問30 厚生労働省の「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)機械等の製造者は、当該機械等による労働者の就業に係る危険性または有害性を特定した上で、それによるリスクを低減するために要求される電子等制御の機能を特定する。
(2)要求安全度水準を表す指標として、IEC 61508の安全度水準又はISO 13849のパフォーマンスレベルが用いられる。
(3)安全関連システムには、検出部(センサー)等の入力部、論理処理部及びアクチュエータ等の出力部が含まれる。
(4)要求安全度水準の決定に際して実施するリスクの解析では、安全関連システムの故障を考慮するが、予見可能な機械等の誤使用は考慮しない。
(5)作動要求モードの決定に当たっては、機械式の安全弁の故障時に作動する燃料遮断リミッターのように、機械式の安全装置の故障によって作動が求められる安全関連システムには、低頻度の作動要求モードを適用することが妥当である。
このページは、2019年の労働安全コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と正答を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2019年度(令和元年度) | 問30 | 難易度 | 機能安全に関する基本問題である。安全に関する常識問題と言ってよい。 |
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機能安全による安全確保 | 2 |
問30 厚生労働省の「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)機械等の製造者は、当該機械等による労働者の就業に係る危険性または有害性を特定した上で、それによるリスクを低減するために要求される電子等制御の機能を特定する。
(2)要求安全度水準を表す指標として、IEC 61508の安全度水準又はISO 13849のパフォーマンスレベルが用いられる。
(3)安全関連システムには、検出部(センサー)等の入力部、論理処理部及びアクチュエータ等の出力部が含まれる。
(4)要求安全度水準の決定に際して実施するリスクの解析では、安全関連システムの故障を考慮するが、予見可能な機械等の誤使用は考慮しない。
(5)作動要求モードの決定に当たっては、機械式の安全弁の故障時に作動する燃料遮断リミッターのように、機械式の安全装置の故障によって作動が求められる安全関連システムには、低頻度の作動要求モードを適用することが妥当である。
正答(4)
【解説】
本問は、問題文にもあるように「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」(以下、本問の解説において「指針」という。)に関する問題である。
(1)適切である。指針2-1(1)
【機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針】
2 機能安全に係る実施事項
2―1 実施内容
機械等を製造する者(以下「製造者」という。)は、機能安全に係る実施事項として次に掲げる事項を実施すること。
(1)機械等による労働者の就業に係る危険性又は有害性を特定した上で、それによるリスクを低減するために要求される電子等制御の機能(以下「要求安全機能」という。)を特定すること。
(2)及び(3)(略)
(2)適切である。指針2-2(2)
【機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針】
2 機能安全に係る実施事項
2―2 要求安全機能及び要求安全度水準の内容
(1)(略)
(2)要求安全度水準は、要求安全機能の作動が要求された時に、安全関連システムが当該要求安全機能を作動させることができない確率であり、その水準を表す指標として、国際電気標準会議の規格61508の安全度水準又は国際標準化機構の規格13849のパフォーマンスレベルが用いられること。
(3)適切である。指針2-3(1)
【機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針】
2 機能安全に係る実施事項
2―3 実施に当たっての留意事項
製造者は、機能安全に係る実施事項を適切に実施するために、次に掲げる事項に留意すること。
(1)安全関連システムには、検出部(センサー)等の入力部、論理処理部及びアクチュエータ等の出力部が含まれるものであり、機械等の運転制御のためのシステムから独立していることが望ましいこと。
(2)(略)
(4)不適切である。指針3-4(3)によれば、「予見可能な機械等の誤使用(ヒューマンエラー)を含めて解析を行う」ものとされている。
【機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針】
3 要求安全度水準の決定に当たっての留意事項
3―4 要求安全度水準の決定に当たっての留意事項
製造者は、要求安全度水準を適切に決定するため、次に掲げる事項に留意すること。
(1)及び(2)(略)
(3)リスクの解析の実施に当たっては、故障モード影響分析(FMEA)やハザード・オペレーション分析(HAZOP)、フォールトツリー解析(FTA)等の手法を実施するものとし、安全関連システムの故障のみならず、予見可能な機械等の誤使用(ヒューマンエラー)を含めて解析を行うこと。
(4)及び(5)(略)
(5)適切である。指針3-4(5)ア
【機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針】
3 要求安全度水準の決定に当たっての留意事項
3―4 要求安全度水準の決定に当たっての留意事項
製造者は、要求安全度水準を適切に決定するため、次に掲げる事項に留意すること。
(1)~(4)(略)
(5)作動要求モードの決定に当たっては、以下の事項に留意すること。
ア 機械式の安全弁の故障時に作動する燃料遮断リミッターのように、機械式の安全装置の故障によって作動が求められる安全関連システムには、低頻度の作動要求モードを適用するのが妥当であること。
イ及びウ (略)