に類似問題がある。

4M分析(NTSB事故調査分析指針)

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(2)正しい。本肢は迷った受験者も多いのではないだろうか。労働災害の原因分析においてよく用いられる「4M法(※)」では、労働災害が発生する要因を、

❶ 人の要素/教育・訓練(Man)

❷ 設備・道具・機械・環境(Machine)

❸ 仕事の手順、やり方、情報伝達など(Medea)

❹ 管理・監督・経営方針(Management)

の4要因に分類する。

NTSB(米国運輸安全委員会)の事故調査分析指針による。

これによると、事故の原因は「物的原因」と「人的原因」のみならず、管理要因や環境要因なども存在するからである。

しかし(3)が明らかに誤っており、本肢に「直接的な」とあることから、本肢は正しいものと考えられる。

(3)誤り。整理と整頓が逆である。なお、厚生労働省のWEBサイト安全キーワードの「4S(整理、整頓、清掃、清潔)」の項にある「整理」及び「整頓」の説明と本肢の記述との比較を表にしておく。

表:厚生労働省サイトと本肢の表現
  厚労省サイト 本肢
整理 必要なものと不要なものを区分し、不要、不急なものを取り除くことです。要るもの、要らないものに分けるためには、何らかの判断の基準が必要になります。現場の作業方法では必要と認められていても、その場所にその物が必要か、それだけの量が必要かなどの改善の余地はないかを検討し、よりよい方法が見つかればそれを新しい判断の基準、すなわち作業標準として定めてゆくことが出来ます 必要なときに必要な物をすぐ取り出せるように、わかりやすく安全な状態で配置、収納すること
整頓 必要なものを、決められた場所に、決められた量だけ、いつでも使える状態に、容易に取り出せるようにしておくことです。工具・用具のみならず資材・材料を探す無駄を無くすことが出来ます。安全に配慮した置き方をすることが大事です 必要な物と不要な物を分けて、不要な物を処分すること

(4)正しい。スタッフ型は本来業務のラインから外れた安全担当者が安全管理を行うので、スタッフが現場における安全活動を把握することがむずかしいといわれる。また、ライン型は、本来業務を担当する現場の管理・監督者が安全管理を行うため、広範な安全知識を習得することがむずかしいといわれている。

なお、安全管理のスタッフ型とライン型については、過去問「産業安全一般」2015年問1の解説を参照されたい。

(5)正しい。これはあまりにも当然のことであろう。誤っていると考える余地がない。

2020年11月14日執筆