労働安全コンサルタント試験 2019年 産業安全関係法令 問12

機械等・危険物等に関する規制




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 このページは、2019年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年度(令和元年度) 問12 難易度 機械等並びに危険物及び有害物に関する規制に関する基本的な問題である。正答できなければならない。
機械等・危険物等への規制

問12 機械等並びに危険物及び有害物に関する規制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。

(1)ボイラー検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う性能検査を受けなければならない。

(2)本邦の地域内で使用される小型ボイラー(船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるもの及び電気事業法の適用を受けるものを除く。)を製造した者は、厚生労働大臣の登録を受けた登録個別検定機関が個々に行う当該機械等についての検定を受けなければならない。

(3)型式検定に合格した型式の機械等以外の機械等には、型式検定に合格した型式の機械等である旨の表示を付してはならない。

(4)事業者は、動力により駆動される遠心機械については、1年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行わなければならない。ただし、1年をこえる期間使用しない遠心機械の当該使用しない期間においては、この限りでない。

(5)引火性の物で、政令で定めるものを容器に入れて提供する者は、その容器に名称、人体に及ぼす作用等を表示しなければならない。ただし、その容器のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。ボイラー則第 38 条の規定により検査証の有効期間の更新を受けようとする者が受けなければならない性能検査は、安衛法第 41 条第2項の規定により厚生労働大臣の登録を受けた者(※)が行う。都道府県労働局長の登録を受けた者ではない。

※ 登録性能検査機関は、2024 年 11 月 26 日現在、全国に7機関しか存在していない(厚生労働省サイト「検査検定実施機関一覧」参照)。かなりの高度な審査が必要になるため、47の都道府県労働局にその能力を持たせることは合理的ではないのである。

【労働安全衛生法】

(検査証の有効期間等)

第41条 (略)

 検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録性能検査機関」という。)が行う性能検査を受けなければならない。

【ボイラー及び圧力容器安全規則】

(性能検査等)

第38条 ボイラー検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、当該検査証に係るボイラー及び第14条第1項各号に掲げる事項について、法第41条第2項の性能検査(以下「性能検査」という。)を受けなければならない。

 (略)

(2)正しい。「安衛法第 42 条の機械等」には「別表第二の機械等」が含まれる。従って、安衛法第 44 条の、「第 42 条の機械等のうち、別表第三に掲げる機械等」には「別表第二に掲げる機械等のうち、別表第三に掲げる機械等」が含まれる。従って、別表第二と別表第三に共通に含まれる「小型ボイラー」は、安衛法第 44 条の「第 42 条の機械等(次条第1項に規定する機械等を除く。)のうち、別表第三に掲げる機械等」に含まれる。

そして安衛法第 44 条の「政令で定める機械等」は、安衛令第 14 条に定めてあり、「小型ボイラー(船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるもの及び電気事業法の適用を受けるものを除く。)」が含まれている。従って、これは安衛法第44条の個別検定の対象となり、本肢は正しい。

なお、安衛法第 44 条には「次条第1項に規定する機械等を除く」とあるが、これには小型ボイラーは含まれていない。関係する条文は、安衛法第44条の2第1項別表第四安衛令第14条の2である。各条文にリンクを張っておくので、各自確認して欲しい。

【労働安全衛生法】

(譲渡等の制限等)

第42条 特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

(個別検定)

第44条 第42条の機械等(次条第1項に規定する機械等を除く。)のうち、別表第三に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録個別検定機関」という。)が個々に行う当該機械等についての検定を受けなければならない。

2~6 (略)

別表第二 (第四十二条関係)

一及び二 (略)

 小型ボイラー

四~十六 (略)

別表第三 (第四十四条関係)

一及び二 (略)

 小型ボイラー

 (略)

【安衛令】

(個別検定を受けるべき機械等)

第14条 法第44条第1項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

一及び二 (略)

 小型ボイラー(船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるもの及び電気事業法の適用を受けるものを除く。)

 (略)

(3)正しい。安衛法第 44 条の2第6項のままである。

【労働安全衛生法】

(型式検定)

第44条の2 (第1項~第4項 略)

 型式検定を受けた者は、当該型式検定に合格した型式の機械等を本邦において製造し、又は本邦に輸入したときは、当該機械等に、厚生労働省令で定めるところにより、型式検定に合格した型式の機械等である旨の表示を付さなければならない。型式検定に合格した型式の機械等を本邦に輸入した者(当該型式検定を受けた者以外の者に限る。)についても、同様とする。

 型式検定に合格した型式の機械等以外の機械等には、前項の表示を付し、又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。

 (略)

(4)正しい。「動力により駆動される遠心機械」安衛令第 15 条(第四号)により定期自主検査の対象とされ、その頻度等は安衛則第 141 条に本肢の通りに定められている。

【労働安全衛生法】

(定期自主検査)

第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(定期に自主検査を行うべき機械等)

第15条 法第45条第1項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。

一~三 (略)

 動力により駆動される遠心機械

五~十一 (略)

 (略)

【労働安全衛生規則】

(定期自主検査)

第141条 事業者は、動力により駆動される遠心機械については、1年以内ごとに1回、定期に、次の事項について自主検査を行なわなければならない。ただし、1年をこえる期間使用しない遠心機械の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一~五 (略)

2~4 (略)

(5)正しい。安衛法第 57 条のままの条文問題である。

受験生の中には「引火性の物」だから「人体に及ぼす作用」を表示する必要はないと思った方がおられたようである。しかし、「引火性の物」だからといって、「人体に及ぼす作用」がないとは限らない。

ラベル等の表示義務について定める安衛法第 57 条の対象物の「引火性の物」は例示に過ぎない。その対象は、具体的には安衛令別表第9及び別表第三第一号1から7に示すものを含有するもので省令に定めるものである。そして、これらのものの中の「引火性の物」には人体に有害なものも含まれている。引火性の物は「人体に及ぼす作用」を表示しなくてもよいなどということはあり得ないと気が付かなければならない。

【労働安全衛生法】

(表示等)

第57条 爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は前条第一項の物を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあつては、その容器)に次に掲げるものを表示しなければならない。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない

 次に掲げる事項

 名称

 人体に及ぼす作用

ハ及びニ (略)

 (略)

 (略)